隣の彼女は小さい暗殺者で可愛い捕食者でカッコイイスパイで俺の彼女 作:SGMY
ずっと昔の話だった。ぼくには妹のような子がいた。家が近く年齢も少し離れていたからか姉妹のような仲になっていた。そんないつも通りの日々を過していた。でもあの日、あの男が来た。
ぼく達があの男と初めて出会ったのは家近くの公園だった。
『か、かっこいい…』
あの子は男に一目惚れだったんだ。そこからだ。全てが崩れたのは―――
あの子はぼくだけではなく彼とも遊ぶようになっていた。暇あればぼくのところに来ていたあの子は男の手を取った。
その日からあの子はぼくを頼ることはなくなった。
一人ぼっちになったぼくはその時流行っていた漫画に影響されて暗殺術を学んだ。それを知った母はライバル社に対抗するためとぼくに色々な技術を学ばせた。そこには数学や英語だけではなく暗殺術などの人の目に止まってはいけないような物も入っていた。
漫画に影響されたのもそうだが、どうにもあの男にあの子を守れる気がしなかった。母から聞いた話だが、あの男がそばにいながら自動車に轢かれそうになったらしい。だから妹を守れるような姉になりたかった。
それから数年、ぼくは小学生になった。あの男と同い年だったため、同じクラスにはなりたくないと願っていたのだが、同じクラスになってしまった。
『■■■ちゃんがね、この前公園でぼくにすき―――』
あの男の口からあの子の名前が出てきたとき、ぼくの溜まりに溜まっていた何かが爆発した。あの子の名を口にするなと、あの子に近付くなと。
その日はそれから話してこなかった。その日の夜からだ。家に誰かが来て母が出るとその人物はあの子の母だった。
遊びに行くと言ったあの子が帰ってこないらしい。数年前まで遊んでいたからぼくのところに来ているんじゃないかと思ったらしい。だけどぼくはあの子とここ数年で一度も会っていないことを伝えた。
暫くしてあの子の母は再び探しにあの子を探しに出ていった。
どうしようとオロオロしていると母が聞いてきた。
『■■■ちゃん、最近誰と遊んでるか知ってる?』
そう言われて素直にあの男のことを話した。すると母は目を丸くして驚いたあとに小さくこう言った。
『………あの人には悪いけど諦めるしかないわね』
母がそう言った数日後にあの子は路地裏のゴミ箱の中で発見された。近くを通った人によると血の臭いが酷かったらしい。それはそうだろう体中傷だらけになって発見されたのだから。
病院で未だに目を覚まさないあの子はいつ死んでも可笑しくない。生きれたとして記憶に異常や体に異常があってもなんら不思議ではない。そんな状態らしい。
『雫、ちょっといい?』
母がそう言って勉強中だったぼくの部屋に入ってくる。母は真剣な顔をしていた。
『■■■ちゃんの仇、取りたい?』
そう言われて迷わずに首を振る。
『なら貴方にはこれから我が社の手足になってもらうわ』
それがどういう意味なのかはわからなかった。でもあの子の仇が取れるならなんだってしてやる。そう決めた。
そしてぼくは母が経営する事業を手伝うことにした。殺し屋として、スパイとして。ある程度夜の街にぼくの名が知れ渡った3年前、母からこんなことを言われた。
『雫、■■■ちゃんをあんな姿にした人が判明したわ。今まではもしかしたらってだけだったのだけど、さっき手に入れた情報で確定した』
疲れて眠りかけていたぼくに寝耳に水だった。そしてその人こそがあの男だったんだ。
ぼくはすぐに家を飛び出そうとしたが母に止められた。
『雫、教えたはずよ。私欲で人を殺してはいけないと。貴方に教えたのはこのためじゃないのよ。怒りに身を任せれば貴方が死ぬわよ』
でもと反論しようとしたぼくに母は言った。
『ヤツらは昔から人を道具のように扱う。それで命を落とした人はもう数えてはないわ。今でもわたしらを道具としか見てないのでしょうね』
どうやら母もぼくと同じで大切な人を男の親に殺されたらしい。
『だから雫、ヤツらを潰すのよ。わたし達で』
そう言われた―――
「わかった?だからわたしはあの男が許せないの」
「あぁ、納得したわ。ならもっといい作戦を考えないとな。その妹さんにも」
「実の妹じゃないよ。幼馴染のような子」
そう言ってぼくは部屋の外に出る。
「眠ってるそこから見守っててね―――
翼