SHIN KAMEN RIDER ~The Re:Build~ 作:フォレス・ノースウッド
いつもの癖で独自設定マシマシになってしまった。
シン本郷さんのキャラも、元の映画のままだと庵野さん特有のカメラワークとカット割りと編集と専門用語早口演出に頼れない小説媒体じゃ、彼の陰キャ具合が強調されてシン一文字さんが出るまで作中の空気が重くなりすぎるよなと思って書いてたら大分アレンジ利かせすぎちゃいました。
え?いくら元のテレビ版からIQ600の天才だったからって経歴盛り過ぎじゃないかって?
いや現実にあれぐらいのスーパーマンが実在するんですって、藤岡弘、ってお人なんですが(オイコラ
ただこのキャラにするともしかしたら池松さんのルックスでイメージするにはズレが出るかもしれない……あとあと一文字さんのキャラと相性がいい方がいるとしたら誰がいいかな……漫画版に近い黄川田さんは、長めの癖っ毛はあんま合わなさそうだし他に……そうだ!!ULTRA SEVEN Xのジンだ!!
というわけでこちらの本郷さんのイメージはジンを演じた与座重理久さんでいくとします(オイ
意外とノリのいい面もあるジン風なら、こちらのサイクロン君のあざとさも際立たせられるわ~( ̄▽ ̄)
「ここか……」
本郷猛――《バッタオーグ》は、《サイクロン号》から送られてきた地図情報を頼りに、指定の場所に辿り着いた。
そこにはかなり古びて物寂しさが漂う木造の一軒家が、森の中ひっそりとそびえ立っている……傍からは廃屋以外の何ものでもない老朽具合だ。
中に入ろうと一歩踏み出した矢先、本郷の眼は家屋のあちこち植物の蔦が伸び放題な外壁の一部から発する違和感に気づく。
「なるほど、擬態か」
その正体を感付いた瞬間、外壁に紛れ込んでいた《サイクロン》が姿を現した。
このバイクはバッタ同様、周囲の景色と同化して隠れることのできる機能を持っているのだろう。いわゆる《光学迷彩》ってやつだ。
本郷が見破れたのは彼の感覚が人間離れしたものだからであり、常人がサイクロンの擬態を見抜くのは不可能だろう。
サイクロンはフロントマスクを本郷へ向け、お帰りとでも言いたげにライトを点滅させた。
「ありがとう、君のお陰で僕も……彼女も助かった」
このバイクにお礼を述べた直後、そう言えば自分を助けてくれたもう一人の恩人たる女性の素性どころか、名前も知らないことに本郷は気づく。
まあ、先に家屋で身を潜んでいる筈であろう本人に諸々聞くとして。
「引き続き、見張りを頼むぞサイクロン」
本郷はそっとサイクロンの運転席(シート)にトントンと触れてあげると、相手もライトで応じる。何だか喜んでいるようにも見えた。
あの蜘蛛男がまだ自分たちを探しているのは明白なので気を抜いてなどいられないのだが、サイクロンの人懐っこさに、ほんの一時でも心が洗われて気が安らいだ本郷は、仮面越しに彼へ微笑みを送り、彼の新たな愛機(バイク)は『了解』と点灯して再び車体に光学迷彩をかけて周囲に擬態し直した。
本郷は家屋の出入り口へ歩き出す傍ら、その僅かな時の間に、今日自分が見舞われた衝撃的で常人にはとても信じ難く、受け入れ難い事態の数々に至る記憶(けいい)を思い返す。
確か……今日はその日も趣味のバイクでツーリングをしていた。
天気がとても良かったから、今回は山の空気でも吸いながら走ってみようと、森の中を進んでいた最中、何かの糸に身体が引っかかり横転した。
意識が薄れていく中で、あの不気味な仮面を被り、この時世には時代錯誤なのは否めない黒いレオタード姿の女性たちを目にして、次に気がついた時にはどこかの施設で手術台の上に横たわっていて、この赤いマフラーを自身の首に巻きながらあの女性から着いて来てと言われて、訳も分からぬまま成り行きでサイクロンに乗って逃亡し、自分たちを〝裏切者〟と称したあの蜘蛛男が率いる部隊と……生死を賭けた〝殺し合い〟をして、ここに至る。
そう言えば、施設を出る途中、大きな鷲が翼を広げる姿が描かれたレリーフがあった。
そして、バッタを模したマスクとなって自分の顔を覆っているヘルメットにも同じエンブレムがあって、刻まれた英文字の一つが――
「《SHOCKER》……」
廃屋の扉を開けると同時に、本郷は意図せずその単語を呟いていた。
「あっ……」
外観の印象に違わず、家屋の中は殺風景で薄暗く、床も内壁も天井も埃だらけな室内の中央に、壁の亀裂から注ぐ陽光を浴びて、例の女性が立っていた。
大手の映画会社が主催するオーディションイベントに出れば、グランプリを受賞してそのまま映画の主演で女優デビューできそうな類希なる美貌を持つ一方で、表情は無表情と言うより、むしろ無愛想の域と言っても過言ではない。
容貌からは〝自分は人を簡単に信用しない〟とでも言いたげな、心の壁の分厚さと、それでいて自分の主張ははっきり言う我の強さも窺える印象を本郷に抱かせた当の本人は。
「その名前、どこで?」
本郷が口にした単語のことで、少し驚いた様子で彼に問いかける。
《SHOCKER》
それが自分を《バッタオーグ》などと言うおそるべき〝怪人〟に改造した組織の名なのだと、本郷は確信し。
「この仮面(ヘルメット)にご丁寧にも書かれていたじゃないか」
本郷はマスクの側面をと人差し指で小突いて答える。
「あの状況下でよく記憶していたわね、さすが城南大学きっての天才生化学者、本郷猛」
「助けてもらったことには感謝はしているが、こっちは君の名前も知らない、なのに僕のことはよく存じているようだな」
「城南大学在籍の学生にして生化学者、頭脳明晰、スポーツ万能、武道にも精通しバイリンガル、調理師、小型船舶と自家用航空機の操縦、スキューバダイビング、アマチュア無線、銃器所持と幾多の資格を取得、一番の趣味はバイク、学業の傍ら国内海外問わず救援ボランティアに勤しみ、現在は大学院に入るか就職するかで将来を検討中」
「わ、分かった……もうその辺でいい」
いざ自分の経歴をそうつらつらと早口でよく舌を噛まずに述べられると、そんな余裕ができる状況でもないと言うのに本郷は気恥ずかしくなり、初めてこのバッタ顔の仮面にありがたみを感じてさえいた。
しかし、本郷にとって心の底まで染みついた絶望(トラウマ)のことまで言及されなかったのは幸いだ。
あの出来事(おもいで)は、忘れたくても生涯忘れられない、本郷の心の深層に刻まれた傷痕に他ならない。
「よく調べたこって」
「私は〝用意周到〟なの」
「それで、君の名は?」
色々彼女に聞きたいことは山ほどあるが、まずは名前を知っておくことにした。
「緑川ユリ子よ、ユリ子でいいわ」
緑川……だと?
本郷にとって馴染みのあり過ぎる人物と同じ苗字を口にしたユリ子と名乗る女性に対し、彼はさらなる疑念を抱かされたが。
「説明する前に、少しでも私が我慢できる格好にして、この先の洗面所に着替えを置いてあるから」
半ば有無を言わせぬ形で着替えを催促してきた。
「用意がいいことで」
「言ったでしょ? 私は――」
「〝用意周到〟だろ? 覚えておくよ」
ユリ子の口癖らしい言葉を先んじて発した本郷は、彼女が指定した洗面所へと向かう。
「待ちなさい」
「何だ?」
「まだスーツの脱ぎ方と、一応人間に戻る方法をまだ教えていないのにどうするつもり?」
「あ~それなら、今丁度サイクロンが教えてくれた、この二つのボタンがそうだろう?」
良いタイミングでサイクロンからのメッセージを受け取った本郷は、ベルトの右側にあるボタン類を指差す。
「この身体とこの力を受け入れるにはまだ時間が必要だが、あのバイクは気に入った、人を拉致して勝手に人体改造するブラック組織には勿体ないイイ子だな」
そう皮肉込みのユーモアを発して、足を踏み出そうとした本郷は――。
「ところで、なぜ僕にマフラーなんて掛けた?」
彼の脳裏に羅列されている疑問の一つを、ユリ子に投げかける。
「昔からバイク乗り――ライダーの必需品よ、それに」
「それに?」
「〝ヒーロー〟と言えば、赤なんでしょ?よく知らないけど……」
よく知らないで、《SHOCKER》から自分を連れ出して逃げようと一刻も争う事態の渦中でわざわざこのマフラーを自分に贈っていたのかよ、と思わず突っ込みたくなる本郷だったが、敢えて口にせず洗面所に入っていった。
洗面台を見れば、本当に着替えの服が一通り、丁寧に折り畳まれて用意されていた。
ルリ子のご厚意に甘えて、サイクロンからの説明通り〝変身〟を解除するベルトの右腰のスイッチを押そうとしたが、本郷はその前に確かめて、この目と心に刻んでおかなければならないことがあると、一時取りやめる。
まずは鏡の前に立ち、己が姿を映し出した。
「っ――」
静寂が支配する密室だけあり、息を呑む自分の声が嫌でも耳に入る。
そのくせ、体内は何らかの強大なエネルギーが、風の音として全身にくまなく絶えず流動していた。
黒を基調とするライダースーツのデザイン自体は、本郷もバイク乗りの端くれだけあり気に入った。至極色(ふかむらさき)なグローブとブーツとマジョーラコーティングの利いた胸部のプロテクター、それとベルトからスーツ全体に流れ、二の腕と両脚には二列で流れるラインもいいアクセントだ。ルリ子が巻いてくれた真っ赤なマフラーとの相性も抜群。
なまじライダーの端くれとしてのロマンを刺激してくれるスーツな分、顔を覆う仮面の異質さが際立った。
もしバッタを人間の顔に落とし込んだらこうなる、としか言いようのない複眼とV字状に伸びる二本の触覚(ブレードアンテナ)と、牙(クラッシャー)……まるで自分の顔がむき出しの骸骨になってしまった気にさせられた。。
この状態でも取れるのかと、両手でマスクを挟み込むと、口元の部分が収納され、久方振りに自分の口を目にした。
覚悟を決め直して、ゆっくりマスクを外すと――。
「これが、僕の顔?」
想像していたよりも、まだ比較的人間の面影は残されていたが、それでも常人(たにん)が目にすれば驚愕し、恐怖におののくのは必至であろう異形の顔がそこにあった。現に鏡越しに見ている自分が、ぞっと引いて怯えている。
双眸を起点として、顔中には痣が刻み込まれ、瞳は血の色で面妖に光っており、まさしく〝怪人〟としか言いようのない風貌だった。
グローブの片方も脱いでみれば、形こそ人間の五指が伸びるものだったが、表皮はバッタそのものだ。マスクの後頭部を見れば、あの鷲のエンブレムと《SHOCKER》、《BATTA-AUG》と型式番号らしい《BAA-01》と銘打たれている。
オーグと言う単語が増強を意味する『Augmentation』を略した造語だとしたら、確かに自分は、バッタの特性付加を込みで強化された〝改造人間〟――《バッタオーグ》。
その事実を突きつけられた本郷は、ベルトの右腰にあるボタンの内、上部にある方を押す。
ベルト中央の赤い風車がせり出して回り出すと、バックル部に配置された四つある排出口とともに密室に微風を齎し、顔からは痣が消えていき、露出した手も含めた全身の皮膚も人間のものへと変質。
本郷の容姿は一応、癖のある黒髪とシャープで端整な顔つきが特徴的の二〇代前半頃な青年の姿に戻った。けど戻ったのは外見(がわ)だけ、改造されてしまった事実は決して覆らない。
加えて、あの《SHOCKER》とやらの秘密組織に属し、洗脳と思わしき措置を受けられていたとは言え、人間を殺した〝十字架〟も背負っているときた。
まだ感情面では受け入れがたいが、どうにか理性だけでも受容するしかないだろう、まだ外面だけでも人間でいられるだけ幸いだと思うことにした。
すると、バッタのマスクの複眼の下に流れるラインが、涙に見えてくる。
もしこれが、目を逸らすことの許されない運命に巻き込まれた自分の境遇を憂いでくれるものならば、この異形の仮面にも、不思議な愛着が抱いてくる。
本郷は目を一度瞑り、自身と仮面(ヘルメット)の額同士を密着させ。
「頼むぞ」
これから待ち受ける運命の大河にて相乗りすることになるマスクへ、そう言い伝える本郷なのであった。
そろそろルリ子が揃えてくれた衣服に着替えるとしよう。
本郷は下部にあるもう一方のスイッチを押すと、スーツ全体が形状を保ったまま半透明の液状となり、ベルトのバックルの上部と下部にあるハッチが開かれ、そこへスーツは粒子状となって吸い込まれていき、連動するように、マスクもフルフェイスの黒いヘルメットに変形し直される。
彼の風体はベルトと局部を隠すインナーを除けば、ほぼ裸となった。
そのベルトも、普段着として取り付けるは大きすぎるサイズから、バックルの特徴を維持したまま元の調節器具として扱える大きさにまで縮小される。
「《ナノテクノロジー》か」
先程〝変身〟した時から薄々そうだと感付いていたが、ベルトもスーツもマスクも、原子(ナノメートル)ほどの微細なナノマシンの集合体なのだと確信しながらも衣服を着こむ。
この機構そのものについては特段驚くことでもない。とは言えここまで高度な通称《ナノテク》は、本郷もこの瞬間まで拝めた経験がなかった。
自分一人の人体を改造(オーグメンテーション)し、サイクロンを含めた一連のツールだけでもここまでハイレベルなオーバーテクノロジーを所有している《SHOCKER》という秘密組織………一体何を目的として、密かに人間社会の裏側で暗躍しているのだろうか?
今一つはっきりしているのは、緑川ユリ子と言うあの女性は、その《SHOCKER》の構成員の一人でありながら、ある確たる理由と目的があって組織から離反した。
そしてかの組織は、離反した存在を決して許しはしないと言うこと。
本郷が把握している僅かな情報量だけでも、《SHOCKER》は世界規模レベルの、それこそオカルトや陰謀論ではポピュラーなイルミナティ並の強大な組織と踏んでも過言ではない。
自分もそんな組織から〝自由意志〟を奪われ、傀儡の一人になるところを、ユリ子は(彼女なりの意図と利害あってのものもあるとは言え)助けてくれた。
どの道本郷も、組織から見れば離反者の一人だ。
利害も一致しているのだから、恩も込みで自分もできる限りの協力をしようと決めた。
濃いめのグレーなボタンシャツに濃紺のジーパン、腰にベルトを巻き直し、シングルライダースタイプの黒いレザージャケットを羽織る。
「あとは、これをどうするか」
残る課題はヘルメット、できればなるべく使う機会は避けたいが、今後も《バッタオーグ》の力を使わざるを得ない時は、少なからず何度も訪れるだろう。
この仮面(ヘルメット)も、力をどうしても行使せざるを得ない事態に直面した場合に対処する上で欠かせぬツールだ。
ただバイク――サイクロンを乗っている時はともかく、徒歩などの場合だといちいちずっと持ち歩くには些か不便なのだが……そうだ、これもナノマシン製ならばと、持ったまま脳内にイメージを浮かべると、ヘルメットは変形し、複眼の間に取り付けられていたО型の装置が付いているのを除けば、ぱっと見はシンプルな黒いニット帽に変わった。
これは後でサイクロンから聞いたことだが、この装置の名前は《Oシグナル》と言うらしい。
これなら不便は最小限に抑えられると、本郷はニットに擬態した仮面を頭にかぶり直す。
さて、今度こそルリ子から諸々を聞いて、今後どうするのは打ち合わせないとな。
しかし……緑川。
もし彼女が本郷にとって生化学の師にして父でもあるかの〝人物〟と縁者だとしたら……〝先生〟も。
「えっ……」
洗面所から母屋に出た瞬間、本郷の瞳が見開かれる。
「本郷君」
「緑川……先生」
ルリ子に並び立つ形で、その人物――《緑川弘》は本郷の名を呼んだ。
――――――
テッテテ~~~デデデン~~♪
シン本家だと、変身中だとマスクは無理やりこじ開けないと顔を晒しだせませんでしたが、石ノ森さんの漫画版にあった手術痕が浮き出たまま仮面を取って『マスクを着けている時が本物の顔、その下の顔は偽物』と言っていたバットマン風な場面が好きだったので、どうしてもそこが描きたかったんですよね。