隣の彼女は小さい暗殺者で可愛い捕食者でカッコイイスパイで俺の彼女 作:SGMY
〜飛鳥〜
ううぅ…みんなには悪いことをしちゃった。わたし一人で取りに行けばよかった…
顔だけ振り返ると二人はわたしを睨んでいた。そうだ、それが普通なんだ。一度前を見てもう一度振り返り、頭を下げた。
「二人とも…ごめんなさい…わたしがお土産探しに行こうなんて言っちゃったから…みんなを巻き込んでしまって…ごめんなさい!」
罵倒してくれていい、蔑んでくれていい。だけど、二人はそんな事をしなかった。
「顔上げて!飛鳥のせいじゃないよ。道標も作らずに山奥へ行った僕達にも比がある。それに零斗ともう一度お話…したい……よね。何も言わずに一人にしちゃったし」
美笠がそう言ってくれる。響希も頷いてくれた。
「それにしてもここってキャンプ場の近くだよね?キャンプ出来る場所が一つもないの可笑しくない?」
「確かに…でも、もしかしたらここは結構奥なのかも」
そのまま行き先も分からずに歩いていると雨が降り始めた。
「最悪…!どこか雨宿り出来そうな場所は…!?」
辺りは草と木だけで傘は持ってきていなかった。だけど美笠が木の根が屋根のようになっている場所を発見した。わたし達はそこで雨が止むまで過ごすことにした。
「お菓子ってなにかある?」
「他の動物が来たら大変だから我慢だよ!熊とか出てきたらもう勇者でしか倒せないから!」
「そんな魔王とかじゃないんだから…でも熊が出てきたらわたし達じゃ敵わないよ」
「ここは静かにやり過ごそう…」
そう言い、二人は睡眠を取った。
「え?わたし一人で見ないといけないの…?」
ため息を吐きながら二人のジャケットを布団の代りにかける。
「わたしも眠くなって…き…ちゃ…」
そのままわたしは眠ってしまった。
物音がして重い瞼を開けると最初に映ったのは誰かの顔だった。ぼんやりしてて見えないけど、わたしはその人におんぶされていた。
「全く、心配かけさせやがって…」
「妹思いの良いお兄ちゃんだこと」
「もう兄じゃねぇよ」
おにい…さん…?
温かいその背中に全てを任せてわたしはまた眠りに着いた。次に目を覚ました時は合宿施設の中で、先生が慌ただしくしていた。
あれは夢だったのかな…?
でもあの温もりは本物だった。ならこのクラスにお義兄さんがいる。でも、お義兄さんらしい声の人なんていない。授業に出ていればほぼ全ての人の声が聞こえる。だけどお義兄さんの声はなかった……っ!!
そうだ。わたしはまだ
〜零斗〜
「おんぶなんて何年振り?」
飛鳥達を合宿施設まで運び終わり、自由時間俺の一人部屋に結月雫が入ってきてはそんな事を聞いてきた。
「さぁ?いつ振りだろうか、もしかしたら去年かもしれないし一週間前かもしれない」
「一週間前は絶対ないでしょ、真面目に答えて!」
ぐっと迫られ、俺は考える。いつ振りなのか正直俺にもわからない。
「…この学校に入ってからかもな」
「へぇ?どうだったの?妹さんの感触は」
「妹相手にそんな情出るわけないだろ?ただ一言言うなれば…色々成長したんだなって……重かった」
「うそ、サイテー!女の子相手に重いなんて!!デリカシーのカケラもないわけ?!」
「そんなもん三百年前に置いてきた」
「なんで三百年前?!君何歳だよ?!」
そんな他愛もない会話をしていると結月雫があっと何かを思い出したかのように部屋を出ていく。やっと一人になれると思った束の間、結月雫が帰ってきた。
「これ飲んでよ!家で作ってきたの!美味しいよ!雨で体も濡れてるだろうし温まるよ!」
そう言われて渡されたのはお茶だった。
「悪いんだけどお茶よりも水のほうが…」
「いいからいいから!飲まないと部屋から出さない!」
「マジかよ…はぁ…」
嫌々そのお茶を貰い飲む。
「甘いな」
甘かったのだ。砂糖が入っているのかと思うほど甘かった。飲み干すのを見てから結月雫は暇だからとスマホゲームをし始める。
「一緒にやらない?」
「悪いがそういった類はあんまりしないんだ」
「そっか」
そう言い黙々とゲームをしていく。俺はベッドの上で漫画を読み始める。
読み始めてから数分が経つ頃、結月雫がチラチラと俺を見てはゲームに戻るというのを繰り返していた。
「なんだよ」
「ふぇ?!べ、別に?!」
〜結月雫〜
やっぱりだ。やっぱりそうだったんだ。目の前の彼、寒川零斗には