ジンとベルモットの息子は人々を幸せにしたい 作:アルトリア・ブラック(Main)
ー事務所ー
ウィリアム・ルーキンは通称・黒の組織の落とし子だ。
半年前に壊滅した組織が海外に所有していた孤児院から普通の養護施設に送られたという経歴があった。
ウィリアムは組織の幹部二人の子供として生まれ、生まれてすぐはその孤児院で生活していた。
将来の幹部候補として、よくあるルートだった。
幹部の子供は幹部に育てやすい、外の環境を知らないからこそ内で大事に育てれば外の常識を知らずに育てる。
組織が絶対の存在だと幼い頃から刷り込めるから
「孤児院に引き取られたのに親がいるって、おかしな話ですよね」
椅子に座っていたウィリアムに話しかけて来たのは、助手の義妹で名前はマリア・ルーキン。
ウィリアムの過去を知っている人間だ。
「二人からしてみれば自分の手元に置いておくよりも安心だって思ったんだろうね、まさか、半年前にああなるとは思わなかっただろうけど」
「そのおかげで義兄さんに出会えましたし、私は嬉しいですよ?」
そう言ってコーヒーを出して来る。
「俺もそう思ってるよ」
ニコリと微笑むとマリアも微笑んでくる。
すると、テレビのニュースが切り替わり先日起こった『ーー小学校いじめ事件』についての話題になっていた。
その事件の被害者が加害者の娘をいじめていた報道がされ、その加害者女性の復讐という話になっていた。
それに関していじめの重大性、過去に起こったいじめられていた子供の自殺など話題になる。
『いじめをなくすことは出来ないのでしょうか?』
『やはり、教師達が厳重に見て注意して行く必要があるのではないでしょうか?』
と議論されていた。
「そういえば、義兄さん、警察から事情聴取されました?話によれば、加害者女性の洗い出しを手当たり次第しているとか聞きましたよ」
そう言ってソファーに座る
加害者女性は複数の病院に行ったりしていた。
何ヶ所か病院を転々としており、その中に自分の元にも来たことがある。
「おそらくもうすぐ来るんじゃないかな」
加害者女性は最後獄中で幸せそうに死んだに違いない。
(…まぁコレはメディアにも報道されていない事実だから言わないようにしないとな)
そう思っていると、インターフォンが鳴り、マリアが対応する。
「先生、警察の方です」
「通してくれ」
「はい」
立ち上がりソファーの前に移動すべく歩こうとした時に警察官二人と私服姿な工藤新一がいた。
「失礼します」
刑事達はマリアに案内され対面のソファに座る。新一も流れるようにソファーに座る
対面に座ると、刑事達を見る
三人が座り、刑事達は落ち着いたように、流れるように手帳を見せる
「警視庁捜査一課刑事、高木渉です」
「同じく捜査一課刑事、佐藤美和子です」
「俺は…」
新一が自己紹介をしようとする。
「知ってますよ、高校生…今は大学生でしたね、大学生探偵工藤新一。警察から良く相談されて事件を解決するとか、結構多忙じゃないですか?」
お世辞のように言うと新一は苦笑いしつつ
「俺のために、真実のためにやってますから」
その言葉に「そうですか」と返し刑事二人を見ると、案の定、事件のことについて聞いて来る
「加害者女性の須藤美代子さんについて何か知っていることはありますか?」
佐藤刑事の言葉に差し出された写真を手に取って見る
「あぁ、彼女は良く私の所に来てましたね、数年前に自殺した娘さんのこととかいろいろ話してましたね、彼女がどうしましたか?」
そう言って写真をテーブルに置くと高木刑事が『数日前に刑務所内で舌を噛み切って自殺しました』と話して来る。
「舌を噛み切って…失礼ながら、処置は間に合わなかったんですか?」
自殺の仕方に驚き、助からなかったのか聞くと二人は悔しそうに「はい」と言う。
「…そうですか」
「…自殺する傾向はありましたか?」
新一の言葉にそちらを向く、斜め前に座っている新一の目は疑っているような眼差しだった。
「傾向があったかと言われればありましたね、精神病を発病した患者さん特有なんですが、最後の頼みで心療内科に受診されるんですよ、その方達の何人かは死を考えているような暗い表情をしているんです。彼女も最初はそんな目をしてましたね」
心療内科に受診してくれるのはまだ良い方なんですよと言うと佐藤刑事が、自分が開いている個人病院の話をして来る。
結構調べたのか、佐藤刑事が書類を見ながら話し始める。
「『むやみやたらに薬を出さない病院』『話を聞いてくれる優しい外国人の男性医師』と良く言われてますね、心療内科は普通薬を出すのが一般的だと思いますが…貴方のところはほとんど出していない。なんなら睡眠薬だけの処方しかしてないみたいですね」
「それで回っていけるんですか?」
高木刑事の言葉に『まぁギリですよ』と微笑む
「病院と言っても大病院程じゃなく、個人で経営してますから、もちろん患者さんが抗不安薬を出して欲しいと言われれば出すこともありますが、基本的には薬に頼らないカウンセラーを目指してるんです」
微笑んで佐藤刑事を見る
「
話をしつつ、新一が『優しい言葉で相手が自殺してしまう、とは考えたことなかったですか?』と聞いて来る
「く、工藤くん…」
高木刑事が慌てながら言って来る。
「もちろん、カウンセラーをやる中で患者が自殺してしまう例も少なくありません…でも、私は進んで自殺を勧めたりなんてしませんよ」
新一と面と向き合う
「
だから、故意になんてやりませんよと微笑むと新一は何か引っかかっているのか、疑いの眼差しは変わらないが、素直に頭を下げて来る
「須藤美代子とはそれ以外で関わりはない、と?彼女のメモ機能に貴方が娘の自殺の調査をしてくれている。みたいに書いてありましたが」
「あぁ、彼女から娘がいじめによる自殺をしたことは聞いてました。副業と言うほどではないのですが、探偵業も少しやってましてね、まぁ貴方程ではありませんが」
工藤新一を見る
「カウンセラーの片手間、探偵、結構疲れませんか?」
高木刑事の言葉に笑いながら「確かに疲れますけど、病院の方は毎日やっているわけではなく、結構休みが多い病院なので、その休みの日に」と言う
「へぇ…それは凄い」
高木刑事の素直な感想に「ありがとうございます」と微笑む
「それに、私一人でやっているのではなく、義妹のマリアも協力してくれてますし」
そう言うと後ろにいたマリアがペコリと頭を下げる
「…義兄は予約もかなりあるのにそういう探偵もやるので、結構大変ですよ」
「すまないね、マリア」
「…最後に、本当は最初に聞くべきことだったんですが、お二人はなぜ日本に?」
ロシア人ですよね?と高木刑事に聞かれる
ウィリアムは少しだけ笑い
「
「私もです」
そうハッキリい言う妹とウィリアムに佐藤刑事は「ありがとうございました。また、何かあれば伺うかもしれません。失礼します」と言って事務所から出て行く
車に三人が乗り込んで行くのをウィリアム一人で見送り、事務所内に戻ると…
「義兄さん」
そう言って盗聴器を見せて来る。ちょうど、新一がいたテーブルの下に隠れるようにあったとのことだった。
「後で警察に届けようか、コレ、立派な犯罪になるし」
そう苦笑いして聞こえないように新聞やテープでグルグル巻きにする。
「…立証しますかね」
マリアの言葉に「さぁ」と返し
「警察と彼は結構仲良いみたいだから怒って終わり、てことになるんじゃないかな?」
「…犯罪ですよコレ」と嫌そうな顔をするマリア
「まだ彼は大学生だから出さないでおこうか」
それを引き出しの中にしまう。
「勢いでうまくやろうとしてもダメだというのにね」
そう言って「ご飯にしようか」と妹と共に事務所から出て行く
マリア・ルーキン
【性別】女
【身長】170
【年齢】??
【容姿】クリーム色の金髪に青色の瞳
【職業】助手
【趣味】多趣味(格闘技・パソコンなど)
【好きなもの】義兄
【嫌いなもの】男性(義兄以外)