きょうだいはおしまい!   作:虎之丞

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たまには.5話でも書いてみようと思い至りました。次回予告した内容とは違いますのでご注意を。



追記

何故か予約投稿されてない事に今頃気付き、時間をよく見てみたら7月に設定しちゃってました。アホですみません。




第11.5話 もふらと一緒の初登校 その後

「うへぇ…やっと放課後だぁ…」

 

 

 まひろの転校初日にて、全ての休み時間を男子達の質問ラッシュによって潰されたもふらは、まるで一仕事終えたかのように大きく息を吐いた。

 

 まひろの趣味やら好きな物やらを聞かれたり、何故か妙に優しくされたり、そもそも一緒に暮らしている事を嫉妬されたり、興味本位な質問もあれば、なんだか崇拝してるかのような質問もあったりと、まあ色々ではあった。

 

 何だかんだ女子も含めたクラス全体でまひろの印象が好印象なのは良いことではある。肝心の本人が人見知りなので、打ち解けるまでに時間がかかりそうではあるが。

 

 

(まあ何にせよ、初日は乗りきれたんだ。この先もきっと…)

 

 

 もみじ達の対応が予想以上にしっかりしており、まひろ自身はかなり平穏な学生生活を送れていた。本人の性格を鑑みれば、この先もとりあえず中学生活を続けてみるかという気にはなってくれるはずだと、もふらは考える。

 

 

「質問攻めに遭って大変だったし、今日のところは早く帰ろうかな…」

 

 

 教科書類を鞄に入れながらそう呟くもふら。疲れているという程ではないのだが、後から疲労がやってくるなんてこともあり得るし、自分より大変なはずの兄も早く帰って休みたいと思っているかもしれない。

 

 

「まひー、一緒に──」

 

「まひろちゃん。一緒に帰ろ~~」

 

「うん~」

 

 

 準備完了し、いざ兄へ一緒に帰ろうと誘いに行こうとするも、もみじ達と一緒に帰宅準備をしてるのが目に入りすぐに止めた。今行ったら仲の良いグループ内に無理矢理割り込むかのようで何だか気が引けるし、そもそも楽しんでいるのなら邪魔をするのも無粋だろう。

 

 

「…というかこの状況で一緒に帰ろうとか言っちゃったら、ボクが寂しがり屋だと認めているようなものじゃないか」

 

 

 うんうん、とまるで自分に言い聞かせるかのように頷きながらそう呟く。それから自分への言い訳を続けること十数秒。

 

 

「……帰るか」

 

 

 ふと我に返り、冷静になったもふらは鞄を持って席を離れる。今日も今日とて1人帰り。意外と何も変わっていないことに少し悲しげな表情を浮かべつつ、教室を出ようとする。

 

 

 そんな哀愁漂ったもふらの後ろ姿を視界に収めたまひろは何かあったのかと思い、もみじ達との話を一時中断し、急いで弟の下へと近づいてきた。

 

 

「──おい、どうした? 平気かもふら」

 

「うぇっ…!? い、いきなり何…?」

 

 

 気づかれないようコッソリと出ようとした筈が何故かすぐに見つかってしまい、思わず上ずいた声が出てしまうもふら。そんな弟の様子を疑問に思いながらもそのまま話を続けていく。

 

 

「いや、ぼーッとしてたから何かあったのかと思ってだな」

 

「心配性だなぁ…調子が悪かったらすぐに言うって。ちょっと考え事してただけだよ」

 

「なら良いんだけどさ……あっ、そうそう。これからもみじ達と一緒に帰るんだけど、おまえはどうする? 一緒に行くか?」

 

「──ううん、止めとく。ボクはやること思い出したから先に帰ってて」

 

 

 少し考える素振りを見せた後、そう笑顔で答えるもふら。当然嘘である、やることなど何もない。ただせっかくの兄の楽しい学生生活を邪魔したくないだけだ。

 

 

「ん、そうか。でも何かあったらちゃんと兄ちゃんに言うんだぞ?」

 

「分かってるって。じゃあまた家でね、まひ兄」

 

 

 心配かけないように笑顔で手を振って別れるもふら。そんなもふらの様子を見て一応の納得はしたのか、まひろも軽く手を振り返してからもみじ達の方へと戻っていった。

 

 

 兄が元の場所へ戻るのを見届けると、もふらは軽く息を吐いて一安心する。

 

 

「あ、危なかった…ギリギリセーフ。……これで良かったんだよね」

 

 

 もみじ達と一緒に帰るまひろの姿を眺めながらそう呟いた。

 かつて引きこもっていた兄に友人が出来、笑って一緒に帰っていくその姿にとても嬉しさを感じ、そしてそんな気持ちとともに少しだけ別の気持ちも湧いてきていた。

 

 

(でも、やっぱりちょっと寂しいな……)

 

 

 兄の笑っているところに自分がいない。たったそれだけのことなのに、なんだか胸が苦しくなっているのを感じている。

 

 

(ホント…何も変わってないなぁ)

 

 

 緒山もふらは昔から兄と姉にベッタリだった。一秒でも離れたくない、と言わんばかりの引っ付きっぷりを発揮していた小学生低学年時までと比べればだいぶマシではあるが、根っこの部分はやはり変わっていないようで、今でも兄と一緒に帰りたい気持ちで溢れている。

 

 しかし邪魔をしたくない気持ちの方がもっと大きいようで、それでいて気を遣われてしまうのはもっと嫌になるのがもふらという人間だ。たとえそれが悪癖であろうとも、彼のその考えが変わる事はそうそうない。

 

 

 

 

(せめて、まひ兄が学校に慣れるまではまだ…)

 

 

 そんな事を考えながら学校から出ると、正門前で2人の男子生徒が立っている姿が目に映る。ゆうたとみなとだ。なんだか誰かを待っているように見える。

 

 誰を待っているのだろうかと思いながら、正門まで歩いていくもふら。少しすると2人ももふらに気付いたようで、すぐにじっと見ながら彼がやってくるのを静かに待つ。

 

 

「どしたの2人とも?」

 

「…実は俺達、お前の事を待ってたんだ」

 

「ボクを…? なんでまた」

 

 

 辿り着くやいなや、そう言ってきたゆうたの発言に首を傾げるもふら。特別何かを約束していた覚えはないのでうーん、と思案する。

 そんなもふらを見た2人はすぐさま説明をしていく。

 

 

「何と言うかさ、その…あいつら質問ばっかしてきて大変だっただろ?」

 

「だからお詫びと言うのも変だけどさ、今から気分転換に遊びに行くのはどう?」

 

「そうそう! 駅前のゲーセンとか」

 

「2人とも……うん、ありがとう」

 

 

 まひろと帰れない事による寂しさに気づいてて言っているのかいないのか、答えは分からないがもふらには正直どちらでも良いことだった。

 この何とも言えない寂しさを、今だけは忘れていたいから。そう思いながら2人の誘いを快く受ける。

 

 

「なんだかボクも、今は遊びたい気分だったから」

 

 

 笑顔でそう返し、ゆうたとみなとと一緒に談笑しながら街中へと向かって歩いていく。

 

 

 

(今はまだ整理がつかないけど、いつかはきっと──)

 

 

 きっと、変わっていけるだろう。そう思いながら、もふらはまだ見ぬ未来に想いを馳せていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──何があったし…」

 

「いやぁ、その……」

 

 

 帰って早々、教室での様相とは打って変わったまひろの姿が目に入る。何故か布団の中で(うずくま)って泣いている兄の姿にもふらはただただ困惑していた。

 後にみはりから受けた説明により事情を察したが、兄にとっては少しほろ苦い初登校となってしまったようだ。

 

 

「はは、なんか…うん。ある意味期待を裏切らないよね、まひ兄は」

 

「笑ってないでもふらもお兄ちゃん慰めてあげて!」

 

 

 思わず苦笑してしまったのを姉に突っ込まれるもふら。どうやらこの兄にはまだもう少しだけ精神的サポートが必要なようだ。

 

 とりあえずやれるとこまでやってみようか。ハッピーエンドに辿り着くその時まで。

 

 




閲覧ありがとうございます。初の幕間の話でした。
もふら相手だと自然と兄力が高くなるお兄ちゃんは、二度目の初登校で大変な目に遭っても弟の様子がおかしい時は心配してくれます。みはりがいる時は大体任せている事が多いですけど、基本的に面倒見が良いので、いない時はちゃんと見てくれてる。
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