数年前 極東
あれはタケミカヅチが下界に降りて間もない頃、ある山村に鬼が出ると言われ調査に行った時に見たのは、幼少期の少年の頃のラサツ・焔だ。
「君は一体…」
「解らない、村に山賊が村の大人や、俺の両親を殺して…そしたら急に周りが赤くなって…そしたら、俺の頭に角が生えてきたんだ…」
「角が生える…まさか、先祖返りだと!?」
先祖返り 何代も前の先祖がもっていた遺伝上の形質が、突然その子孫のある個体に現れること。人間に尾が生じたり異常に毛が生えたりする類。
つまり、焔の先祖が鬼の血を引く一族で、両親が失った事の怒りで彼の中に眠る鬼の血が目覚めて彼の姿を変えた。
「俺は化け物だ」
極東では鬼人もとい鬼の存在を恐れられていた。鬼と人の間の子供、それが鬼人。 鬼の血を持つ鬼人は有人種の中でも、力が強く、耐久値も以上に高い、そして一番の強みは鬼火という。従来の火属性の上位互換。 その危険性から、はるか昔に鬼共々、鬼人は討伐された歴史があった。
現在 迷宮の楽園
「そう、あの時、頭に血が登り 我を忘れて敵を殲滅した事で、ギルドは俺の存在に危惧して処罰の対応で拱いていた。だが、敵が闇派閥で、正当防衛って事で、1年間の投獄で様子見って形になった」
俺は過去の話をして、鬼人で有ることをあかして充分だと判断し、額当を再びして、折れた角を隠した。
「そんな!?」
「ギルドの温情で、俺がタケミカヅチ・ファミリアを脱退と1年間の投獄で死刑の処罰から免れた…まぁ、こんな前科持ちだとファミリアに入れないから、俺はここで過ごしてる訳だ」
あの事件が意図的な行為では無く、突発的なスキルの狂化系の暴走扱いだから、俺は冒険者の剥奪が無いが、行為的な行動なら今頃冒険者剥奪で漏れなくブラックリストの仲間入りだろうな。
「まぁ〰今の生活も自由気ままで悪くは無いぜ」
「その、ホムラさん、確認したいんですけど」
「なんだ?」
「ホムラさん、今、フリーなら、僕達のヘスティア・ファミリアに「
「ベル?」
ベルの唐突の勧誘に驚いていた。
先の話で、俺を取るリスクを聞くと誰も取りたがらない物だが…確かに俺は1年間の投獄で刑期を終えた扱いだから、別のファミリアに入れるが…
「今の話を聞いて、何故勧誘を? まさか同情なんて安直な理由なら、お断りだ」
「違います。 今回の中層の出来事で今の僕達の力不足を痛感しました。 僕達のパーティは
「確かに、今のヘスティア・ファミリアにはまだまだ人材不足なのは確かだな、見た感じ、新設なファミリアの様だ、だが、ベルよお前は俺の『鬼化』によるスキルによる暴走が起きた時にどうするつもりなんだ?」
「それは…その」
「それに、俺自身、ベル達の戦いを見てない…正直戦力が解らないファミリアに入る程、俺は物好きでは無い」
「そう…ですよね」
「まぁ、今は怪我人のベル達に実力を見る気は無いし、ベル達が地上に戻るまでの護衛役頼まれた以上は無茶な事は避けたい」
なんて、それらしい理屈を捏ねて言って逃げている自分が情けない。 誰彼構わずに懐に飛び込む姿勢は葵に似ている…美点でもあるがそれ言え危険な要素…いや、辞めるんだ。俺は1人で入るべき奴なんだ。
「とにかく、数日はゆっくりしろよ」
そう言ってベルの申し入れを断ってその場を立ち去った。
???
『本当にホムラは図体は大きいのに気は小さいよね〰』
ふと、懐かしい声が聞こえ、目を開けると、そこはかつてタケミカヅチ様の所に来て間もない頃に来ていた湖が映し出されていた。 そう、ここは葵と出会った想い出の場所…
湖に近づくと、湖の中央に一人の女性が浮いていた。明らかにコレは夢だと解る。 それでも、そこにいる黒髪のロングヘアーで、空のような青い瞳の女性は間違いなく蒼だった。
『どんなに恐れても目を逸らしても、自分の中の力消えないし前に進むしか無いんだよ、私達は冒険者なんだから』
相変わらず人が気にしてることを容赦なく言うよな、巫女の役職で聖女のイメージを植え付けられてるが、実際は自由奔放で頭の中は空っぽ、向こう見ずの女だった。そんなあいつと張り合えたから俺は強くなったっと思ったんだ…お前を失うまでは…
「ホムラ、過去に囚われても、あの時は戻らない でも、今はまだ、皆を失って居ない…でも、このままだとアンタ、皆を失うんだよ」
「解っている! そんな事、お前に言われなくても!! でも、頭で理解しても、気持ちが動かないんだ!!」
思わず、本音をぶつけた。薄々解っている、だけど覚悟や気持ちとかが、上手く纏まらないんだ。
「思い出しなよ、ホムラはあんたは、何のために戦うの?」
「何のために? 俺は…」
「いい加減、前に進みな…あんたはまだ未来に行けるんだから、過去に縛られるな!」
「俺は…」
「あんたの活躍楽しみにしてるんだからさ!」
そうやって、笑うアイツはガキの頃と変わらない、少年のような笑う笑顔だった。 実際、葵とは異性として見たことはない。だけど、相棒として過したからこそ、失った悲しみが大きいんだ。
迷宮の楽園 ホムラのテント
「全く、夢でも口やかましく説教かよ…皆に久しぶりに会ったせいか? それとも昨日、ヘスティア様から頂いた、タケミカヅチ様の手紙の影響か?」
俺は目を覚まして、寝ぼけながらも昨日のヘスティア様から18階層に向かう時にタケミカヅチ様から手紙を預かっていて、渡され帰宅後に封筒を開けて読み、読み終えた後に寝ていた様だ。
内容はヘスティア・ファミリアと皆と神様達の護衛の依頼文と手紙を少々…
「…まぁ、今は依頼を達成が先だな…久しぶりに彼処に行くか、その為には昨日のミノタウロスの角を初め換金アイテムで、金を作らないとな」
そう決めて、昨日のドロップアイテムのミノタウロスの角と今まで集めた換金アイテムを袋に纏めて街に向かった。
リヴィラの街
「てめぇー!リトル・ルーキー!!」
「?なんだ?」
街に付いて早々に入口付近に数人の輩の冒険者がベルに突っかかる姿を目撃してしまい、事情は知らないが見た限りいちゃもんの類だと思い俺は奴らに近づく。
「おい、俺の連れのベルに何かようか?」
「あぁ? 今、取り込み中なんだ! 後に…うっ、赫鬼!?」
「おい、まずいぜ! それに剣姫もいる…」
「ちっ! 面倒な連れを付けやがって」
どうやら輩の連中は俺と剣姫の存在にビビリその場を後にした。
「何だよ、ベルはトラブルにでも愛されてるのか?あんなチンピラにまでモテモテだな」
「違いますよ、ホムラさん! あの人達はオラリオの街でちょっとトラブルになって…」
「あっそ、まぁ〰あんなチンピラ達には気をつけろよ、弱いくせにプライドだけいっちょ前のやつ程、めんどくさいからな」
あの手の奴らは正々堂々なんて、微塵も考えてない。
「はい、気をつけますね、所で、ホムラさんも買い物ですか?」
「いや、俺はドロップアイテムを換金にな」
「凄い量ですね…」
「まぁ〰貯めてたからな」
「赫鬼君〰結構貯めてたんだね〰何か奢ってよ〰」
「こら、ティオナ がっつき過ぎよ、 せめて屋台の食べ物ぐらいにしなさい」
「ティオネもさらっと催促しないで」
どうやら、ロキ・ファミリアの双子のアマゾネスのティオナとティオネが俺が持ってきたドロップアイテムの量でそこそこの金額になるのを解ってしれっと奢らされる流れになっていた。
一応、アイズも制止してくれるが、この感じだとしつこいだろうな
「換金分は出せないが、一人、屋台の一品位なら奢るよ」
「わーい!赫鬼君、優しい〰」
「ふ〰ん、意外に解ってるじゃない〰」
「そんな、私達の分まで」
「気にしなくて良いよ、3人は明日には頑張って貰う為の前払いなら安いもんたから」
「ホムラさん、そこまで考えてるなんて凄いですね」
「そんな大層なもんじゃねぇーよ、 冒険者同士繋がりを作った方が色々助かるからな」
その先行投資が屋台の品なら、安いだろう、まぁこの街のやつはボッタクリな値段だがな
「後、ホムラ リヴェリアが話をしたいことが在るから後でウチのファミリアのテントまで訪ねて欲しいみたい」
「リヴェリアさんが俺に?」
想像も付かないな、一体何の話があるんだ?
話が長くなるのでここで区切ります!