キョジオーンって可愛いなって思ったので書いてみました。
ここはパルデア地方。
歴史ある学園、グレープアカデミーがあることで有名なテーブルシティの南側。
青々とした緑が美しい小道を1人の少年とその相棒が疾走していた。
「風が気持ち良いな!モトトカゲ!」
「ギャオン!」
アカデミーの学生である少年は、学生らしく沢山の悩み事を抱えていた。
成績のこと、友人のこと、バトルのこと。
次々に現れては心に暗い影を落としていく悩み事の数々に少年はうんざりしていた。
(こんなむしゃくしゃする日は走るに限るぜ…!)
思春期の少年特有のカッコつけを心の中でしつつも、相棒であるモトトカゲの背中に乗り、悩みも何もかもを置いていく様なスピードを身体中で感じる少年。
他者から見れば実に微笑ましい光景ではあるが、これもある意味青春の形の一つなのだろう。
そうして気分爽快に走り回っていた彼だったが、モトトカゲが急に止まった事で勢い余って振り落とされかける。
「ギャオン?」
「うわっ!?どうしたんだよモトトカゲ!急に止まったら危ないだろ!」
「ギャオン…」
怒り心頭の少年に申し訳なさそうな表情を浮かべつつも、モトトカゲはキョロキョロと落ち着きなく首を動かし、辺りを探っている様だった。
「おいおい、本当にどうしちゃったんだよ…ん?」
困惑していた少年であったが、彼の耳に微かな音届いた事で自身も相棒と同じように周囲を見渡した。
ドン…
ドン…
「なんだ…?」
ドシン…
ドシン…
「じ、地震か…?」
ドシン…!
ドシン…!
困惑している内にも音は大きくなっていく。
いや、正確に言えば後ろから近づいてくる。
ドシン!ドシン!
ドシン!ドシン!
「ギャオオオン!?」
「なんだなんだぁ!?」
あまりの驚きに相棒に抱きつく少年。
音の発信源である後ろをゆっくり振り向くと、やや遠くに大きな影が見えた。
人、にしてはずいぶん大きい。
ドシン、ドシン、と音を響かせながら、やがて影は少年がその姿をハッキリと確認出来るまでに近づいていた。
「は?」
「ギャオン…!?」
岩塩で作られた大きな体躯。
無機質ながら楽しそうな色を帯びる瞳。
四角い胴から伸びる四角い手足。
おおよそ動かすのに向いてないはずの腕を大きく振り、足をしっかりと上げ進む姿はマラソンランナー想起させた。
重厚な体を待ちながら、絶妙なバランス感覚で美しい姿勢を維持するその姿、まるでスワンナのごとく。
そう、その影の正体は───
走 る キ ョ ジ オ ー ン で あ る 。
「ゴゴゴーン」
とても綺麗なフォームで走るキョジオーンは、軽く会釈をしつつそのまま少年達の横を通り過ぎ、木々のトンネルを抜けて行った。
そのスピードは先ほど少年達が走っていたスピードをはるかに超え、
その姿はあっという間に見えなくなった。
「な、何だったんだ…?あいつ…?」
「ギャ、ギャオン…」
少年が驚愕から元に戻るまで、暫くかかった。
こんなに可愛いポケモンが走ったらきっともっと可愛いだろうと言うのが執筆に至った経緯となります。