GOD SLAY──人類初の勇者誕生── 作:ヘブバンはいいぞ
世は神々が群雄割拠し、世界に己が縄張りの線を引く。
言うなれば神話時代の再来である。
──子供が集められた教室で、髭を長く伸ばした老人が歴史を説いている。──
獣が日常を闊歩し、神仏が気まぐれに生命を摘み取り、悪魔が人々を弄び、魔物が自然を蹂躙している。
──集められた子供達は、皆一様に目をギラギラと光らせていた。──
諸君、集められた勇者候補諸君。
我々先達の人類達は失敗し続けた。
獲物と定めた獣に狩られた時もある。
信仰した神仏に見放された時もある。
契約した悪魔に裏切られた時もある。
降伏した魔物に蹂躙された時もある。
人類の活動圏は減少の一途を辿っている。我々にこれ以上後退出来る領域は遺されていない。此処こそが背水の陣がである。
諸君らの先達である我々は、何故これまで失敗したのかを人類活動議会にて会議した結果、出した結論がこれだ。
──バン、と老人が子供達の前にある壁を叩けば、そこに浮かび上がるのは魔力で書かれた魔術文字だ。──
【人と馴れ合わず、神を信仰せず、悪魔を頼らず、魔物を殺し切る】
【それらを成す最強の個の誕生】
馬鹿げた事と思うかね。
そう思ったのなら勇者たる資格は無い。食糧制作の村で桑でも振るっていたまえ。
──老人の言葉と壁に浮かぶ文字に息を飲むものは居ない。覚悟が決まっているのだろう。──
勇者候補諸君、獣を狩り、神仏を倒し、悪魔を滅し、魔物を討て。
チームを組むな。徒党を作るな。弱音を吐くな。隙を見せるな。
理不尽を退け、逆境を跳ね除け、運命を切り開き、人類を救え。
覚悟の出来た者から、この【試練の門】を潜るといい。
──子供達が声高々と吼え、各々の武器を掲げる中で、俺は、エバーブという名の俺は頭を抱えた。──
「前世の記憶、戻るの今じゃなきゃだめだったか?」
──────────────────────────────
人類活動議会と呼ばれる、この世界での人類における賢者の集いは、創作における勇者をこの世に正しく誕生させ、物語の中にいるような獣を、神話に語られるような神仏を、聖書に書かれるような悪魔を、ゲームに出てくるような魔物を殺し、人類の活動圏を押し広げようとしている。
その勇者を人工的に誕生させる為の場所が、此処──
神滅堂に集められる対象者は、人間種の15歳以下であること、なにかしらの特出した技能、技術、特性等の能力を有していること、大老師と呼ばれるその道の凄腕の推薦を受ける事が出来た者達が集まる。
これらの条件を満たした対象者を勇者候補と呼ぶ。
俺、ことエバードという名の今世の俺もその例に漏れず、常人ならざるモノを持っていて、住んでいた村を総出で送り出された勇者候補の1人の様だ。
身体の知識や経験を違和感なく引き出せるので、俺も周りの子供たちに負けず勇者を目指そう! と言えたら良いのだが、如何せん周囲の子供達と俺の間に圧や覚悟と言ったものに差があるように思う。
日本という平和な土地に生きていた前世の記憶が、たった今戻ったのだから当たり前なのかもしれない。人格は元々この世界を生きていたエバーブと、前世の俺が上手いこと融合して全く新しいものとなっているが、エバーブが元から根暗な質なのか捻た性格になってしまったらしい。
「相変わらず辛気臭いツラしてんなエバーブ! オレはもう今から楽しみでならねぇよ!」
「この子供を集めてやらせられる潰し合いがそんなに楽しみかよ、レイズ」
俺の肩をバンバン叩きながら、好戦的な特徴的なギザ歯を見せながら笑う
「オレは勝つのが好きだからな!」
「そうかい、俺は死ぬのは御免だよ」
陰気で他人に合わせるのを是とするエバーブと対照的に、勝気で自己主張が強いガキ大将のレイズ。
正反対な性質を持つ俺たちだったが、村の近隣にデカい獣が出た時は俺がレイズをサポートする形で一緒に戦ったものだ。
前世を思い出す前まではなんとも思ってなかった獣狩りも、かつての平和な記憶を取り戻した俺からすれば、よくやったものだと感心してしまう。
「死にたくねぇなら分かんだろ? 神滅堂は勝って生き残る場所だ。それによ、オレは昔からエバーブ、お前とも
「気持ちわるいぞレイズ、俺は生き残り続ける為に必要なことはするつもりだけど、お前と潰し合う趣味は無いんだよ」
「なら、最後のどっちかがオレらなるまで死ぬなよエバーブ!」
「……ああ、レイズもな」
いつものようにレイズが上から、俺が下から拳を合わせて2人して試練の門を潜る。
ああ、死にたくねぇな。死にたくないから、殺るしかないか。
「
「