滅竜魔導士がオラリオに迷い込むのは間違っているだろうか   作:合体魔人トム・ブラソン

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第三話 後戻りはできない

 道中、ラーニェとフェルズから色々な事を聞かれた。特にフェルズから。

 

 渾名の事、魔法の事、家族の事、仲間の事。

 

 物語調に語ったからか、ラーニェは特に食いつき方がすごかった。 

 

 

――本来の、未来の姿を知っているから、この反応は中々新鮮だ。

 

 

 話をしていく中で特に驚かれた話が、竜に育てられたということだった。

 

 フェルズはこの話にかなりの衝撃を受けたようで、わなわなと震えながらならば何故、滅竜魔法を教えるという天敵を生み出すような事をしたのかと気になっていた。

 

 その問いに俺は仲間が必要だったから、と答えた。

 

 フェルズも静かに聞いていたラーニェも首を傾げた。

 

 育ての親であるドラゴンとその他ドラゴン達が束になっても勝てない"漆黒の竜"を倒すために、様々な方法で生き残り俺たちに魔法を教え共に戦ったんだと語った。

 

 フェルズは漆黒の竜という言葉に反応し沈黙した。

 

 少しばかりの静寂を味わい、目的地に着いたのかフェルズは立ち止った。

 

 フェルズは壁に向かって何かを唱えると、小さな穴が姿を現す。その穴に俺も入っていくものかと思ったがフェルズは待ったをかけた。

 

 曰く、人間にひどくやられた個体もいるから入れるわけにはいかない、だから彼女とはここでしばらくお別れだと。

 

 ラーニェも俺と一緒に穴に続いていくものだと思ったらしく、少しばかりしょんぼりしていた。フェルズが会おうと思えばまた会える、と宥め彼女はフェルズと共に穴の奥へ消えていった。

 

 その間、周囲を警戒しながら地上に出てからどうするかを考えていた。

 

 この世界が"ダンまち"と呼ばれる場所だと気が付き、この体と魔法を持ってこの世界に来た理由とやるべき事を考える。

 

 ラーニェが生まれたばかりということは主人公達が活動するよりかなり前ということになり、物語が始まる何年前かによっては大きな出来事に介入することができるかもしれない。

 

 そう考えるとやるべきことがあまりにも多く感じる。

 

 この世界の最終目標は黒い竜の討伐であり、俺の力は特効薬となるだろう。だけど、それだけじゃ足りない。

 

 鱗を剝がし肉を貫いても、俺の一つだけの拳じゃ心臓には届きはしない。

 

 この世界の力を一つにしなければならない。

 ただ一つになるんじゃない。

 人間と異端児が手を取り合い、強靭で確固たる絆で結ばれた力にする必要がある。

 

 そのためには強い力を持ち、皆を率いる強い力を持ったリーダーを育て上げる力を持つ人材が必要だ。

 

 その2つの要素を補える要となる人物がいる。

 

 そう、主人公の叔母にあたるアルフィアだ。

 彼女はあの漆黒の竜と交戦経験があり、圧倒的な才能を秘めており、強いリーダーを育て上げる力がある。

 世界を救える重要な要素だ。何としても彼女を説得し、引き込む必要がある。

 

 だが、正史の彼女が行った役割もまた重要だ。

 

 ザルドもまた重要な人物だが、彼にはオッタルという最強を鍛えるために役割を全うしてもらう必要がある。

 

 

――悩ましい。

 

 

 説得に値する材料が見当たらない。あっても、聞き入れてもらえるか分からない。

 

 どうすればいい。

 

 そう頭を悩ませていると、フェルズだけが戻ってきた。

 

 これからについての話になり、一度2階層上のエリアで一度落ち合い、そこで衣服や食料、僅かばかりの資金を提供してもらえるようになった。提供が済んだらそのエリアにある街で一泊し身体を休め、地上で腰を据えて話し合うことになった。

 

 

――とにかく、だ。

 

 

 難しく考えるのは来るべき日に考えよう。

 

 今の目標は、本来の歴史であれば死んでいたはずの人間を、出来る限り助ける。多くの人に恩を売り、力を貸す。

 

 これだけを頭に入れて、アルフィアに関してはまたゆっくりと考えよう。

 

 両頬を叩き、フェルズに感謝の言葉を述べ気合を込めて歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 難なく18階層に到着し、湖畔と島が見える場所で衣服や食料だけではなく医療品も包まれており、リヴィラという街で一泊できるほどの資金を提供してもらい、改めて土下座と感謝の言葉を捧げ別れた。

 

 街に入るとき見慣れない顔ということで少し警戒された程度だったが、問題なく一泊し久しぶりの温かくて柔らかい布団に包まれて眠ることができた。

 

 英気を養い気力体力共に十分となった今、足取りは軽く陽気な鼻歌を歌いながら歩みを進めていく。

 

 迫りくる敵も難なく振り払い、片手に地図を広げながら、ゆったりと周りを見渡すことができるほどに余裕が出来ている。いや、余力を残すことが出来ていた。

 

 だからこそ。

 

 ある階層で起きた轟音に気が付くことが出来た。

 

 何事かと、急いで音の方向へ飛んでいき音の正体を目視した。

 

 そこには息を荒くした白い髪の少女が複数の怪物に囲まれている。

 

 最近見たような景色と状況に思わず笑いをこぼし、怪物たちを一撃で倒し彼女の前まで飛び込んだ。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

 声を掛けた先にあった表情はオッドアイで美しい少女の顔であり、記憶とはかなり幼い印象を与えるその姿に、この世界の今の年をある程度予想させるには十分だった。

 

 

――あぁ、そうか…困ったな。本当に

 

 

 これからどうしようという悩みに頭痛を覚え、引きつりそうな笑みを隠すようにに満面の笑みで問いかけた。

 

 




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また、高評価を入れていただいた方にもこの場をお借りして感謝の言葉を申し上げさせていただきます。

これからも宜しくお願い致します。
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