百合の間に挟まりたかった男、ゲットマシンに挟まれる 作:青川トーン
戦いが終わり3年、地球圏は外宇宙からの脅威への対抗策として多くの兵器を開発する一方で復興が遅れており情勢は不安定となっていた。
早乙女研究所とゲッターチームとはというと、1年前に月面基地へと来訪した「銀河連合」の使者達による謝罪と今後の関わりを模索する「外交担当」となっていた。
もちろん全てが全て、俺達の独断という訳ではなくきちんと国連の意図や意志を汲んだ上でメッセージを伝えるという役割だ。
現在、銀河連合の加盟文明・種族は未来人の襲来により非常に疲弊しており、海賊や巨大犯罪組織の対応に苦慮しているという。その上で今回の軍部の1艦隊による独断での地球攻撃などで信用も大きくガタ落ちの踏んだり蹴ったりらしい。
賠償に関しては少しの技術提供と大きな情報共有というところに落ち着いた。
当然、被害を受けた人々の感情はそれだけでは収まらないというのは誰しも分かっていたが……どうにかしていかなければならない。それは相手の方も同じだ、未来の地球人だけでなく俺達ゲッターチームもまた相手にとっては脅威に値するとみなされたからだ。
ただ、それでも一瞬の共闘ではあったがあの艦隊とのやり取りを遠くから観測していた者達の「ゲッターは信じるに値する」という判断が歩み寄りの姿勢となってくれた。
俺は……俺達はそれに答えなければならない、この世界の未来の人類は共存に値する存在であれる様にと。
そんなある日だった、ついぞ開発途中のままであった新型ゲッターロボが完成した。
旧ゲッターは最終決戦後修理したとはいえ限界を超えた酷使にガタが来ており、いざという時の戦力としては心もとない状態であった。
新型ゲッターの名前は「ゲッターロボ・ライトニング」変わらず「ライトニングフェニックス」「ライトニングユニコーン」「ライトニングクラーケン」の3機のゲットマシンで構成される。
こいつのゲッター炉心は新型だけあって急造であった旧ゲッターの10倍以上の出力でシャインスパークも無理なくできる。まさに「G」のポジションだ。
そして加えてゲッター炉心を搭載した量産型ロボット「Gフラッシュ」も開発された、こいつは変形こそするものの分離機能はなくゲッターチェンジも出来ないが、ゲッタービームを撃つことが可能でトマホーク・ドリルランス・ゲッターミサイルなどの武器をそれぞれのパイロットに合わせて装備させて運用できる……いわば簡易量産型ゲッターだ。
とはいえデチューンにデチューンを重ねて、簡易化してもこのマシンに乗れるパイロットは数少ない……時折国連や各国軍から派遣されてきたハリキリ軍人が1ヵ月テストパイロットをしてはギブアップして帰っていくのがお約束と化してしまっているような有様だ。
一方で同じく地球で開発中だったルミナスナイトだが、ようやく完成した様でここの所地球上でパイロット育成を兼ねた演習や試合が行われている。
こっちの方は何故かパイロットが充実しており……特にスポーツ選手兼・アイドルの様な扱いとなっているらしく、特にパイロット同士で姉妹の誓いを立てたりそれに憧れる少女達……となんだかんだ百合要素は死んでなかったらしい。
俺もこの話を聞くまで完全にゲッター世界の住人と化した気でいた、ついでにだが旧ゲッターの方でだがルミナスナイトとの宇宙演習を行った事もある。
新人共に宇宙の恐ろしさと仲間を信じる事の大切さを叩き込む一方で、ルミナスナイトの完成度も測るという役目もあった。結果としてまあパイロットどもは青いが機体そのものは悪くない感じであった。
初期計画では20メートルであったが、ゲッターにあわせて40メートルサイズに大型化し、動力炉も大出力化したもの外見は細身の騎士と言った感じだ。それでいて奴らはゲッターよりもダイレクトに繊細な動きが出来る。未来の連中は随分と特性にモノを言わせた雑な退化をしていたが……剣術や弓を用いた攻撃は中々に見込める所があった。
相手をしたのは名も知らん双子であったが、この先成長する事があればなかなか手強い相手になるだろう。
それと百合で思い出したが、リリアのフィアンセとかいう奴が態々月面くんだりもでやってきて俺に挑んできやがった。てっきり生身でやりあうのかと思いきやこいつもボンボンでなんとスーパーロボット持ち込みだ、名は「タイタン1000」で名前の通りデカく60メートル大の大型格闘ロボット。見た目はまさにダイナミックプロ作品のロボといってもいい。
リリア自身もこいつの存在をすっかり忘れているわ、ユユカも爆笑してるわで俺一人で相手をする事になりまあ叩きのめした。実戦も経験したことのない坊ちゃんなぞ一人でも事足りるわ。
しかし、根性だけはあるのでこいつもしっかり経験を積めば未来のエースパイロットだろうな。
そんなこんなで奴は帰った上に結婚の話は今はお流れになった、というのも貴重なゲッターパイロットを今手放すわけにはいかんというところだ。マジでゲッターに乗れる奴がいねえの何とかしねえと俺達が引退したらそれこそ誰も動かせなくなる。早乙女博士は人工知能で動かすプランも提唱したが「絶対に暴走する」と俺が熱弁したおかげでそれは阻止された。世界最後の日みたく量産されたゲッターが地上を焼く未来はゴメンだ。
そんなこんなであわただしくも充足した日々を送り、ゲッターロボ・ライトニングの起動実験を行うその日、コクピットの中に満ちた光が俺にヴィジョンを見せる。
「ルミナザイトは宇宙を支配しうる力だ」
「進化を終わり、闘争を終わり、生命を終わる事で全てを完結する」
「そしてあらゆる可能性を消し去る事で安息を得る」
エンペラーではないものの随分と巨大なゲッターが巨大な結晶で出来た艦隊と激突する姿が俺の意識へと直接流れ込んでくる。こいつらがルミナザイトで出来ているのは一目でわかった。
惑星をも消し飛ばすゲッタービームが湾曲し、無力化されるのを見て圧倒されるが、かまわずゲッターは合体して巨大なトマホークを手に立ち向かう。
一振りでルミナザイト艦隊は粉々に砕けたかのようにみえた、だが即座に再生・一体化し同じく巨大なルミナスナイトとなった。さらに空間が歪み新たに別の宇宙から新たなルミナザイト艦隊とルミナスナイトが合流してくる、こいつらは未来に辿り着いた地球人類達……。
ゲッターの導きに従う人類と、ルミナザイトと共に完成を向かおうとする人類……どちらも同じ人類だ。
「ルミナザイトは終止符を打ちたいという意識の結晶だ、終わりへと向かう意志だ」
「決して悪ではない、だがそれを許せば進化の道は閉ざされる。まだ人類は、宇宙は、生命は本当の答えへと辿り着いてはいない」
そこで俺はこの声が誰のモノか気づき、息をのんだ。
「タケシ、ゲッターは希望だ。終わりなく続く戦いと……命の道だ」
俺を導くのはかつて一文字號と呼ばれた男の声だった!
この世界の人類は綺麗に終わる事を選ぶのか。
それとも未完のまま果てなく続く事を選ぶのか。
現実に戻った俺は叫んだ
「いくぜ、ゲッターロボ・ライトニング!出撃だ!」
未完