【本連載】転生槍王が子供達の夢を叶えようと頑張った結果、ぶっ壊れて幼児退行するお話   作:相川翔太

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別作品の投稿で強調用の・が多すぎるという感想をいただいたので今回は試しに未使用にしてみました。

見返してみると前話でもかなり多いなと感じたので折を見て修正していこうと思います。


兜が叛逆に至るまで②

王に見つからないように慎重に庭園へ忍び込んだオレは物陰に隠れ王と王妃の様子を観察・・・、いや、盗み見た。

 

正直、コソコソと二人の様子を盗み見る自分は騎士にあるまじき姿だと思ったが「別に禁止されているわけではないのだから」と言い訳しながらオレは自分の好奇心を満たすことにした。

 

 

・・・オレは自分は結構頭が良い方だと思っていたのだが、それは大きな勘違いだった。救いようのない馬鹿だった。

 

 

だって、先人が遺した『好奇心は猫を殺す』という言葉をオレは知っていたはずなのに、この時のオレはすっかり忘れていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに言えば、その好奇心で死ぬのがオレではなく、『王』になるなんて思ってもみなかったんだから・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、物陰から見た王達は庭園に置かれた長椅子に二人で並んで座り会話をしていた。

 

していたのだが、その様子は・・・、ある程度はオレも予想していたのだが、まぁ酷いものだった。

 

王妃は表情こそ笑顔だったが陰があるというかなんというか、王に対して気を遣っているのか無理をしているのは明らかだったし、王は王でいつもの様に無表情な上、会話の途中で時折遠くを見つめたり、空を見上げたりで心ここに在らずといった感じだったのだ。

 

これだったら皆が言っていたように無理に二人の時間を作らない方が王はその時間を別のことに使えるし、王妃も無理に気を遣わないで済むのではないか?

 

そうオレが考えていると二人に、正確に言うと王妃に動きがあった。

 

 

王妃が王の手を握ったのだ。それも恐る恐るではなく、ごく自然にだ。

 

 

オレは驚いた。いや、別に今まで王の身体に触れた者がいなかったわけじゃない。過去に王の侍従だった者の中には、王に鎧などを着せる際に偶然王の身体に触れたことがあったのだと自慢話をしているヤツもいたからだ。

 

ただ、当然ながらそいつらは自分から触れにいったわけではなくあくまで偶然のことで、王妃の様に自分から王に触れた者はオレは知らなかった。

 

だからオレが王妃の行動に驚いていると手を握られた王は王妃に顔を向け・・・、

 

 

 

 

 

――微笑んだのだ。

 

 

 

 

 

・・・え?

 

心臓がドクンと高鳴り、思わずそう声が漏らしてしまったことに気付いたオレは兜を被っていて意味がないにも関わらず慌てて手で口を塞いだ。幸いにも王達には気付かれなかった様で安堵したのだが胸の動悸は収まらなかった。

 

 

――それだけ衝撃だったのだ。

 

 

特定の誰かに向けられるものではないと思っていた王の微笑みが王妃という、特定の個人に向けられたのだから・・・。

 

そうしている内にどうやら王が公務に戻る時間が来たらしく二人は城内へ戻っていった。

 

一人庭園に残されたオレはとりあえず胸の動悸を収めるために何回か深呼吸を行ったあとに自室へ戻ると扉に鍵を掛けたあと兜を投げ捨て寝台に寝転がって頭の中を整理する。

 

 

――王の微笑みをもう一度見る事が出来た。

 

――その微笑みは王妃に向けられていた。

 

――王が特定の誰かに微笑むなんて思っていなかった。

 

――別に王がそう宣言していたわけじゃない。オレが勝手にそう思っていただけだ。

 

――王にだって心がある。誰に微笑んだっていいじゃないか。

 

 

喜ぶべきだ。だって・・・・・・、

 

 

 

 

 

もしかしたら、王がオレにも微笑んでくれるかもしれないってことが分かったんだから・・・。

 

 

 

 

 

そうだ、それで良いはずなんだ。それなのに・・・、

 

 

 

 

 

――何でこんなにもやもやするのだろうか?

 

 

 

 

 

 

その日以降、オレは今まで以上に自己の能力向上に努めた。

 

いろいろと複雑であるが一応、王と夫婦である王妃と違いオレは臣下。

 

王に微笑んで貰うためには今まで以上に功績を上げる必要があると思ったのだ。

 

その甲斐もあって戦場では武功をいくつも上げたし、アグラヴェインと連名という形ではあるが王に献策を行い、その政策が採用されるということもあった。

 

論功行賞の際に王直々に労いの言葉を賜ることもあった。

 

 

――嬉しかった。

 

 

でも、王がオレに微笑むことはなかったんだ・・・。

 

 

いっそのこと一番功績を上げているランスロットが「功績を上げているとはいえフランス出身の自分ばかりが多大な恩賞にあずかっては他のブリテン出身の騎士達に申し訳ない」と王から与えられるはずだった恩賞を王に何割か減らしてもらってから受け取っていたので、それに習ってオレも「恩賞の換わりに微笑んでくれ」と王に懇願しようか?と考えたこともあったが「ランスロットのせいで王からの恩賞が減った」と不満を言うヤツもいたのでオレも恩賞を断ったらますますそいつらの恩賞が減ってしまうので止めた。と、言うよりもそもそも不敬である。

 

 

――どうすれば王に微笑んでもらえる?なにをすればいい?どうすればいい?

 

 

そんなことを考えながら廊下を歩いていると王と王妃が庭園へ向かって歩いているのが見えた。

 

 

二人が見えなくなった後、オレも庭園へと向かうのだった・・・。

 

 

王達はいつもの様に椅子に座っていろいろと話をしていた。

 

そんな二人の様子を覗き見ることがいつの間にかオレの習慣になっていた。

 

王が微笑む姿をあと一回だけ、もう一回だけ見たいと繰り返した結果そうなってしまったのだ。

 

おかげで今では下手な暗殺者(アサシン)よりも気配を消せるようになった自信がある。

 

まぁ、騎士としてはこれっぽっちも誇れることでは・・・、いや、今さらだな。

 

思わずオレが苦笑していると王妃に動きがあった。

 

 

――王の左胸に手を伸ばし、二度三度と撫でたのだ。

 

 

・・・この後、王がどうするかは今まで何回も見たから知っている。

 

 

――王は微笑むと王妃を抱きしめるのだ。

 

 

そしてオレの考えていた通りに王は王妃を抱きしめていた。

 

 

どろり・・・。

 

 

本来なら尊い光景のはずなのに、オレの胸の中でどす黒いものが溢れる。

 

 

――『嫉妬』だ。

 

 

オレは王妃に対して嫉妬心を抱いているのだ。

 

最初のころは王妃も辛い立場なのだから、不憫な存在なのだからと自分に言い聞かせて誤魔化していたのだが何回も今のような光景を見ている内に無理になった。

 

だって、王がブリテンを統一する前ならいざ知らず、今の王妃が王の役に立っているとは到底思えなかった。いや、そもそも統一前もあくまで王が欲したのは王妃の父親であるレオデグランス王の力であって王妃ではないのだ。

 

なのに『ギネヴィア』は、『王妃』であるというだけで、『妻』であるというだけで、『家族』であるというだけで王に微笑んでもらって、王の身体に触れることが出来て、抱きしめてもらって、大切にされているのだ。

 

 

――ズルいだろッ!!!

 

 

オレは必死に努力して、命がけで戦場で戦って、必死に頭を絞って政策を考えて、いくつも功績を上げているのに、間違いなくオレの方が王の役に立っているのに・・・・・・。

 

 

さらに頭にくるのがそんなに王に大切に想われているのにギネヴィアは・・・、

 

 

――嬉しそうにしていないのだ。

 

 

顔こそ笑顔だがオレでも分かる。アレは無理に取り繕っている笑顔だ。

 

 

オレでさえ気付くのだから当然、王だって気付いているはずなのだ。

 

 

それなのに王はなぜかギネヴィアを大切に想っているのだ。

 

 

・・・もしかしたらサー・ケイと事務仕事をしていた際に昔の王の話を聞いたのだが、僅か五歳のときに父親であるウーサー王の元を離れて修行をしていたらしいので『家族』という存在が恋しいのかもしれない。

 

 

あぁ、それにしても、家族、家族か・・・。

 

 

オレの家族、『母親』はモルガンだ。

 

正直に言う。オレはモルガンが嫌いだ。

 

オレをこの世に産み落とし、王と巡り合わせてくれたことだけは感謝しているが、それだけだ。

 

・・・絶対にあり得ないし、こんなことを考えることは王に対する侮辱かもしれないが・・・・・・、

 

 

――もしも、オレが王の『家族』になれたら王は微笑んでくれるのだろうか?

 

 

自分で考えておいてなんだが、あまりにも馬鹿な考えに自分で自分に呆れて思わず失笑してしまった。

 

すると庭園に誰かがやって来た。

 

 

――湖の騎士(ランスロット)だった。

 

 

どうやら城内で何かがあったらしくランスロットが王を呼びにきたらしい。

 

王はランスロットと一言、二言話すと二人を置いて城内に戻っていった。

 

そしてオレは庭園に残された二人の行動に下手をすると初めて王が微笑んだところを見たとき以上の衝撃を受けた。

 

 

ギネヴィアが泣き出し、ランスロットはそんなギネヴィアを抱きしめたんだ。

 

 

――オレはナニを見せられているんだ?

 

 

いろいろな考えが脳内を巡る。

 

 

ナゼ泣く?お前(ギネヴィア)は幸せ者なんだぞ?王はおまえを大切に想っているんだぞ?

 

ランスロット?オレはお前に世話になって恩も感じていたし、感謝していたんだぞ?王もオマエを信頼しているんだぞ?

 

なのにそんなことじゃあ駄目だろ?

 

 

 

 

 

――王を裏切ったら駄目だろう?

 

 

 

 

 

オレがそんなことを考えている間にランスロットとギネヴィアは二人で城内へ戻っていた。

 

 

残されたオレは考えを先ほどの光景について考える。

 

ランスロットとギネヴィアが不倫?デキてる?

 

いや、落ち着け、確定じゃない。

 

ランスロットは女は敬うべきと考えているやつだ。だからギネヴィアが突然泣き出したから泣き止ませるために抱きしめただけかもしれないだろ?

 

 

だがランスロットは・・・、

 

 

王とギネヴィアの二人で過ごす時間の間隔を空けさせた。

 

 

――王とギネヴィアを引き離し密会をしていたのではないか?

 

 

自身の恩賞を理由をつけて減らさせた

 

 

――王に対して後ろめたいからそうしたのではないのか?

 

 

そもそも仮にも王妃を泣き止ませるためだけに抱きしめるか?

 

 

 

 

 

 

――疑うな、疑問を抱くなという方が無理だった。

 

 

 

 

 

 

しかし、ただ抱きしめただけでは不貞行為ではない。もしかしたら、本当にただ泣き止ませるためだったかもしれない。

 

 

――調査が必要だ。

 

 

そう冷静に考えたオレは庭園を後にし、アグラヴェインのいる執務室へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このとき兜の騎士(モードレッド)は気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――兜の中で自身の口が例えようもなく歪んでいることに・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




(仮)からかなり修正しました。

あっちはモーさんの思考がいきなりぶっ飛んだ感じだったので、こっちの方が自然かなぁ・・・。

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