隣の彼女は小さい暗殺者で可愛い捕食者でカッコイイスパイで俺の彼女   作:SGMY

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主人公は作者を元に作っています。なのでヒーローオタク、怪獣オタク、勉強出来ない、不健康、恐竜好きです。


第1話

高校生、それは殆どの人が夢に向かい、歩き出すころじゃないだろうか。各々夢を抱き、羽ばたく場所……なのだが、俺、寒川零斗に夢はもうない。羽ばたけないのだ。

その理由の一つが目の前に見えた。男女6人の集団。5人の美女に囲まれた一人の男が楽しげに笑っていた。俺は近付く前に鞄の中からヘッドフォンを取り出し、スマホに繋げて音楽を聴く。わざと音量を上げて会話を聞こえないようにする。

彼女らの名は……いや、別に答えなくてもいいだろう。もう関わることなどない相手だからだ。

俺の青春は終わった。一人の男と出会ったからだ。恋が終わるのは悲しい、だが「終わり」とはソレ相応の「始まり」をくれる。まぁ、恋をしていたわけではないのだが。

 

毎朝アイツらがイチャ着いているの見たくねぇなぁ…

 

下駄箱で自身の上靴に履き替えて教室へと向かう。自身の席は不幸にもあの集団のすぐ後ろだった。

最悪だ。授業中は耳を塞ぐこともできないから嫌でも話し声が聞こえてくるのである。しかも俺の隣はその男の幼馴染らしい。

 

「これが夢だったらどれだけ良かったかな…」

 

教科書やノートなどを机の中に仕舞い、鞄を机の横に掛けてドアの方を向き、腕で枕を作って目を瞑る。

すると丁度彼らが教室に入ってきた。呑気な笑い声が聞こえてきて、俺を寝かそうとしなかった。

どうにか寝る方法はないだろうか。出来れば早めにチャイムがなってくれ…

 

「雫、いつも何をしているんだ?」

 

雫?雫って誰だ、コイツの周りにいる元幼馴染達ではない。だとしたら残るは…

 

「ゲームだよ!」

 

やはり、俺の隣の席の女、あの男の幼馴染の結月雫だ。あまり声を聞いたことなかったが、こんな声してたのか…

 

「そ、そうなんだ。ゲームでいったい何を?」

「フレンドからメッセージ来てたから返信してるんだ〜♪」

「へぇ〜、なんて着てたの?」

 

幼馴染Aが結月雫にそう聞く。すると結月雫はスマホ画面を見ながらこう答えた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

っ?!

 

それを聞き、寝返りを打つように顔の位置を変え、目を開けた。すると結月雫とバッタリ目があった。

彼女は俺の目を見てニコッと笑った。だが、その目は他の人間とは違う、鋭い、ご馳走を見つけた捕食者の目だった。

そして小さくこう言った。

 

「放課後に屋上でね」

 

不敵な笑みを零した彼女だが、何処か愛おしいと感じた。

 

「どうかしたのか?雫」

「うん、フレンドからまた来てて、好きだった幼馴染を取り戻す方法とかないかな?だって」

「幼馴染…?そう言えば響希達にも幼馴染がいたんじゃ…」

 

やめろ本人の目の前でそんな話を持ち出さないでくれ!!

だが、俺の叫びは届かず、幼馴染Aである上条響希が答えた。

 

「あ、うん。いたけど…ここに入学してから一度も会ってないかな…飛鳥、あんたのお義兄さんはどうしたのよ」

 

次に従兄妹である神川飛鳥が答える。

 

「最近は部屋から出たところなんて一度も見てないよ。それに一度家を出たのを見たときはありましたけど、返ってくるのは一週間後とかでしたね。あと、前に一度だけ部屋に入ったんですけど―――」

 

おい入ったのかよ!!勝手に入るなとあれほど……

 

そう言いたかったが、飛鳥が続きを言わずに口籠っているのに気付いた。それには響希達も心配そうに声をかける。

 

「ま、前まで物とかが無い気がして…」

「前まで有った物って例えば?」

「服とかですかね。昔、みんなで買いに行った物は有ったんですけど、お義兄ちゃんだけで買ってた服とかがなくなってて…」

 

服がなくな…ん?それって……

 

急な話の展開に俺はついていけず、狸寝入りを続けた。話はどんどん深刻化していくかと思ったときだった。幼馴染Bが言った。

 

「それって………あの変な服?だったら変って知って、ただ捨てたんじゃないの?」

 

俺は初めて幼馴染Bに怒りが湧いた。のだが、ここで怒れば何かと面倒なため、俺は出ずに話を聞くことにした。これは盗み聞きではない。ただ聞こえちゃっただけってやつだ。

 

「それじゃあさ、今度その幼馴染お義兄さん?の部屋に突撃しようよ!大人数で見たほうが意見が出てわかるんじゃないかな?!!」

 

結月雫がそう言った。それに全員が賛成し、そこで丁度チャイムがなった。すると先生がドアを入ってくるのを見ながら、結月雫が何かを紙に書き、すっと俺の机の中へと潜らせる。

 

「…………」

 

ニパッとした顔で机の中を指差す。俺は机の中に入ってる紙を見る。そこには「放課後、屋上で待ってるからね。逃げたら大変だぞ〜♪」と書かれていた。俺が何をしたって言うんだよ…振り返ると彼女は萌え袖で口を抑えて静かに笑う。

 

「チッ…」

 

この女、いったい何が目的なんだよ…

 

 

 

 

 

結局、授業中ずっと考えたが分からず、そのまま時間が過ぎて放課後になる。俺は荷物を持ち、屋上へと向かった。接点がないのに呼び出されるのはだいたい予想が付く。罰ゲームでの嘘告が殆どだ。

屋上へのドアノブに手を掛けて押す。

 

「およ、早かっ「ではさようなら」」

 

ドアを締めて帰ろうと振り返った。すると目の前に結月雫がいた。

 

「うわああ?!!」

 

さっきまで屋上のフェンスで外を眺めていたのにいつの間にか俺の目の前まで移動していた彼女に驚き、尻餅をついて倒れる。

 

「そこまで驚かなくていいじゃん」

「な、なななな、なんで…さっき外に!!?」

「何って、ドアが閉まる前に移動したに決まってんじゃんか」

「は?!ドアが閉まるって…あの一瞬で?!!」

「そうそう。あの時間で」

 

化け物だ…というかなんだよコイツ?!話の展開早すぎじゃないか?!!まさか俺、殺されるとか?!女子の会話盗み聞きしたし!!?

 

目の前の彼女に恐怖し、俺は鞄を盾代わり持つ。

 

「あああ、待って待って!別に取って食ったりなんてしないよ!!今日はお話がしたくて呼んだの!!」

「ええ…?」

 

なんだ、食い殺されるわけじゃないのか…だったら尚更なんだよ…!?まさか、食い殺さずに社会的に殺そうと?!!

 

結月雫は何度か咳払いをし、ちょっと顔を赤くして言った。

 

「んん!!わたし、貴方のことが好きなの!」

 

あ、これ罰ゲームの嘘告だ。どうせ何処からか飛鳥達が出てきて笑い物にされるんだ。ならばここは一つだろう。

 

「無理です」

「え…?な、なん「ではさようなら!!」待ってよ!!」

 

俺は結月雫を無視して下駄箱へと向かい、久々の我が家へと帰った。

 

 

 

〜結月雫〜

どうして…どうして彼に断られたのだろう……自分で言うのもアレだけど、容姿端麗、成績は意外と上位、運動神経抜群で学校の人気者、なのになぜだろうか。

私の鞄が微かに震える。携帯電話だ。鞄の中から取り出し、耳に当てる。

 

「…………はい……わかってます。ですがチャンスを一度では彼を射止めることは出来ません。なのでもう二度…いえ、もう一度だけチャンスをください」

 

わたしは()()に頼み込む。すると上司から「期限である一年間のみ」と返答が返ってきた。その直後には電話は切られた。

携帯電話を鞄の中に仕舞い、屋上から彼が家に帰るのを見る。

 

 

 

 

 

「本当に彼を殺さないと駄目なのかな…お母さん…」

 

 




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