続きを書く気なんて一切なかったんですけど、思いついたら書くしかないじゃん?
短編連作という体を保てばいつ飽きてもエタったことにはならないんじゃないか、と気付いてしまったのだ……
というか感想!?お気に入り!?ファッ!?
ヒェ……何の反応もないと思ってたのでびっくり……うれしいです……ありがとうございます……
怒号、悲鳴、哄笑、爆音、断末魔。それらに満たされていてなお、自身の心臓の音が聞こえるほどに緊張していた。少女は胸元に吊るした十字架のネックレスを握りしめて、神に祈る。どうか救いを、と。具体的にどんな奇跡を求めているのかなんて、もはや考えられてもいないままに。
割れた窓から、外の様子がぼんやりとだけ見えていた。天使だか神父だか、ともかく少女とは違って魔法の才能がある者が張ったらしい結界が辛うじて機能しているようで、ガラスが無残に飛び散ったそこから悪魔が侵入することは今のところない。何かが爆発する音や、悪魔の攻撃的な笑い声、そして、少女と同じメシア教徒たちの命を絞り出しているような悲鳴と怒号が聞こえているのだから、それも長くは続かないと本能的に察していたけれど。
「ああ、どうしてこんなことに……」
何も悪いことなんてしていない。ただ、弱い者同士、身を寄せ合って生きていただけだ。悪魔に両親を殺されてメシア教に保護された少女のような存在は、ここでは珍しくもない。程度の差はあれども、誰もが傷ついている。そして、救いを求めてこの教会に流れ着いた。ここにいるのは、そんな存在ばかりだ。
ばんっ、と壁が大きな音を立てる。少女だけでなく、部屋にいる誰もが体を跳ねさせていた。悪魔か天使か、あるいは同胞が外壁にぶつかったのだろう。外から聞こえる音はごちゃごちゃとしていて、壁にぶつかったものが何なのかなんて判別はつかない。それでも、壁一枚向こう側では戦闘が起こっているのだ。徐々に近づいていることを誰もが理解してしまったから、元から重かった空気がより暗くなっていく。
少女はより強く掌を握りしめた。何も目に入れたくなくて壁を向いていたが、もうそれすら嫌になって目をつぶる。視覚を放棄したからか、余計に己の心音が大きく聞こえてきた。恐怖と緊張は、単に外の様子が恐ろしいことだけが理由ではなかった。
「わたし、わたしは……」
少し遠くの教会には蘇生の奇跡を扱う聖女がいるのだと聞くし、あるいは魔法なんて使えなくとも悪魔と戦うテンプルナイトが存在するのだという。本当か嘘かも判断できないような噂話としか捉えられないくらい、それは少女にとって遠い話だった。ただ、絶対に嘘だと言い切るほどに別世界の話でもないのだ。
だって、少女にも、ほんの少しとはいえ魔法が使えたから。
「ねぇ、きみ……」
「ひぁっ!?」
とん、と肩に手を置かれて、驚愕から裏返った声が出た。少女に触れた誰かも驚いたのだろう、肩に置かれたままの手が硬直している。少女は一瞬何が起こったのかわからなかったが、単に声をかけられただけだと気付いて慌てて振り返った。
「ごめん、驚かせちゃったみたいだね?」
ははは、と背後にいた人物は苦笑した。見覚えのない顔だ。髪は中途半端に長いし、声は男にしては高いが女にしては低くて、さらには服をこれでもかと着こんでいて体のラインがよくわからないために性別すら判断がつかない。悪魔に襲われているこの教会に見知らぬ人間がいるだなんて思ってもみなかったこともあって、少女ははっきりと訝しむような表情を浮かべていたのだろう。その人物は、困ったように眉を下げた。
「俺は、行商人ってところかな。普通の品ならともかく、霊的な回復薬とか取り扱ってるところは少ないからね。ここに来るのも久しぶりだし、神父さんくらいしか俺のことなんて知らないよ」
不審者ではない、と言いたいのだろう。それを察したので、不躾に見てしまっていたことに気付いた少女は慌てて頭を下げた。やっぱり見た目では性別が判断できないが、俺というからには男なのだろう。彼は、ひらひらと掌を振って構わないと言ってくれる。
「こんなことにでもならなきゃ、さっさと移動してるからね。中に入れてもらえただけありがたいけどさ」
協会に入れてもらえていなければ、悪魔の大群と鉢合わせることになっていただろう。そういう意味では本人の言う通り、マシではあるのかもしれない。あるいは、行商人と言うのだから、そもそもこんな事態に鉢合わせたことに運がないと言えるだろうが。
そんな思考が顔にでていたのか、少女の顔を見て瞬きした彼は、肩を竦めて笑みを浮かべた。
「ああ、こんな話がしたかったんじゃないんだ。えっと、そう……うん、部外者の俺がこんなことを聞くのも気分悪いかもしれないけど、君は魔法が使えるんだろ。それってつまり、戦いに出されるってことだよね?」
う、と少女は息を詰まらせる。前置きをしたのだから彼も理解しているのだろうが、少女にとっては直視したくない現実だった。ばくばくと心臓が跳ねている。
才能がある、とは口が裂けても言えなかった。ほんの少し、火を発生させられるだけだ。もちろん、科学的に起こした火よりは悪魔によく効くが、それは悪魔がそういう存在であるからというだけのこと。悪魔は概念的な存在であるから、意思を込めた攻撃でなければ通じにくい。悪魔を知覚して、精神力を消費して生み出した火の方が、当然悪魔には効くけれども。生来持ち合わせたマグネタイト量がそこまでないこともあって、何より持久力がない少女は到底戦闘要員にはなれなかった。
こんな追い詰められた状態では、そんなことも言っていられなくなってしまったが。少女より魔法や武器の扱いが上手い人間はすでに外で戦っているのだ。外がどうなっているのか、詳細はわからなくても、好転していないことだけは確かである。壁越しでも聞こえる戦闘音は激しさを増すばかりで、終わりの気配なんてどこにもないのだから。
「慰めも励ましも、俺が言うべきことじゃないから言わないでおくけど。これも縁だからね、できることはやらせてくれないかな」
よほどひどい顔をしているからだろう、彼の声は気を遣ってか柔らかいものだった。どんな感情であれ部外者が向けるのは薄っぺらいからやめておこうとでもしているのか、ぎこちない無表情を彼は向けてくる。どうしたって重苦しい感情はあるだろうし、それが少し滲み出てはいたが。
彼は懐を探って、何かを取り出した。それが何なのか確認する間もなく、彼は少女の手に握らせてくる。紙っぽいざらりとした感触と、掌を包む彼の指先の冷たさを感じた。氷のよう、とまではいかないが、明らかに気温より低い温度に肌が粟立ったくらいだ。
彼の手が離れていって、少女は自分の掌を見下ろした。クリーム色っぽい紙が、小さく折りたたまれている。
「これ、薬なんだけど。ああ、もちろん怪しいだろうし、できれば使わない方がいいと俺も思うよ。でも、どうしようもなくなった時には服用するといい。必ず助かるとは言えないが、もしかしたらがあるよ。信憑性がなくても、そういう保険ってあるだけで心が軽くなるものだろう?」
そう言って、彼は薄く笑みを浮かべた。本人が言うように、あまりにも怪しい。どうしようもなくなったら、というのだから、きっと命の危機だとかそういう状況を指すのだろうが。薬の使いどころとしてはあまりにも曖昧すぎる。大怪我をしたらだとか、そういう言い方ですらないのだ。薬だというが、一体何に作用するものなのだろう。
けれども、少女はほっと息を吐いた。だって、誰も声をかけてこようとすらしなかったのだ。皆怯えて身を縮めながら震えるばかりで、他人を気遣う余裕なんてない。少女自身も自分以外に意識を割く余裕なんてないので責めるつもりはないが、下手に魔法が使えるばかりに戦わなければならないのだろうと思いつめる己よりマシではないかと思う気持ちがないといえば嘘になる。だから、どれだけ怪しかろうと、自分へ向けられた気遣いに心が軽くなった。
「……ありがとうございます、貴方にも神のご加護がありますように」
満面の、とはいかなかったが、できる限りの笑顔を浮かべて少女は彼にそう言った。彼は一瞬目を見開いて、それから唇を吊り上げる。少女を映した瞳を細めて、静かに囁いた。
「君こそ、神のご加護がありますように――」
その時が来ると、実際は悲鳴すら上げられないのだと少女は知った。過ぎた痛みは、痛みとも感じ取れない。ただただわけがわからなくてパニックになっていた。痛いというより熱くて、傷口が視界に入っていなければ何が起こったのかさえわからなかったのだろう。視覚情報からやっと、少女は自分の片腕が半ばまで抉れていることに気付いた。
「ひっ、ひっ……」
悪魔の攻撃や天使の魔法が荒れ狂っている戦場で、少女を気にする存在なんていない。元々できる限り逃げ回ろうとしていたこともあって、這う這うの体で瓦礫の影に隠れることができた。そこにしか居場所がなかったともいえる。戦場のど真ん中で倒れ込むことにならなかっただけマシなのだろうが、そんなことを考える余裕すら少女にはなかった。
どうしようもない。治癒の魔法なんて使えるわけもなかったし、そんな力を持つような同胞はとっくの昔に戦場に出ている。死体となって転がっている姿もちらほらと見かけていて、そもそもこんな状況で誰かに助けを求めることなんてできるわけがないのだ。だから、少女はただ傷口を押さえて蹲るだけだった。
悪魔の鋭い爪で深く裂かれた腕は、血肉の中に骨の白色が見えるほど傷が深かった。もう片方の掌で必死に押さえたって、どくどくと溢れる血が止められるわけもない。焦れば焦るほど心拍が早くなって、血もたくさん失われていく悪循環をどうしろというのか。もはや感覚が狂っているのか、傷の深さのわりに痛みを感じていないようだが、それすらも手遅れなだけのような気がする。血を流しすぎたのだろう、視界がぼやけていくものだから、もう終わりが近いことを少女は悟っていた。
「たすけて……だれか……」
覚悟をしたつもりだった。つもり、だったのだ。思考すら霞んでいく中で、死にたくないという気持ちだけが膨れ上がっていく。他に戦える人間がもういなかっただとか、助け合わなければならないのだとか、そんなものは全て建前でしかなかったのだ。
神に祈ったところで、助けが齎されるわけでもなく。この戦場にいる誰一人として、自分のことなんて認識もしていないのだろうと理解した。ただ、この物陰で、怯えながら息絶えるだけなのだ。これがきっと、絶望というものなのだろう。心の底から溢れるあらゆるものを纏めてしまえば、一言それだけが浮かんだ。
「いやだ、いや……!」
熱くて寒くて、ぐるぐる回る思考すらぼやけていくばかりだ。何を口にしたところで、奇跡なんて起こるはずもない。わかっていても、止められないが。死にたくない。この苦痛から、恐怖から、逃れたかった。どんな方法でも、構わないから。
「……あ」
かさ、と胸元で小さな音がする。跳ねていた己の心音すら小さくなりはじめて、やっと少女はそれに気付いた。もう感覚もはっきりしない指先で懐を漁って、それを取り出す。指から滑り落ちかけて、辛うじて爪先に引っかかって落とさずに済んだ。折りたたまれた、小さな紙の包み。広げようとしたら、その前に爪で端が切れてしまった。さらりとした粉が落ちかけて、慌てて口に持っていく。
もう、何だってよかったのだ。実際それが救いになるなんて、信じてもいない。それでも、このまま無為に死んでいくことなんてできるわけがないだろう。苦しくて辛くて、何でもいいから縋りたかった。
乾いた粉薬に、舌の水分が吸い取られる感覚があった。からからに乾いた喉に、無理矢理落とす。けふ、と思わず咳き込んで、たぶんそれがとどめだったかもしれない。そもそも、もう限界だったのだ。吐いた息が吸えなくて、呼吸が続くこともなく瞼が落ちた。
――そうして、目が覚める。
「……えっ?」
ぱちり、と瞬きをした。まるで、それこそ寝起きのようだ。だって、一番最初に感じたのは、瓦礫に囲まれていることへの違和感だったのだから。つまり、ベッドで目覚めなかったことがおかしいと思っただけということである。
それでも、当然周りの惨状を目の当たりにすれば、先ほどまで自分がどういう状況だったのかを思い出した。ぎょっとして反射的に体を起こし、次いで、そうやって体を起こせたことに驚く。見下ろした自分の体は血がこびりついたまま乾いて悲惨な有様だったが、傷はない。おかしいとは思ったが、何せ本当に怪我をした形跡すらなかったのだからどうしようもなかった。あれほど裂けていたはずの腕は、血の気の失せた青白い肌があるだけだ。古傷のような痕すらない。
きょろきょろと辺りを見回す。少女には時間が経過したという感覚すらなかったが、そこにはもう戦いの気配はなかった。瓦礫や焦げた跡が散らばる中に、ぴくりとも動かない死体は転がっていたけれども。少なくとも、敵と思われる悪魔の姿はない。天使の姿は少し遠くの空に見えた。他には、生き残った同胞たちの姿が数人。死体の確認をしながら涙を流していたり、あるいは瓦礫をひっくり返して何かを探しているような光景がある。
「おい、生きているのか!?」
あまり状況が理解できずに呆然と立ち尽くしていると、少女に気付いた誰かがそうやって声を上げた。その声で他の教徒たちも気付いたのだろう。瓦礫をがらがらと崩しながら、数人近付いてくる。その見知った顔を見て、やっと少女は息を吐いた。
何が何だかさっぱりわからない。わからないけれども、死んでいないのだから助かったのだ。
「怪我は? 大丈夫か?」
「まさか生きていたなんて、よく逃げ延びました」
「そんなことより早く教会の中にだな……」
メシア教徒の白い服が、灰や埃で煤けている者。ざっくりと切れた布地の下に、赤黒く染まった包帯を覗かせている者。無事とは到底言えないような有様で、それでも動けているからここにいるのだろう。そんな仲間の姿に、少女は安堵の息を零した。緊張がぷつんと切れて、気付かずに強張っていたらしい肩が脱力で落ちる。
「わ、わたし……」
何を口にしようとしたのか、自分でもわからなかった。だから、途中で言葉は掠れて、感極まった嗚咽に変わりかける。ただ、喉が引きつる音がするより前に、視界の外から声をかけられた。
「すみません、ちょっといいですか」
心配の声をかけてくれている目の前にいる同胞たちとは違って、その声に聞き覚えはなかった。張り上げているわけでもないのによく通る男性の声に、少女たちは振り返る。少女は一瞬びくりと肩を揺らしてしまった。だって、そこにはメシア教徒の真っ白であるはずの衣装が、白い部分の方が少ないほど赤黒く染まった青年がいたからだ。
辛うじて見覚えのある形状のマントを羽織っているから、それがメシア教のテンプルナイトという肩書を持つ人間だということはわかる。赤と黒が滲むような色合いの中に、暗い色に変わってはいたが青い刺繍が見えてもいた。味方であることは確かなのだろう。少女はその顔が記憶になかったので、応援に駆けつけてくれた他の地区の教徒だろうと推測する。
「どうかしたかい?」
「ええ、まあ、はい……そこの女性に、少し訪ねたいことが」
血まみれの青年が、そう言って少女に目を向けた。こんな状況なので愛想がないことはおかしくもなかったが、その声色があまりにも淡々としていたので少女は何となく緊張してしまう。それを察してか、少女の傍にいた同胞が言い淀む。
「今じゃなければ駄目かい、それ。早くこの子を落ち着ける場所につれていってあげたいんだが」
きっと、青年は戦闘で活躍したのだろう。そう言ったのは、普段ならもっと強く否定の言葉を口にしそうな仲間だったから。かなり下出にでている辺り、少なくとも青年に対して恩義を感じているのは間違いあるまい。とはいえ、了承しかねる言葉でもあったのだろう。対する青年はその様子をあまり気にしていないのか、淡々と続ける。
「ええ、今でなければいけないことです。きみ、メシア教徒ですよね?」
「えっ、はい、もちろんそうですが……」
白を基調とした衣装を見るだけでわかるだろうことを問われて、少女は思わず困惑を隠すこともできなかった。周りの同胞たちも、何故そんなことを聞くのかと訝しむような雰囲気を纏っている。そんな様子だったのに、青年はやっぱり気にした様子もなく、一つ頷いて続ける。目線はじっと少女だけを見つめたままだ。
「ですよね。ああ、よかった。なら、死後の幸福を祈りましょう」
無表情のままでも、その吐息が安堵によるものだとは感じ取れた。ただ、その発言の意味はよくわからない。少女たちが困惑を深める前で、青年はマントの下から何かを引き抜く。それが刀だと気付いたのは、前触れもなく振るわれたそれに光が反射して煌いた後だ。
白い反射光が視界を一瞬埋めて、それから空を切る音と、そして。
「何をしているんだ!?」
「キャアアア!?」
「ひっ……」
怒号と悲鳴と、後はよくわからない。同時に複数人の声が響いて、頭がぐるぐるする。少女には状況もわからなくて、何故皆が声を上げたのかすら理解していない。だって、突然視界が空に埋め尽くされて、他の何も見えなくなったからだ。こけたのかと思って起き上がろうと四肢を動かしたつもりが、何故かそうはなっていないらしい。だから、当然できることをしようと口を開いた。
「え、なに、なにが……」
何が起こったのか聞こうとして、途中で言葉を発することをやめてしまった。だって、少女が声を上げた途端、周りを埋め尽くしていた他の人間の声がぴたりと止んだのだ。しん、と静まり返ってしまったものだから、余計に少女は混乱する。視界に誰もいないのも相まって、不安が煽られた。
痛いほどの静寂は、けれども少女が混乱から回復する前に終わる。ざり、と土を踏みしめる音が何故かとても近くから聞こえて、視界にやっと影がさした。血まみれの青年が、少女を見下ろしている。その視界に、やっぱり自分は転んで地面に横たわっているのだと察した。それにしては、地面に叩きつけられるような衝撃はなかったが。
「まだ喋れるんですか、すごいですね」
「えっ、どういうことですか……?」
無表情のままの青年の言葉が、よくわからなかった。どうして、喋れることを驚かれるのだろう。そもそも表情が乏しすぎて、言葉の意味をそのまま受け取っていいのかも判断がつかない。あるいは皮肉なのだろうかとまで考え始めたところで、青年が手にする抜身の刀が視界に入った。ところどころ乾いた血がこびりついているのか、黒く煤けたような色をしている。
「どう、とは。もしや自覚がないんでしょうか。今、僕、貴女の首を落としたんですけど」
きょとん、と目を瞬かせてしまう。意味がよく、わからなくて。少女は身じろぎしようとしたが、やっぱり視界は少しも動いてくれなかった。
いま、かれはなんといったのだろう?
「ゾンビかグールか、まあ名称なんてどうでもいいですよね。どちらにしても、死んでいることは確実ですし。であれば、僕にできることは殺しきって神の御許へ送り届けることしかありませんので」
では、と呟いて、青年は刀を振り上げた。それが自分に振り下ろされる光景を、少女は眺めていることしかできない。ばつっ、と奇妙な音がして、視界がずれた。まるで、そう、左目と右目の位置が上下にずれ込んだみたいな――
「神の御許で、安らかに眠れますように」
ひゅんっ、ばきん。
お察しかと思いますが1と若干繋がってるし、時系列は滅茶苦茶。
キャラ考える労力を削減したかっただけの流用なので、深い意味はないです。