高町なのはくん   作:わず

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激動

 

 闇の書のページが埋まっていく。

 その度にイリスは解析を進めていた。

 

「これだ」

 

 完成間近となったとき、イリスが目的の情報を見つけた。

 

 ユーリ・エーベルヴァイン。

 闇の書を安全に管理するために生み出された存在。

 そして、イリスのかけがいのない友達。

 

 友達、だった存在。

 

 その友達だったユーリが闇の書に閉じ込められていた。

 イリスはユーリを解き放ち、復讐することが目的だった。

 それに問い質したいこともあった。

 

 どうして研究員を、所長を殺したのかと。

 

 かつて、フィル・マクスウェル所長という人物がいた。

 イリスを作り出し、惑星エルトリアの再生に取り組んでいた研究者。

 マクスウェルに付いていく研究員と、そのマクスウェルを殺したとされるのがユーリである。

 そして解析を進めていくうちに、イリスはある情報にたどり着いた。

 

 ユーリの記憶。

 それが闇の書に残されていた。

 友達であれば見ないでおくのが普通だろう。

 だが、もはや友達でもない。それにどちらにせよ問い質して聞くつもりだった。

 ここで確認するのも同じと考え、イリスはユーリの記憶を読み取った。

 

「……これは」

 

 イリスはユーリが所長と研究員を殺したと認識していた。

 マクスウェルを殺害したこと。それは事実だった。

 だが、研究員は殺していなかった。

 研究員を殺したのはマクスウェルの仕業だった。

 それを止めようとして、自分の命を守ろうとして、結果的にユーリはマクスウェルの命を奪う結果となっていた。

 

「そんな」

 

 ユーリを恨んでいた。

 でもそれは間違いだった。決してユーリが暴走したわけではなかった。

 

 イリスは闇の書を閉じる。

 一人、考える。

 ユーリを解放する。それは変わらない。

 けど、復讐のためではない。

 

 助けたい。

 また一緒に笑いたい。

 

 そう、思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人気のない場所。

 使われていない廃墟へと守護騎士達が入っていく。

 通信妨害のため、シャマルが結界を張った。

 

 待ち合わせ場所にはイリスが先に到着していた。

 開口一番、待っていたイリスが謝罪をする。

 

「ごめんなさい!」

 

 イリスは本当のことを話した。

 ユーリに復讐をしようとしていたこと、今では解放して助けたいと思っていること。

 本心から、心の底から、ちゃんと話した。

 

「騙してたってのは許せねーけどよ」

 

 イリスは下を向いていた。どんな罵倒だろうと受け入れる覚悟である。

 

「はやてを助けられるなら今は何だっていい」

 

 責めはしなかった。

 それよりも優先すべきことがあった。それに今まで苦楽を共に過ごしてきた仲である。

 もはや守護騎士にとってもイリスは仲間だった。

 

 ヴィータの意見に守護騎士は賛成だった。

 

「協力しろよ、イリス」

「うん」

 

 はやてを助ける手段についてもイリスは考えていた。

 その考えていたプランを全員に話始める。

 

「ナハトヴァール、それを完全消去する必要がある」

 

 闇の書の主が悲劇を迎える全ての元凶。

 ナハトヴァール。

 

 元々は闇の書の主を防衛するために作成されたプログラムである。

 だが歴代の主が欲望のまま改ざんしていき、周囲に存在するもの全てを破壊するものとなってしまっていた。

 

「私が闇の書からナハトを引きはがす。そのときに私の友達も解放する」

「それは今すぐに実行できないのか?」

 

 ザフィーラが疑問を口にする。普段なら寡黙に、静かに話を聞いているところである。

 しかしはやてのピンチとなれば流石に焦りを隠せないらしい。

 

「できなくはない。けど、できることなら手順を踏んだ方がいいと思う。無理に手を出して刺激すると何が起こるか……」

 

 以前、無理やり起動させようとして失敗したことを思い出す。

 

「闇の書を完成させて、まず覚醒させた方がいい。そのためには……」

 

 みんながなのはを見る。

 なのはは今まで話を黙って聞いていた。その流れからなんとなくやることは理解している。

 

「いいよ別に。できることなら協力する」

「ありがとう」

「感謝する」

 

 イリスに続いてシグナムがお礼を述べる。

 おそらく、なのはの魔力を蒐集すれば完成する。

 

「あと一つ問題があるの」

 

 イリスが指をピッと立てる。

 

「切り離したナハトを完全に消し去る方法」

 

 切り離した後、ナハトヴァールは周辺の物質を浸食して吸収していく。

 いずれは星を飲み込み、地球を滅ぼしかねない。いや、確実に地球は崩壊する。

 そうなる前に消し去る必要があった。

 

「生半可な攻撃じゃ消しきれない。私達で削っても、多分再生するスピードの方が速い」

「倒せねーんならよ。どっかの星に置いてきちまうとかは?」

 

 ヴィータが何気なく言う。

 

「悪くはない、気がする。けど、うーん」

 

 無人の星、しかも管理されていない星であれば問題ない気がする。

 だがその星は消滅する。それによって引き起こされる事象は想像できない。

 恒星を巻き込んでの大爆発、次元空間の歪みの発生、それらから派生する次元災害、何が起きるかわからなかった。

 

 それにバレたときは大犯罪者だ。今のところは最終手段だろう。

 とりあえずは一案として残しておく。

 

「時空管理局に協力してもらうしかないかしら」

 

 シャマルが言う。

 みんなその答えに行きついていた。

 もはや組織的な力が必要だ。個人でどうこうできるレベルを超えている。

 

 やることは決まった。助ける方法も考えてある。あと必要になるのは数と強大な殲滅力。

 これだけ材料があれば、管理局も話を聞いてくれるかもしれない。

 

 みんなが悩む。

 なのはは腹を鳴らす。

 

「ごはん、まだ食べてなかったわね」

 

 シャマルが帰ってごはんにしましょうと提案する。

 空気が弛緩する。

 一度戻り、改めて考えることにした。

 まだ時間はある。急いでも良い結論は出ない。

 それになのはの体力と魔力を回復させる必要があった。

 

 全員、八神家へと帰ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 なのははザフィーラに寄りかかりモフモフを堪能していた。

 痛めつけられた腹いせに守護騎士を自由に使っていた。

 

 なのはは一晩泊まることにした。

 家に帰れば管理局が駆けつける。そうすると一時保護されることになる。

 まだ管理局に助けてもらうことは決まってないので、それは避けたいところだった。

 

 現状、ここにいる限り居場所はバレない。

 また、友達の家に泊まることだけは親に連絡しておいた。ただどこかは言えないので一方的に伝えただけではある。

 

「あー、喉乾いたなー」

 

 そう言った感じになのはは協力しているため、守護騎士もわがままに付き合うしかなかった。

 ヴィータが飲み物を持ってくる。

 ズゾゾッと飲み干す。

 

「ケーキがあると魔力回復しそうだなー」

 

 シグナムがケーキを持ってくる。

 

「あーん」

 

 なのはが口を開けている。

 

「オイ」

「煮るなり焼くなり好きにしていいんじゃなかったっけ?」

「……恨みっこなしではないのか」

 

 なのはが、隼が当たった場所が痛いよーと戯言をこぼす。

 シグナムの鉄面皮に青筋が出来る。しかしこれは自分の責だと思い直し、なのはにケーキを食べさせた。

 しかし、それは毒物だった。

 

「ぎゃああ!」

 

 シャマルの特別製、リーサルウェポンである。

 なのはは舌が焼ける思いをした。

 

「大変! これ飲んで!」

 

 シャマルがジュースを渡す。なのはが勢いよく飲む。

 

「うぎゃあ!」

 

 シャマルの特別製、アルティメットウェポンである。

 なのはは喉が焼ける思いをした。

 

「仲良しさんだね」

 

 イリスが楽しそうに笑う。

 なのはの体は治っていた。魔力も回復し切っている。

 元々頑丈な体で回復力も高かった。

 加えて打ち込まれたナノマシンによって回復力に拍車が掛かっていた。

 

「さて、どうしようか」

 

 イリスが会話を始める。

 いつまでも遊んでいるわけにはいかない。

 

「やはり、協力を仰ぐ必要があるか」

 

 シグナムも一晩考えたが、他に方法を思いつかなかった。

 ただどうしても踏み切ることができなかった。

 

 管理局と言っても全面的に信用できるわけではない。

 当たり前の話ではあるが、良い人もいれば悪い人もいる。

 

 それにロストロギアに関わる案件となると意思決定も相当遅くなるだろう。

 もたもたしているうちに取り返しのつかない事態になりかねない。

 わざわざ人命に関わるような重たい事件に首を突っ込みたがる人間もいないだろう。

 

 イリスの未知の技術を解決策として使用許可してくれるかも不明である。

 

「リンディさんとクロノなら大丈夫だと思う」

 

 なのはが言う。今管理局と繋がりがあるのはなのはだけである。

 どれだけ良い人達なのかをなのはが語っていく。

 

 その人柄を聞いていくうちにその人達ならば大丈夫そうだと思い始める。

 もう話は決まったかと思われた。その時だった。

 

「そうはさせないよ」

 

 突然、見知らぬ男性が部屋に現れる。

 

「所長……!」

 

 イリスが驚愕する。

 フィル・マクスウェル、死んだはずの人間がそこにいた。

 

「ナハトヴァール。消させはしないよ」

 

 見慣れない形の銃を向けられる。それは近未来的なデザインをしていた。

 

『自動防衛運用システム起動』

 

 闇の書が動き出す。

 

「始まったみたいだね」

 

 マクスウェルが闇の書を見て微笑む。

 

『闇の書の完成を最優先』

 

 闇の書を取り囲むように蛇が現れる。

 紫色の蛇、ナハトヴァールが具現化した形である。

 

 突如、なのはがバインドに縛られてしまう。

 

「ぐっ!」

「このっ! 離しやがれ!」

 

 ヴィータがグラーフアイゼンで蛇を叩く。

 ビクともせず、逆に魔力砲によって反撃を食らってしまう。

 他の者に向けても蛇の口から魔力砲が発射される。避けた魔力砲が天井を、壁を突き破っていく。

 

『敵対勢力排除、蒐集対象よりコアの蒐集』

 

 この場にいる全員、バインドで身動きを封じられる。

 周りを見ると、マクスウェルとイリスはどこかへと消えてしまっていた。

 

「うぐっ……!」

 

 なのはのリンカーコアから魔力が蒐集されていく。

 

『蒐集完了』

 

 ベルカ式の魔法陣が展開される。

 使用されたのは転移魔法である。

 そして強制転移によって現れたのは八神はやてだった。

 

「え? なんや?」

 

 病室から自分の家に景色が変わり困惑する。

 

「なのは君! それにみんな!」

 

 周りを見て、異常事態であることを理解する。

 

『覚醒の時です。我が主』

「みんなを降ろして!」

 

 苦痛に表情を歪ませる。

 シャマルがはやてに逃げるように声を絞り出す。

 

「はやてちゃん、逃げて」

「シャマル! お願い、みんなを返して!」

『了解』

 

 闇の書が守護騎士の方に向く。

 

『守護騎士システムを完全抹消、コアモードで主に還元します』

「あかん、ちゃう! そんなんちゃう!」

 

 魔法で発生させたツタが伸びていく。

 

『抹消』

 

 ツタが、守護騎士を貫いた。

 

「やめてー!」

 

 守護騎士の姿が消える。

 はやての眼前に、絶望が広がる。

 

『管制ユニット、融合』

 

 はやての胸に融合騎が入れられる。

 

 はやての姿が、長身の女性へと変わる。

 闇の書の意思。

 腰まである銀髪。二対の黒い羽根。

 そして、紅眼からは涙が流れていた。

 

「また、全てが終わってしまう」

 

 闇の書の意思が呟く。

 そしてなのはは闇の書に取り込まれ、守護騎士はいなくなってしまった。

 

 この場に残るのは、闇の書の管制人格のみとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宇宙空間にて航行するアースラ。

 

「観測点に異常反応!」

 

 異常な魔力反応を感知し、映像を映し出す。

 そこには闇の書の管制人格が映し出されていた。

 さらに続けてなのはが闇の書に取り込まれている映像が流れていた。

 

「なのは!」

 

 フェイトが叫ぶ。

 居ても立ってもいられずアースラの転移装置に駆け込む。

 

「艦長、自分も出ます」

 

 クロノも転移装置に入る。装置を動かし、二人は現場上空へと転移した。

 フェイトはレイジングハートを握りしめる。

 

「お願い、力を貸して!」

『All right』

 

 レイジングハートを起動させる。

 以前とは少し違う形をしていた。

 レイジングハートは新たな力として、カートリッジシステムを備えていた。

 

「今、助けるから!」

 

 フェイトはレイジングハートを構え、闇の書と対峙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのはは家の中にいた。

 見慣れたいつもの風景。

 家族がテーブルに置いてある朝食を囲んでいた。

 

「なのは、食べないのか? ごはん冷めちゃうぞ」

 

 声が聞こえた方を見る。

 そこには、なのはの父親がいた。

 写真でしか見たことのない父親。

 その父親が自分に話しかけていた。

 

 何が起きているのかわからなかった。

 先ほどまではやての家にいたはずである。

 それがなぜか突然自分の家にいる。しかも亡くなった父もいる。

 

 夢だろうか。

 

「なのは?」

 

 恭也に声をかけられる。

 

「なんでもないよ」

 

 反射的に喋ったせいか、声が裏返ったような感じになった。

 

 みんな楽しそうに笑っている。

 特に兄の恭也がにこやかにしていた。

 笑わないわけではないが、なんだか雰囲気が柔らかい気がした。

 気持ちに余裕があるというか、年相応な感じが伝わってくる。

 

 何がなんだかわからず、流されるままとなる。

 ごはんを食べて、玄関へ向かう。

 ただ、どうにも体の動きが鈍かった。動きづらいというか、筋力が足りない感じだった。

 

 学校に向かうため、靴を履こうとした。

 そのとき、違和感を覚える。

 

「ん?」

 

 よく見ればスカートを履いていた。

 

「……え?」

 

 股がスースーする。

 

 急いで鏡の前に行く。

 ツインテールに細い体。顔は完全に女の子だった。

 

 おそるおそる、スカートの上から自分の股を確認する。

 

「え? え?」

 

 なかった。アレが。

 

「なんじゃこりゃああぁぁぁ!!」

「どうした!?」

 

 恭也が声をかけてくる。

 

「絶対に夢だ。そうだ、そうに違いない……」

 

 なのははしばらく硬直したままだった。

 

 放心状態のままバスに乗る。

 一番後ろの席には、アリサと紫色の髪をした女の子がいた。

 

「おはよう、なのは」

「おはよう、なのはちゃん」

「ちゃん?」

 

 なのはは今女の子になっていた。当然かと考える。

 アリサはわかるが、ちゃん付けで呼んできた子が誰だかわからない。

 

「なのはちゃん?」

「どうしたのよなのは。座らないの?」

「うん? ああ」

 

 なのはが二人の真ん中に座る。

 

「なんか変よ」

「何かあった?」

 

 どうしたものかと考える。

 

「いや、別に、なんでもない、わよ」

「わよ?」

「あんた熱でもあるんじゃないの?」

 

 この話し方ではないらしい。

 イマイチ掴むことができない。

 

「大丈夫だよ。アリサ」

「アリサ?」

 

 違ったみたいだ。

 

「アリサ、ちゃん?」

「……本当に大丈夫?」

 

 精神が削られていく。

 夢なら早く覚めてくれと願う。

 

 学校に到着し、授業を受ける。

 紫髪の子はどうやら月村すずかというらしい。

 出席を取るときと、友達から呼ばれているのを聞いて把握することができた。

 

 休み時間になり、トイレへと向かう。

 

「はぁ~」

 

 相当疲れていた。

 小便器の前に立ち、スカートを下ろそうとする。

 視線を感じ、横を見ると男子がなのはを見ていた。

 

「……あっ!」

 

 なのはは慌ててトイレから出て行った。

 

「焦ったー」

 

 教室に戻り席に着く。一度気持ちを落ち着かせるため深呼吸をした。

 だがそうしているうちに休み時間がなくなり、そのまま授業が始まってしまった。

 仕方ないので次の休み時間に持ち越すことにした。

 

 授業中。

 なのはがモジモジし始める。

 先ほど用を足せなかったので我慢の限界が来ていた。

 いつもならまだ我慢できるのにと思う。

 

「ふぇ」

 

 変な声が出た。

 もう我慢できない。

 

「先生」

 

 なのはは立ち上がる。

 

「保健室行ってきます」

 

 返事は聞かず、すぐに教室の外へと出て行った。

 

 どちらに入るか迷う。

 さっきみたいな目には合いたくない。

 それに今は誰もいないだろうと考え、女子トイレに入ることにした。

 用を済ませて学校外へと逃走する。

 このまま日常生活を送っていたらおかしくなりそうだった。

 

「だあぁ~」

 

 公園のベンチに座る。

 股を開いて、思いっきり息を吐く。

 

「疲れた」

 

 保健室に行かず、かつ教室にも戻らなかった。

 もしかしたら家に連絡が入っているかもしれない。

 また色々な人に心配をかけているかもしれないが、今は自分の精神を安定させる方が優先だった。

 

 何気なくポケットを探る。

 すると何か手に当たる感触があった。

 

「バルディッシュ」

 

 取り出すとバルディッシュが入っていた。

 

「おまえがいるってことは、これ夢ではない?」

『Yes』

 

 少し安心する。

 この状況において自分一人だけだったらどうにかなってしまいそうだった。

 

「どういう状況かわかったりする?」

『魔法による幻想世界と推察』

「幻ってこと?」

『はい』

 

 事務的な返事。

 良い意味で言えば余計なことは言わず、簡潔であると言った方がいいかもしれない。

 

『この世界は過去を読み取り構築されてる可能性が高いと思われます』

「過去って、俺の?」

『はい』

 

 色々とおかしい点が思い浮かぶ。

 父の存命。

 月村すずかという女の子。

 なにより自分が女の子になっているという点。

 

 あまり完璧な魔法ではないのかもしれない。

 

「とにかく」

 

 ベンチから立ち上がる。

 

「魔法で作られた世界ならとっとと出よう」

 

 やることが決まる。

 

「何か方法ある?」

『大きい魔力を撃ち込めば崩壊させられるかと』

「そっか、あんま得意じゃないんだけどな」

 

 あまりというレベルではない。

 全く持って苦手である。

 

「でっかい打ち上げ花火でもいいかな」

『派手に行きましょう』

 

 結構ノリのいいやつかもしれないとなのはは思った。

 バルディッシュを天に向けて、魔法の準備をする。

 

 巨大な魔力の球体が作られていく。

 魔力の塊が限界まで膨れ上がっていた。

 

「父さん」

 

 初めて会った。

 初めて声を聞いた。

 もう少し、話をしてみたかった。

 

 優しそうな人だった。

 父と過ごす日々。

 きっと楽しい日々が続いていくのだろう。

 

 もうちょっとだけ、ここにいてもいいだろうか。

 

 そう思ったとき、フェイトの顔が浮かんだ。

 フェイトは過酷な人生を、つらい現実を真っ向から受け止めて真っすぐに歩いている。

 

「笑われちゃうかな」

 

 バルディッシュを握る手に力を込める。

 砲撃魔法を発動させ、巨大な魔力の塊を爆発させた。

 

 

 

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