滅竜魔導士がオラリオに迷い込むのは間違っているだろうか 作:合体魔人トム・ブラソン
助けた少女の視線が冷たく鋭く、周囲に広がるモンスターたちの死骸を見渡すと、彼女はじっとこちらを見据えた。まだ幼さの残る顔立ちだが、その瞳には強い決意と警戒心が滲んでいる。
「貴様、何者だ」
彼女が静かに口を開いた。
その声は冷ややかで、まるで鋭い刃のように響いた。小柄な体に不釣り合いなほどの威圧感を放ちながら、彼女はしっかりと睨みつけてきている。
助けてくれた相手に対しても、簡単に心を許さないのが彼女の性分だろう。戦い慣れた姿勢や、まだ戦闘から抜け切れていない緊張感が伝わってくる。
――怖え…
暫定年下に対し内心ビビり散らかしているが、決しておくびに出さないように平静を装う。
「通りすがりの冒険者だ。あんたが戦っているのを見て、手を貸しただけだ。」
彼女はその言葉にわずかに眉をひそめ、警戒を解こうとする様子は見せない。それどころか、さらにこちらをじっと見つめ、その視線には計り知れない疑問と不信が込められているようだ。
「私の問いが理解できなかったか?何者だと聞いている」
――ひぃん…何この子超怖い
彼女の言葉は再び鋭く、胸を突くような感覚が走る。その視線は凍えるように冷たく、敵か味方かを見極めようとしている。
平静を保とうとするものの、心の中では彼女の鋭さにたじろいでしまう。
しかし、今はその感情を押し殺し、答えなければならない。
「・・・俺はナツ。ナツ・ドラグニル。
言葉を選び、できるだけ刺激しないように答えた。
なお、ファミリアについては嘘である。この時代にヘルメスがいるかどうかは分からないが、この場を切り抜けるためには致し方のないことだと割り切り彼女に告げた。
――すまねぇヘルメス。でも、主人公のじっちゃんが困ったらヘルメスのせいにしとけと言ってた気がするから多分問題ないでしょ
名を告げたことで少しは心を開いてくれるかと期待したが、アルフィアは表情一つ変えずにこちらを睨み続けた。まるでこちらの本性を見透かそうとするかのようなその目に、思わず冷や汗が背中を伝う。
アルフィアは一瞬の沈黙の後、やっと口を開いた。
「……ふん、まあいいだろう。私はアルフィア。ヘラファミリアに所属している。今は信用してやるが、次あった時は覚悟しておけ」
――何を???
彼女は会話を切り上げると、モンスターの死骸を踏み越え、ダンジョンの奥―ナツが向かおうとした方向―へと歩き出した。
「何を覚悟すればいいの?こわぁ…」
小さくない重圧から解き放たれ、茫然としたまま本心からの言葉をこぼした。なお、倒したモンスターから出た魔石をちゃんと拾い集めた。
意外な出会いとこれからの展開に頭を悩ませたが、ナツではなく魂の性格からまぁなるようになるでしょの精神で考えるのをやめて、再び歩き出した。