シナリオ100点道徳0点の世界に料理人をぶち込んだお話 作:エヴォルヴ
ようこそ、スパイダーハウスへ。
この飲み物はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、この作品を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「殺意の波動や愉悦」みたいなものを感じてくれたと思う。
道徳0点な世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、この作品を作ったんだ。
じゃあ、注文を聞こうか。
谷とかは幕間でやろうかなと思ってます。
あと、フロムは一応紋章を持ってます。手に浮き上がってます。手袋とか鎧で見えないけど。
あ、容姿についてですが、以下の通りです。
髪:白髪
肌:病的なまでに白い肌
瞳:明るい翡翠色、瞳孔は魔獣のような赤。
顔:優しげな顔立ち。ベレトとクロムとルフレ(女)を足して2で割ったような顔。
体格:細い。が、意外と筋肉質。体は柔らかい。
背丈:ベレスよりも高い。理想的な身長差と言えば伝わるだろうか?
武器:盾、拳、脚、鎧。たまに倭刀。友人から貰った呪符。
紋章:炎
ちなみにベレスとフロムを組ませたらイエリッツァが完封されます。
ベレスを相手していると、掴まれて破壊コンボが始まります。フロムを相手にしているとその頑丈さと変幻自在な戦闘スタイルに翻弄され、ベレスの攻撃を防げなくなるくらいに集中力を切らされます。
ソロ? まぁ、最低でも腕一本とあばら二本は持っていくんじゃないですかね。掴んだら絶対にぶっ壊します。確殺できずとも、次に会った時に確殺できるレベルまで負傷させるのがフロム君です。そもそも鎧の性質を知っていても対応が難しいでしょう。
ストリートファイターズしてる中、フロム君はデビルメイクライをしてきます。もしくはベヨネッタ。
フロムという男は、凄まじい男じゃ。
まず、妾とベレスとの会話が聞こえておる。しかも聞こえていながらさらっと流す度量もある。
思えば不思議な奴じゃな、あやつ。わしを見ても驚きもせんかったし、本人は全く気づいておらんかったが……わしを見て、どこか懐かしそうな顔を見せた。知り合いにわしみたいなやつがおったのかのう? もしかしてわしの知り合い────は、無いの。だったらすぐに記憶について教えてくれるはずじゃし。
『のう、フロムや』
「ん?」
『それはなんじゃ?』
「サンマだよ」
氷水に漬けられた細長い魚を、フロムは『サンマ』と呼んだ。サンマ……聞いたことがない魚じゃのう。
「まぁ、馴染みがないかもね。俺もあんまり見たことがないし」
『なんと』
フロムは結構グルメじゃから、知ってると思っておったが……こやつにも知らないこと、あまり食べたことがないものはあるんじゃな。
「そもそも、保存技術が少ないこの辺りじゃどうしてもね」
『ほう、ということは……脂が乗っている魚、ということか?』
「正解。脂が乗りすぎて、下魚、猫跨ぎ、なんても呼ばれてるみたい」
脂が多いというだけで敬遠される食べ物、か。贅沢なもんじゃのう……ジェラルト傭兵団の連中を見てみよ。どんなものだろうと美味しく、楽しく食べよるぞ。ああいうのを見ていると、本当に腹が減ってくるのだ。
『ところでフロムよ。あの剣はどうしたのじゃ?』
「剣……ああ、ブルトガングだっけ? マリアンヌさんに渡しておいたよ。彼女の方が使えるだろうし」
数週間前の話。フロムがマリアンヌと共に山に出かけた時のことじゃ。突然現れた巨大な獣に襲われたフロムは、そやつの目に突き刺さっていた剣を引き抜き、ぶん投げたり包丁を使うように振り回したり、盾でぶん殴ったりして殺した。まさかガントレットの形状を変えて、ブルトガングを杭のように打ち出すとは思わなんだ。
わしはその時、ベレスではなくフロムについて行ったのじゃが、相変わらず化け物じゃの、この男。ああ、獣じゃが、フロムの胃の中に消えた。動物を殺したからには食う。フロムらしいの。
「あれ、道具の癖に人を選んでたよ。数回ぶん殴ったら大人しくなったけど」
『英雄の遺産とはそういうものなのじゃろう。恐らくじゃがの』
「英雄の遺産ねぇ……あんな使い難そうな武器で戦うなんて、余程自信があったのか、それとも使わざるを得なかったのか」
あの武器を見ると何か背筋にゾワゾワとするものがあるんじゃが、それがどうしてなのかは分からん。そしてフロムよ、ブルトガングを結構な力で殴っていたのはそれが理由じゃったのか……確かに「道具の癖に人を選ぶな。従え」と言っておったが……あの時の顔は底冷えするような表情じゃったなぁ。
『しかしフロムよ。あの武器はすっぽ抜けておらんかったな』
「うーん……あれは武器というか、生き物の骨っぽかったし……抵抗するのは生きてるっぽかった?」
生きてる武器、か。あんな骨剥き出しになっても生きておる存在など、この世に存在するのかのう。
『その後、大事ないか?』
「うん。それよりも今はこのサンマに集中しようじゃないか」
『おお、そうじゃったの!』
最近になってじゃが、わし一人でも────フロムが近くにいることが条件じゃが────食事をできることが判明したからのう。ベレスに何度か悪戯をされた恨みを味の情報だけ送りつけるという仕返しをしてやることが増えた。それもこれも、あやつが勝手にプリンを食べたりするのが悪いのじゃ。
「さて、一品目は刺身として……次はどれをご賞味してもらおうかな……」
『ほう、刺身か!』
生の魚を食べる、という行為は傭兵団の連中も最初は敬遠しておったが、フロムの────ケーキ寿司じゃったかの。スモークサーモンとクリームチーズ、サーモンの卵の醤油漬けを下から米、サーモン、米、サーモン、クリームチーズ、卵の順に重ねた華やかな品を女性団員が口にして蕩けた表情を見せて食べ始めてからは、生魚を食べることに忌避感が無くなっておった。
フロムは食べ物に対する苦手意識を減らすことに長けておる。傭兵団だけではなく、立ち寄った村で野菜を苦手とする幼子に対して、無理矢理食べさせるのではなく、その場所で採れるものだけで菓子やハンバーグ、つみれなどを作って食べられるようにしてしまう。その才能はまさに天賦の才と言ったところじゃ。あやつも、そうじゃったな…………………………む? あやつとは、誰じゃ?
「ソティス?」
『む? おお、すまんすまん……って、おお!?』
ぼんやりと考え事をしていたわしの前に置かれた、銀皮と赤みがかった肉のコントラストが美しいさんまの刺身。花のように盛りつけられたそれは、食べるのがもったいなく感じるような一種の芸術品にも見える。
そんな気持ちを振り払い、箸で一枚、サンマの刺身を取る。ベレス以外がこの光景を見たら、箸が独りでに浮いているように見えるじゃろうな。
『あ、む。……ん~っ、甘い! 甘いぞフロム!』
「いいサンマだからね。脂は甘いし、しかも美味い」
『こんなに美味い魚を猫跨ぎなどと……勿体ないのう』
採れたとしても、食べることができるのは漁師ぐらいなものじゃ。しかし、捨てるか海に返すことしかしない。勿体ないのう。
パクパクと刺身を口に放り込み、口いっぱいに広がる脂の旨味と肉感などに舌鼓を打ち、食べきったところで炭火の香りと共に次の品が提供された。それは、魚を食べる時に最もポピュラーな食べ方と言える、塩焼き。
『シンプルじゃのう。刺身もそうじゃが』
「東の国じゃ、これが究極の美食だー、なんて言ってる人もいるらしいよ」
『ほう。ならばいざ……』
フロムのやり方を真似て、サンマの骨を除き、ふっくらと焼き上がったサンマを一口。すると刺身とは違う熱い脂の旨味とふっくらとした肉の食感がわしを刺激した。焼くと質感が変わるのは知っておったが、美味さのベクトルが一気に変わりよった!
『フロム! 米じゃ! 米が欲しい味じゃぞこれは!』
「大根おろしと合わせるとさっぱりするよ」
『む? ────おお! これはこれで……しかし米が欲しいぞ、フロムよ』
「米はもう少し待ってほしいな。今回のメインでもあるからさ」
むぅ、米はお預けか……少し残念じゃのう……む、次に用意された品はカルパッチョかの? 炙ったサンマと野菜、オリーブオイル、スパイスのハーモニーが楽しい品じゃ。しかし、塩焼きサンマと食べ比べると、焼いたサンマの方が魅力的に感じるのう。
「焼きサンマが気に入ったかな?」
『うむ。凄く気に入ったぞ』
「それは良かった。────────────じゃあ、これはもっと気に入ってくれるかもね」
『おおおお!?』
フロムが持ってきた土鍋の蓋が開かれた瞬間、広がる独特な香り。そしてそれを見るだけで、口角が上がってしまうそれは────炊き立てのご飯! しかも炊き込みご飯じゃ! 昔、猪とキノコと山菜で作った炊き込みご飯を食べた時から、わしやベレスは米の魅力にやられてしまった。
「はい、どうぞ」
サンマを丸ごと炊き込み、ほぐされ、混ぜ込まれた炊き込みご飯を茶碗に盛ったフロムからそれを受け取り、生唾を飲み込んでかき込む。……ああ、言葉にできぬ幸せとは、こういうものじゃったのか……美味い。先程まで食べていた刺身やカルパッチョ、塩焼きサンマとも違う、海と陸の調和を感じる料理。やはり、米料理が一番好きじゃのう。
『美味いのう……やはり、食事とはいいものじゃ』
「〆も用意してるから、お腹に余裕を持っておいてね」
『む、そうか……では、おかわりは一膳にしておくかの』
最初の一膳を食べ終え、もう一膳食べる。……む、このキノコ、いい味を出しておるな。おお、山菜も中々……そしてたまに感じる独特な香りと塩味はもしや……
『糠か?』
「よく分かったね。そう、この炊き込みご飯で使ったのは
糠漬けを酒の肴にしていたのを見ておったからのう。それと、野菜の糠漬けを食べたこともある。あの独特な味は、意外と嫌いじゃない。
「旨味の凝縮、味の補強なんかで使うんだけど……本でしか見ていないから上手くいって良かった」
『わしを実験に使ったのか?』
「いや、一応自分でも試したんだけど、本当に美味しいのか分からなくて……」
なるほど、自分以外の味見役がいなかったゆえに、か。フロムは謙虚じゃからな。自分で作った料理を食べてみて美味しかったとしても、味見を頼み、美味しいと言われたものだけを店のメニューにしておる。全く、自分の店じゃというのに謙虚な奴じゃ。
「ま、ソティスが美味しいって言ってくれるなら問題ないかな」
『うむ。わしの舌を信じよ!』
「そうするよ。……さて、これが〆だよ」
そう言って小さな鍋をテーブルに置いたフロムは、小さな鍋に入っていた白いスープを土鍋に注ぐ。これは……おじや、というやつかの。リゾットとは少し違うようじゃし。
「豆乳と、白味噌、あと隠し味にチーズを入れた出汁スープさ」
『むぅ……!』
どっしりとしていながらもしつこくなく、さっぱりとしていないはずなのに、するすると米が入っていく! うーむ、炊き込みご飯、塩焼きサンマ……甲乙つけがたい! しかし満足度で考えると、こちらの方が……!
「またサンマが手に入ったら、皆で食べよう」
『む? うむ、それはいいことじゃの』
「やっぱり大勢の人と食べた方が美味しいからね」
そう言って笑うフロムを見て、無いはずの記憶が疼く。わしは、前にもこうして誰かと話をしたことが……あった、ような、なかった、ような……確か、あの時は……誰かに拳骨を喰らったような……? うん? 分からん、分からんぞ? なんじゃ、この既視感は。
「どうかした?」
『うーむ……思い出せぬ……』
「記憶?」
『そうじゃ。思い出せぬ……お主に似たやつと食事をしたようなことがあるような、ないような……』
「うーん……? まぁ、ゆっくり思い出していけばいいんじゃないかな。はい、デザート」
おお、リンゴのシャーベットか。うむ、さっぱりした甘みが口の中をスッキリとさせる。ふふふ……ベレスのやつ、絶対に空腹でこちらに向かってくるじゃろうな。いい気味じゃ。勝手に食べられたプリンの恨みも、これでチャラにしてやろうかのう。
フロム君に捻じ伏せられて色々変化(破損)してしまったブルトガングモドキを作ったんだけど、挿絵として写真を乗せてもいいのだろうか?ガイドライン見ても分からなんだ……
あ、次回はゲームの最初の方を描写しておこうかなって考えてます。わあ、地獄がまだ終わらないや!
ちなみに、この作品を作る時の私の心の描写は以下の通りです。
闇の私(以下闇)「見て光の私!フロム君が女の子と踊っているよ!可愛いね!」
光の私(以下光)「ああ、なんとも幸せそうだな。夢でも踊ってやがる」
闇「フロム君が一緒に逃げようと言わなかったので、女の子は動かなくなってしまいました。フロム君のせいです。あ~あ」
光「すまん、フロム君。辛いよな……」
闇「泣いてるところも可愛いね!」
光「ところで闇の私、本音は? 案外、フロム君も初恋をすっぱり忘れて幸せになれる相手ができるかも――――」
闇「嫌だ! フロム君が初恋を捨てて幸せになるなんて!! 一生初恋の相手を想い続けていてほしい! 少なくとも百年は引きずっていてほしい!!」
光「カッコ悪いとか情けないとか通り越して気持ち悪いよ」
闇「フロム君には幸せになってほしい。けどあと百年ぐらい初恋を引きずっててほしい。女泣かせであってほしい。幸せになってほしい。心が二つある。だって、私の子供だよ。オリ主とは、自分で生み出した作品のキャラクターは、私の子供だよ。子供に幸せになってほしいと願わない親がどこにいるんだ」
光「物語は終わるから美しいのか、続くから美しいのか。人の心の暖かさがあるからこそ――――」
闇「人の心の無い話が突き刺さる。しかし、だからこそ――――」
光「人の心の暖かさを示さなくてはならない」
闇「で、ハピエンにどう持っていく?」
光「分からん」
常にこんな感じで自問自答しながら書いてます。