きょうだいはおしまい!   作:虎之丞

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原作8話のところです。いつもより気持ち短め。


4/22 追記

みはりちゃん誕生日おめでとう!話し自体は昨日の夜に書き終わっておりましたが、急いで予約投稿してしまったのですっかり書き忘れておりました。申し訳ありません。

これからもおにまいの創作が増える事を祈って、拙い文章ながらも頑張って行こうと思います。



第4話 もふらとみはりとニューまひろ

 世は夏休み真っ盛り。新たな友人も出来、たまに遊びにも誘われ、もふらの日常は今までよりも確実に良きものになっている。

 まあ、それ以外は基本家にいるか、本屋に行くか、買い物を手伝うぐらいしかないのだが。

 

 

「夕食ヨシ! 洗い物ヨシ! 掃除ヨシ! 宿題ヨシ! パソコンは何故か動かなくなったけどヨシ!」

 

「いや最後のはダメでしょ」

 

 

 本日のやることが全て終了し、プログラミングのテストでもしようかと思ったのだが、酷使しすぎたのかそれとも夏の熱気にやられたのか、もふら愛用のノート型パソコンが遂に動かなくなってしまった。

 

 みはりと協力して持ち前の知識とネットで調べた知識を使い、修理出来るかを試みたものの、どうにも基盤の方がやられているらしく、業者に頼むか買い直すか検討した方が良いとのことだった。

 

 

「う~ん、これならお小遣い貯めて買い替えるのが一番良いか」

 

「一応聞くけど、バックアップは?」

 

「取ってません」

 

「何やってんの、もう…」

 

 

 知識は入っているので1から覚え直すという訳ではないが、せっかく自作したプログラムがパーになっているのは正直勿体ないものである。

 

 だが、壊れてしまったものは仕方がない。もふら本人がそこまで気にしていないのなら、そこまで被害も大きくなかったのだろう。そう思う事にし、みはりはいつも通り兄の様子を確認しに部屋へと向かうのだった。

 

 

 

「さて、何しようか──うん、やる事ないな。まひ兄から漫画でも借りよ」

 

 

 少し間を空けて、もふらもまひろの部屋へと続いて行くことに。

 

 

 

 

 

 

 

「漫画読むの結構久しぶりだな。まひ兄って今どんなの集めて──」

 

「調教はやだーー!!」

 

「!?」

 

 

 兄の部屋からいきなり女の子の悲痛な叫び声が響き渡る。と言うより、些か高くなっている気がするが、明らかに兄の声だった。ただ事ではない予感がし、急いで駆けつけるもふら。

 

 

「まひ兄何事──」

 

 

 もふらが開けっぱなしのドアから中を覗くと──

 

 

「おうちに帰して~~」

 

「な、なにどうしたの!?」

 

 

 毛布にくるまり、まるで女児のように泣き叫んでいる兄の姿があった。流石のみはりも予想外だったのか慌てふためいている。

 一歩離れたところから(うかが)っていたもふらは辺りを確認し、状況を少し考えた後、引きつった顔をしてみはりの方へと向きなおった。

 

 

「──みは姉、まさか…」

 

「何を想像した何を」

 

 

 オイコラ と言いたそうに、しかめた顔でもふらに返答するみはり。このまま説教でもしてしまおうかとも考えたが、こんなことしてる場合じゃないとすぐに止め、改めて状況を確認することに。

 

 もふらもこれ以上ふざけるのを止めて、辺りを伺ってみると一つだけ不自然な物が落ちている事に気づく。

 

 

「…みは姉、アレ」

 

 

 もふらが指差した先にあったのは、アルミ製の箱。中にはたしかゲームソフトが入っている。確かに落ちているのは不自然だ。

 みはりがその箱を手に取って確認してみると、一部にベコりと不自然なへこみが出来ていた。落ちた箱の目の前にある本棚の上には、たくさんの箱が置かれてあったが、その中に1箇所だけ不自然に何もない空間が出来上がっている。

 

 

「…なるほど。そういうこと」

 

 

 ふむふむと何かを確信したかのように頷くみはり。兄に起きたと思われる出来事をもふらに分かりやすく説明する。

 

 棚の上にあったこの箱を取ろうとしたが、手が届かずうっかり落とし、運悪く頭に直撃。そしてそのまま記憶を失った──

 

 

「──流れとしてはこんなところかな」

 

「一応聞くけど、バックアップは?」

 

「取れる訳ないでしょ」

 

「だよね」

 

 

 当然の反応だった。人間相手にそんな事が出来たらノーベル賞ものだろう。いくらみはりでも、さすがにそれは無理がある。

 

 さて、どうしたものかと二人で悩んでいると、おしまい兄まひろ改め、ニューまひろがまた泣き出した。

 

 

 

(精神まで幼くなってるのかしら…?)

 

「お姉ちゃんはお医者さん…?」

 

 

 見た目相応の性格と話し方になったまひろに困惑していると、急に泣き止んでみはりへ質問してくる。急に聞かれたので少々戸惑うものの、女児を相手にするように優しく答える。

 

 

「う~ん、ちょっと違うかなぁ」

 

「そっか~~~」

 

「どちらかと言えばマッド──」

 

「黙って」

 

「ハイ」

 

 

 まひろに悪いイメージを抱かせようとしてるのか、何かと茶化してくるもふらを制し、まひろに優しく話すみはり。

 一方のもふらはみはりの事を訝しんでいた。まひろを見る度、何かを必死に堪えるような表情をしているのが気になるからだ。

 

 そしてその疑いが正しいという事は、次にみはりが見せる態度ですぐに証明されるのだった。

 

 

「……ねえ、まひろちゃん。今日はもう遅いし…とりあえず一晩様子見よっか…!」

 

「顔がヤバい…!」

 

 

 デロデロに溶けてそうなほど興奮した表情で記憶喪失の兄に詰め寄るみはりに、さすがのもふらもドン引いた顔をする。

 これは絶対放置したらヤバい! 姉がおかしな事をしないように、きっちり監視した方が良いだろうと気合いを入れて行動する事になった。

 

 

 しかし、頭のたんこぶの治療、絵本を読んで寝かしつける等、幸いにも危険な行動は起こさないままみはりの活動は終了した。何故か顔はツヤテカしていたが。

 

 微妙に納得のいかないまま、もふらは自分の部屋へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お…お姉ちゃん…一緒に寝よ……」

 

「うんうん、おいで~~!!」

 

 

 真夜中。部屋のエロ本に恐怖を感じ、1人で寝れずにいたまひろは、枕を持ってそのままみはりの部屋へとやって来ていた。

 少し前までは反省し、現状に向き合っていた姉の姿は何処へ行ったのやら。早くこっちにおいでと言わんばかりにバシバシと自分の隣の位置を叩き、興奮気味の表情をしながら添い寝を許可するのだった。

 

 だが、そこにもう1人の人物がやって来る。

 

 

「ちょっと待った~!!」

 

「地獄耳…!?」

 

 

 ドアをバン!! と勢いよく開け侵入するもふら。まひろが驚いてしまったので、閉める際は謝りつつゆっくり静かに行ったが。

 コホンと一つ咳払いをして真剣な表情でみはりの方を向くもふら。何を言うかはみはり自身にも予想はついている。

 

 

「みは姉が何かしでかさないか監視させて頂きます」

 

 

 ですよね~ と心の中で頷くみはり。あんな姿を見せてしまったら、そう言われるのは必然ではあるのだが。

 

 

「信用ないなぁ……お姉ちゃん少し悲しいかも」

 

「自業自得では…?」

 

 

 わざとらしく悲しげな表情を浮かべるみはりに、もふらは何言ってんだコイツ、と言わんばかりの視線を向けた。

 

 

「まあいいか。それよりみは姉、座布団どこある? 床に直座りで監視するのキツいから欲しいんだけど」

 

「う~ん……ねえ、いっそもふらも一緒に寝るのはどう? 座りながら寝ちゃったら身体痛めちゃうし。それに三人で寝るのなんて小さい時以来だし良いんじゃないかしら?」

 

「へぁっ!? 一緒に…!? い、いや…それはさすがに…!」

 

 

 姉の口から出た予想外の提案に焦り、顔が赤くなるもふら。それを見たみはりは、もふらにからかうような表情を向けつつ、眠そうに立ち尽くしているまひろをベッドの上へと誘う。

 

 

「ふふ、照れちゃって」

 

「当たり前でしょ! 今いくつだと思ってるのさ。まったく、こんな時ばっかり子供扱いして…」

 

 

 ブツブツとぼやくもふら。そうは言っても、みはりにとってもふらは何時だって大切な可愛い弟なのだから、子供扱いしてしまうのも仕方ないと言えば仕方ないのだ。

 しかしそのままにしておくのは忍びないので、その可愛い弟を説得して宥める事にする。

 

 

「まあまあ。こんな機会、お兄ちゃんがこんな状態じゃないと出来ないんだから。せっかくなんだし、さ?」

 

「ぐ…ぬぬ……うぅぅ~…!!」

 

 

 まるで母のような優しい微笑みをする姉の勢いに根負けしそうになるのを必死に堪えるもふら。堪えて堪えて堪えて堪える。堪えすぎて数年位は耐えてきたような顔になってしまっていた。ほんの十数秒しか経っていないのに。

 

 

「……ちょっとだけだよ?」

 

 

 そして結局、陥落してしまう。堪えた意味など特になかったかのように。

 でも仕方がない。姉に逆らえる弟などこの世界には存在しないのだから。

 

 

「うん。いらっしゃい」

 

 

 

 

 ♂♀♂♀♂♀

 

 

 ボクがベッドに入れるように、みは姉は奥の方に身体を詰め、既に隣で眠っているまひ兄の位置も少しだけ動かしてあげた。これでようやくギリギリ入れるレベルだ。

 ボクもまひ兄を起こさないようにゆっくり入るとしよう。

 

 

「う…めっちゃ狭い……」

 

「あはは、さすがに三人はね……でも懐かしいなぁ、この感じ。もふらは覚えてる?」

 

「一応ね」

 

 

 あれはボクの歳が3つになった頃だったか。(まひ兄)(みは姉)(ボク)の三人で一つの布団に川の字で寝ていた時の事を思い返す。

 もう9年半近くも昔の話だけど、今でも鮮明に憶えている。

 

 

「あの頃はこんな風になるなんて夢にも思わなかったなぁ。お兄ちゃんが引きこもりのダメニートに、それから女の子になって」

 

「そしてみは姉は怪しい薬を作る狂科学者になって」

 

「そこは大学生って言いなさい。それで以て、もふらは素直じゃない子になっちゃって」

 

「え~、ボクが素直じゃなかったら世の中の人の9割は素直じゃなくなると思うなぁ」

 

「よく言うわ……でもそんな未来になっても、こうしてまた皆で一緒に過ごせた事が、私には───」

 

 

 この時のみは姉の横顔がどんな表情をしていたのか、よく見えなかったけど…きっとその顔はボクの想像通りのものだっただろう。

 

 

 

 

 

 

「さっ、もう寝なさい。夜更かしは身体に良くないんだし。おやすみ、もふら」

 

「うん。おやすみ、みは姉」

 

 

 いくつか昔語りをした後、ボクらは就寝する事にした。

 一緒に寝ることへの緊張感も、ベッドの狭さも特に気にならないまま、少しした後にボクの意識は深い眠りへと誘われていった。

 

 

 

 

 

「また皆で一緒に過ごせた事が、私には何よりの幸せだから」

 

 

 完全に落ちるまでの間、お姉ちゃんのその言葉がずっと頭の中から離れずに流れていたような。そんな気がした。

 

 

 

 ボクも同じ気持ちだよ。みは姉──

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♂♀♂♀♂♀

 

 

 

「………あ、まひろちゃんおはよー…」

 

「なっ…何してんだお前ーー!!」

 

 

 翌朝。鳥のさえずりが心地よく聞こえるこの時間帯、まひろの叫び声でもふらは目が覚める。口調からして記憶は戻ったようだ。

 

 

「……おはよー、まひ兄ぃ…」

 

「ってもふらまで…!? 何で人の身体にしがみついて…」

 

「だってー…ベッドがー…狭くてー……」

 

 

 寝ぼけながら、まひろへ説明をするもふら。纏めるとこうだ。

 

 三人で寝るには狭かった。一番外側にいるのも相まって、このままではベッドから落ちてしまう。なので腕を伸ばして隣にいるまひろをガッチリホールド。と言う流れらしい。

 

 

「説明になっとら~~ん!! そうはならんだろ!! と言うか何でこんな事に…」

 

「あれ? 覚えてない? お兄ちゃんが私の部屋に──」

 

「い…いや! 何にも覚えてないし!! 知らんし!!」

 

 

 顔を赤くし、必死に否定しながら急いで部屋を出ていくまひろ。

 記憶が戻って良かった気持ちと、もう少しそのままでいて欲しい気持ちが混ざり合った複雑な気持ちで、みはりはその姿を見送るのだった。

 

 

「ほらもふら、あなたも早く顔洗ってきなさい」

 

「…ぅ~ん……分かったよ…お母さん」

 

「誰がお母さんか」

 

 

 まだ寝ぼけているもふらを起こして洗面所へと送りだす。

 

 うちの兄弟はまだまだ手のかかる子供だなぁ。と緒山家長女は率直な感想を心の内で述べるのだった。

 

 

「さて、今日も1日頑張りますか」

 

 

 うーんと背伸びをして脳を覚醒させる。

 妹にして姉(みはり)の1日が今日もまた始まるのだった。




閲覧ありがとうございます。

普段は弟がボケて姉がツッコミを入れる感じだが、姉がポンコツ化する時だけは逆にきっちりとする弟。ある意味信頼し合っているとも言える。


さて、1年時の夏休みの話が特に浮かばなかったので急遽挟んだ話でした。この1話にてもふらの夏休み終了です。2学期も頑張っておくれ。


下はふざけて書いたやつ。こんなん書いてるから話作るのが遅れるんだわ。


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