ジンとベルモットの息子は人々を幸せにしたい 作:アルトリア・ブラック(Main)
なので、トリックを見つけて推理するのは新一です。
ー米花ホテルー
ウィリアムとジャックは米花ホテルに着くと、駐車場に車を入れ、チェックインを済ます
「見晴らし良い部屋だな」
そう言うジャックに「最上階だからね」と言う
「マリアも連れてきた方が良かったんじゃねぇか?後でネチネチ言われねぇか?」
ジャックの笑みに苦笑いし
「マリアは絶景とか興味ないんだよね、多趣味だけど」
「コレも趣味にしちまえば良いのにな」
そう言いつつ、荷物を取り出して、ホテルの金庫に入れる
「そういや、例のガキ…じゃねぇな、例の青年、お前の事務所に盗聴器なんて設置したんだってな?」
静かに言うジャックの瞳には苛立ってる瞳をしていた。
「多分、俺が一番怪しいからだろう。否定はしないけど」
コートをハンガーにかけ、ジャックのコートもついでにかける。
「立派な犯罪じゃねぇか、警察には言ったのか?」
「言ってないよ、まだ、でもまぁ気づいているんじゃない?音を何も拾わなくなったから」
回収しようとするか、それらしい名目をつけて近づいてくるか
「…これだから温室育ちは嫌いだ」
そう言うジャックはドカッとベットに座り、バックから書類を見せて来る
「ほらよ、ある程度情報集めてきた」
「ありがとう」
その書類を受け取り、見始める、パラパラと見てジャックにその書類を返す
「んで、こっちは例のガキのことだな、有名人だから普通の新聞からでも引っ張れた」
「………」
すっかりガキ呼ばわりするジャックに苦笑いしながら受け取る
「…へぇ、温室育ちも良い所だね、でもまぁ…ある意味可哀想な子供でもある」
裕福な家庭で育ち、親は放任主義傾向だった。
今は母親がよく家にいるらしいが、父親は組織のことがあってから少し日本に来るだけで放任主義な所は変わらない。
輝かしい経歴の中、黒の組織の幹部の取引現場を目撃し、毒薬を飲まされ、その薬の副作用で幼児化したことまで書かれていた。
「…幼児化のことは機密情報じゃなかったっけ?」
そう言うとジャックは笑いながら「事の経緯を掴んだロシアの捜査官から聞いたんだよ、確証はなかったが裏どりは出来た」
ロシアの警察官は日本の警察官と違って、個人情報の取り扱いがゆるい事がある(ジャックは捜査官を酔わせて聞いたらしいが)
自国民の事は守るが、幼児化なんて言う各国が欲しがる情報を手に入れるために暗躍した捜査官だっていただろう。
「情報に戸は建てられるが、人の口に戸は建てられねぇからな、それにこんだけ自信過剰な人間だ、ある程度組織の事で警戒したところで本質は変えられねぇ、名探偵毛利小五郎が活躍し出した時期から工藤新一の影が消えかけたって時点でお察しだ」
「ふーん」
そう言うウィリアムにジャックは物珍しそうに
「興味ねぇのか?自分の父親を追い詰めた奴だぜ?」
「知っているよ、だからと言って警戒しないさ、ジャックと同じさ」
その言葉に『あぁそういう』と言って来る
「当たり前の幸せがあって、不自由した事がない生まれ…まぁ、組織に関わった事で不自由が生じたのは自業自得。事件解決のために首を突っ込むのは良いが、組織を壊滅させた時も敵地に突っ込んだなんて話があるぐらいだ。事件解決のためならなんでもするタイプだ」
ウィリアムはその書類をジャックに渡す
「一つだけ分からないことがある」
そう言ってテラスに行くとジャックが「あ?分からない事?」と聞いて来る
「
「………」
ウィリアムの両親は凶悪な事件を数々引き起こした事、日本警察の刑務所では簡単に脱獄してしまう可能性があったからこそアメリカに輸送された。
地平を眺めるウィリアム
ジャックは腕時計を見て「もう飯の時間じゃねぇか?下のレストランも開いたし、行かねぇか?」と聞いて来る
「そうだね、そうしよう」
笑顔で振り返る
二人はエレベーターで一階のレストランに行き、食事を摂っていると…
少し離れた所から誰かの悲鳴が聞こえて来る。
「なんだ?」
ジャックが野菜を食べながらそちらを見る
「……人でも死んだんじゃないかな」
そう呟くと、ジャックは野菜を食べ終わり、フォークを置く
悲鳴の上げ方ひとつで何が起こったか大体分かるウィリアムは手を拭くと、数十分遅れてやってきた警官たちの内数人がこちらを見て何か話していた。
「……『外国人に事情聴取するのはどうする?』だってよ、日本語出来るって教えてやるか?」
警官の口を読んだジャックがウィリアムを見てくる。
「…口元読んで『日本語分かります』なんて返って疑われそうな事しないよ?それに、もうすぐ来るさ…」
「失礼、事情聴取に来ました」
そう英語で話しかけてきた白鳥刑事にウィリアムは笑顔で「日本語分かりますよ」と返す
「…実は先ほど殺人事件があり…皆さまにアリバイをお聞きしてまして、あちらで良いでしょうか?」
そう言って少し離れた場所に案内される。
「………」
警察官や鑑識に混ざるように遺体を至近距離で観察する工藤新一に眉を顰める。
(…被害者は男性、首を切られた故の出血死?)
探偵と名乗ってはいるが、遺体の特徴から犯人を割り出すような鑑識みたいな事は出来ないウィリアム
その代わりにジャックはそういうのに詳しく、斬られた傷跡から凶器のサイズまで耳元で言って来る。
それと同じ凶器を言う工藤新一
「……」
「被害者と一緒に来ていたのは佐藤裕樹さん。小川奈津江さん、湯浅明菜さん、大須昭雄さんですか」
目暮警部の言葉に頷く四人
容疑者候補はここにいる全員だろう。工藤新一とその恋人・毛利蘭と鈴木財閥の娘は無関係だろう。
「………おや」
小さい声で蘭の隣にいる人物と目が合う
その人物はビクつき、少しだけ顔を逸らす
その動きに気づいたのか新一がこちらを振り向いて来る
自分を見て分かりやすい反応を見せて来る
(……分かりやすいなぁ………)
その顔には驚愕の他に凶悪人物を見たような表情、なんで、ウィリアムがここにいるのかという動揺が見て取れた。
そして、自分と仲良さげに隣にいるジャックを見て完全に警戒しているのが見て取れる
(結構素直なタイプだな…)
探偵に向いてないんじゃないかというぐらい顔に出過ぎな気がしたが、ここまで感情が伝わればコソコソしてる必要もない。
「犯人分かったのかい?工藤新一くん」
そう声をかけると新一がビクつき、ジャックが後ろから「お、おい…」と声をかけて来る
「あ、アンタは…」
「知り合い?新一」
毛利蘭の言葉に慌てながらどう説明しようか悩んでいるようだった。
(…伝えてない?恋人なのに?彼女は…宮野志保は知ってるな、鈴木財閥の令嬢にも伝えてないのか)
自信過剰な性格と先日の事情聴取のことを思い出し、周りに伝えてると思ったが、宮野志保の反応以外は知らなさそうだった。
「初めまして、私、日本で心理カウンセラーをしてます。ウィリアム・ルーキンと言います。先日、工藤新一くんと知り合った者です」
そこまで言うと大体察したのか「毛利蘭です」と頭を下げて来る。
名刺を二人に見せると鈴木園子が名刺を見て、場違いなぐらい大きな声で『あ!滅多に薬を出さない、イケメン外国人カウンセラーがいる病院のドクターじゃない!どんな精神病も治しちゃう稀代のドクター!』と大袈裟な表現まで使って来る。
「…稀代のドクターなど…ただ話聞いているだけですよ」
苦笑いしつつ、周囲を見る
園子のその言葉に佐藤と小川と呼ばれた人間が反応する。
蘭が園子にその事について聞いていた。
容疑者四人の表情を見渡し、被害者男性を見る
「なぁ…何しにここに来たんだ?」
新一の警戒の強さにウィリアムは微笑み
「
冗談混じりに言うと「レストランに来たんだ、ホテルに来たんじゃねぇ」と否定して来る
(…嘘ついてるな)
ウィリアムの視線が宮野志保に行くたびに彼は話を振って来る。
「ところで、工藤くん、犯人分かった?」
「………」
無言の工藤新一にウィリアムはある人物を見て
「私は犯人の
「!?動機が分かった?!」
その過程にビックリしたのか声を荒げる
「あくまで推測でしかないし、君の推理を聞けば確定するかもしれない」
「…今回、アンタは本当に旅行なんだな?」
新一の言葉にニコリと微笑み
「旅行だよ」
そう言って容疑者四名のそばに向かう