【本連載】転生槍王が子供達の夢を叶えようと頑張った結果、ぶっ壊れて幼児退行するお話 作:相川翔太
更新がだいぶ開きました。申し訳在りません。
「私の息子である貴方には王位を継承する『資格』があります。今はその身分を隠し、王に仕えなさい。そして、いずれ王を倒し、その身が王になるのです。
・・・元より、
――
正直、王に対してオレも思うことはあったが、オレはその言葉を全て鵜呑みにしてはいなかった。
確かに、『選定の剣』を損失したばかりかその代わりとなる
――ただ、火のない所に煙は立たぬと言う言葉もある。
もしかしたら、モルガンの言うことや悪評も事実かもしれない可能性もあるため、オレは最初は王を見定めるつもりだった。
だが、実際に王城に入って城内や戦場でオレなりに王を観察したり調査した結果、その懸念は杞憂に終わった。
まず、悪評の一つに「王は一人だけ贅沢をしている」などというものがあったが、王自身は身なりはしっかり王に相応しいものにしていたが、特別きらびやかにしている訳ではなく、常識の範囲内のもので、むしろモルガンや地方の領主の方が着飾っていると言えた。
また、王も個人の資産を持っていたし、それを運用していたものの、その利益は円卓最古参で「一本の釘すらも無駄にしない」サー・ケイが国家運営のために管理、運用していて、王自身が私的に使用することなど
「聖槍により女神に近しい肉体になり食事は必要なくなったので、公務上のやむを得ない会食や祝い事の席以外では今後は食事をしない」と言う、最初は悪評を払拭するための放言だと思っていた宣言も円卓を含む城内の人間に聞いたところ、宣言から実際に王が食事をしているところを見たことが無いらしく、王自身も証明の一つとして城内の食事の時間は皆の前に必ずいる様にしていた。
(流石にその際は“皆が食事をし辛いだろう”と言うことで王には水や白湯、たまに茶が用意されていたが)
この時点で、オレはモルガンの言っていたことは嘘だったと思ったが、それを更に裏付ける決定的な出来事があった。
それはある日、頻度も規模も増してきていた蛮族との戦闘時のことだった。
その日、蛮族と戦闘中に突如、哨戒網に補足出来なかった敵が出現したのだ。
幸いなことに現時点で戦闘中の敵の増援でもなく規模も大きくなかったものの、場所が問題だった。
敵の出現位置はこの戦場から遠く離れており、更に敵の進行方向に村があったのだ。
――オレはこの報告を聞いたとき時、王は村を見捨てると思っていた。
今まで王のことを見ていたオレは、王は『無駄』を嫌うことを知っていたからだ。
村の規模は精々50人にも満たない小さな村。それを救おうとすれば、距離と時間的に馬を潰すことになり、蛮族と戦闘を行う以上、昔よりは減ったとはいえ戦傷者が必ず出る。
――どう考えても釣り合わない。
オレがそんなことを考えていると王は
――そんな王の姿を見てオレは大いに己を恥じた。
オレは今まで
王は今まで私腹を肥やすことなく国のために尽くしてきていたではないか。
その王が、無駄だから、釣り合わないからと民草を
――そんなこと、王がする訳ないだろうがッ!!!
オレは無我夢中で出撃しようとする王の下へ行き、自分も連れて行って欲しいと懇願した。
獅子を模した兜で王の顔は分からなかったが、王はただ一言、
「ならば着いてこい」
そう言った。
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結果から言うと村は救えた。
連れてきた騎馬隊の馬は現場に到着するまでは持ったのだが強行軍だったため到着するとともに死亡したが、部隊自体の戦死者は無しだった。まぁ、流石に兵達は疲労困憊の状態で戦闘が終わると皆ぐったりと横になっていたが。
オレはその様子を苦笑いしつつも見ていたが、ふと王の姿が見えないことに気が付いた。
慌てて王を探すと王は小高い丘に兜を外して立ち、村の方を眺めていた。
その姿を見てオレは驚愕した。
――だって、王が微笑んでいたのだ。
王は普段、ほとんど表情を変えず感情を表さない。
聖槍を手にする前は違ったらしいが、聖槍を手にしてからは王が表情を変えたところを見た存在はいないらしい。
だから、食事を必要としないことなど
だって、あんなに民を慈しんで微笑むことができる王に人の心がないなんてあるはずがないっ!!
オレは王の姿を、微笑みを心に刻み込み、一生の宝にすることにした。
例え、あの微笑みをもう二度と見る事が出来なかったとしても、オレに向けられなかったとしても、王のあの微笑みは
――――そう思っていたのに・・・・・・。
あの一件から、オレはモルガンの『王を倒せ』などという妄言など一切無視して国のため、民のため、そしてなにより王のために必死で己の責務を全うした。
ただ、悲しいかな。オレ自身、自分の能力に自信はあったのだが、それが自惚れに過ぎなかったことを思い知らされた。
まず、単純な『剣士』の技量ではランスロットやガウェインには及ばなかったし、国の統治管理などの事務処理能力もケイやアグラヴェインには敵わなかった。
まぁ、円卓はスペシャリストの集まりなので仕方ないと言えば仕方ないのだが、少しでも王の力になりたかったオレは考えた結果、自身の能力向上のために本人達の邪魔にならない範囲でランスロットとアグラヴェインに修習を頼むことにした。
最初は断られるかと思っていたが両者ともにオレのこの頼みを受け入れてくれた。
ランスロットは単純な剣技だけではなく、王が戦力の底上げの為に一般兵用に開発していた武具や兵器の運用方法やそれらを使用した戦術、アグラヴェインは王城で決まった政策などを地方のごく平均的な官吏達も理解、運用できるようにするための説明、交渉術なども教えたくれた。
二人に教わったことは本当に
――――本当に・・・・・・。
そうして過ごしていたある日、オレは王と
昔は二人で遠乗りなどには出かけることもあったようだが、王も激務のためもっぱら二人で過ごすときは庭園になっていた。
・・・王妃は、不憫な存在だった。
王との婚約が政略的だったことや王の性別などから王妃は、まぁ、感情的にも立場的にも辛いのだろうと思う・・・。
王もどうやらそう思っていたらしく、王妃を気遣ってか激務の合間を縫って二人で過ごす時間を作っていたようだった。
前は毎日時間を作っていたようだが、「王の貴重な時間を王妃は無駄に浪費させている」と王妃に対して陰口をたたくヤツが結構いたらしく、見かねたランスロットが陰口を言った者には「王妃の気持ちも考えろ」と叱責し、王には「王が王妃を気遣う気持ちも分かるが、それが逆に王妃を辛い立場にしている」と諌言したらしい。
王はランスロットのその諌言を聞き入れ、今は毎日ではなく大体二週間に一度くらいの頻度にしたとのことだった。
このことに関しては普段、ランスロットと犬猿の仲であるアグラヴェインが珍しくランスロットを褒めていたらしい。
さて、そんな二人の後ろ姿を見送ったオレだったが、ふと、あることを思った。
――王と王妃は二人でどんな風に過ごしているんだ?
そう、王はほとんど表情を変えず感情を表さないのだ。
そんな王が王妃とどのように過ごしているのかオレは興味が湧いたのだ。
王と王妃が過ごしている時間は別に禁止されているというワケではなかったが
単純な好奇心、いや、
オレは不敬だと思いつつも王と王妃の過ごす庭園へと足を運ぶのだった・・・。
――そこでオレは衝撃の光景を目にすることになる。
(仮)から少し修正しました。
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