この破綻者に憐れみを   作:熾烈

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ACT.4

 

 

 ファルムス王国が魔物の国に戦争を仕掛けた。西側諸国が唆し魔物の国テンペストの力を削ごうとしたが、一人の魔物によって全滅させられた。その魔物の名は、リムル=テンペスト。

 

 

 

 

 

 本来のルベリオスの所在地、夜想宮庭(ナイトガーデン)。人間の国のその地下深く。地下帝国と称されるようなそれ。そんな所に神にして魔王であるルミナス様が住まう宮殿がある。

 

 「お呼びでしょうか?」

 「ああ。ワルプルギスが開かれることになった。お前にも来てもらう」

 「魔女の集会(ワルプルギス)? 乱知気騒ぎでもするのですかな?」

 「違う、"魔王達の宴(ワルプルギス)"じゃ」

 「なるほど……ヒナタは良いのですか?」

 「いや、妾はヒナタを信頼している。不在の間、この国を任せている」

 

 話していると、何もない空間に突如門が現れた。厳かな意匠の門が開かれ中から出てきたのは、侍女のような服装(所謂メイド服)の女性。緑色の髪をしていた。

 「ロイ・ヴァレンタイン様、お迎えに上がりました」

 影武者であるロイを先頭に門を潜る。

 その先は別の空間と繋がっていた。

 

 大きな円卓の回りにある椅子にロイが座り、その背後に控えるように立つ。

 

 既に席は4つ埋まっており、赤い髪の悪魔、ギィ・クリムゾン。小さな妖精、ラミリス。巨人の漢、ダグリュール。そして例のスライム、リムル・テンペストがいた。彼は私を見ると驚愕した。まさかここに来るとは思っていなかったのだろう。

 それからやって来たのは気怠そうな男、たしか堕天族のディーノ。次いで羽根を持つ妖艶な女性、フレイ。その背後にはライオンの被り物をした人物がいた。さらに次に来たのは長い金髪と碧眼の美丈夫、レオン・クロムウェル。最後は白いタキシードに身を包んだ男、クレイマンとミリム・ナーヴァだった。

 

 ゴッ

 「さっさと歩け。このウスノロ」

 

 クレイマンがミリムを殴ったのだ。

 これには魔王全員が反応した。

 なんて命知らずな、と。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 魔王達の宴が始まった。

 

 クレイマンが立ち上がり、魔王達を見回した。このとき一瞬だけ魔王ヴァレンタインで視線を止めたが、ぐるっと見渡し仰々しく演説を始める。

 

 彼が話した内容は、証言としての証拠と、その証言者は既に死亡していると、だから復讐したい。など。

 全く話にならない。証言があった、これは良い。だが、証言者がいなければ証拠足り得ない。━━━少なくとも元いた世界では。

 

 今度はリムルの番だ。

 曰、お前の話は全て嘘である。その証言者は殺していないし生きてる。また、証拠はある。と。

 そう言って、机の上に記録媒体の水晶球を転送させた。

 そこにはクレイマンの部下や仲間の映像が映っており、クレイマンを不利にするものだった。

 

 「クックック」

 

 

 呆れるほどの茶番劇。クレイマンの天職は俳優だろう。

 思わず嗤いが漏れてしまった。すると侍女に扮したルミナス様に足を踏まれた。

 

 事態は進み、テーブルは消え代わりに結界が張られ、中ではリムルとクレイマンの闘いが始まっている。

 リムルの配下の鬼人にボコボコにされた挙げ句、支配していたと思っていたミリムは実は操られていたふりをしていて、仲間、いや協力者であったフレイに裏切られ、死んだと思われていたカリオンが生きていたりと、クレイマンは窮地に陥っている。

 その後、背中から腕を生やしたがリムルには手も足も出ない。

 

 個人的に、腕を生やしたクレイマンはゴキブリに見えてしまったのは仕方ないとおもう。

 

 

 

 結界が解けた。

 

 

 「ルミナス様、面白いことを思い付きました」

 

 小声で話しかけた。

 

 「余計なことをするでない」

 「クレイマンはこの前の侵入者と繋がりがあると思われます」

 「……………好きにせよ」

 

 

 お許しを得たので、クレイマンの元へ歩む。

 魔王でもない従者が、魔王達集まる中へ近付いてきたら当然注目が行く。

 クレイマンの顔を覗き込む。息も絶え絶えの彼に声をかけた。

 

 「力が欲しいか?」

 

 ただそれだけ問う。

 その言葉に魔王達はぎょっとした。

 

 「……あぁ、、ああ、力が欲しい。………私に力を寄越せっ!」

 

 彼は誰が話しているかもわかっていない。

 

 「良いだろう。ただその前に一つ聞きたいことがある。『あのお方』とは誰だ?」

 「ユウ、……………言うわけないだろう。私が仲間を、依頼主を裏切る事などない。それが、それだけが"中庸道化連'の絶対のルールなのだ!」

 

 やけになっていて、おそらくこれ以上はなにも聞けないだろう。

 「中庸道化連か、ふっ、道化にもなれん雑種が吠える。

 まあ良い……………では、祝祭を始めよう」

 

 

 宙で手を開くと、そこに黄金に輝く杯が顕れた。

 それをクレイマンの胸元にもって行く。すーと杯は彼の中へ溶けるように消えていった。

 

 

 聖杯とは、あらゆる願いを叶える願望器である。それはクレイマンの中にあるもう一つの願いもかなえた。いや、言い方が良くない。

 聖杯はクレイマンが持っている彼が殺した怨念とも言うべき魂の願いをかなえた。クレイマンは力が欲しい。怨念は呪う力が欲しい。どちらも力が欲しいことが共通している。であれば、その魂を糧に、彼に呪いという力を授けよう。

 

 膨大な魔素が吹き荒れた。

 「フフフ、フハハハハハァーッ!! 見よ、私は力を手に入れたぞ! 調子に乗っているからだよ、虫ケラが! さあ、今からこの私が、捻り潰して━━━ゴハッ!」

 

 血反吐を吐き出したクレイマンは理解が追い付いていない。

 

 

 魔王を覚醒するに足りる魔素が穢れていたらどうだろう? 泥のようなそれはクレイマンへと注ぎ込まれる。彼の魂は泥の呪いに耐えられなかった。魂は燃やし溶かされてゆく。

 

 クレイマンの体が膨れ上がる。

 

 「イタ、イイイ痛、イタイ…………ぇる、、増える、、、ふぅえるぅ、ぅ、……………助け、、、」

 

 それが最後の声だった。

 ただの肉塊と成り果てた。しかしそこに内包するエネルギー(魔素)は覚醒魔王並みである。

 

 

 「醜いな」

 

 これで私の役目は終わった。

 

 「魔王リムル、後はお願いする」

 「お、おう。━━━━喰らい尽くせ、暴食之王(ベルゼビュート)!」

 

 

 

 呆気ない幕引きだった。

 

 

 

 

 

 




 今回使われた聖杯。fgoの聖杯転臨時に使われる聖杯を元にしたもの。

 怨念の魂がが聖杯に溜まり、聖杯が汚染された。
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