天井裏から見る世界   作:鞍馬エル

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 待たせたな!

そろそろみーくん達ももっと曇らせないと不公平だと思うのでしっかりと曇らせていくぞ、いくぞ!

という訳で宜しければどうぞ


 うつろうせかいのなかで

 ピンポーン

 

 

え?

 

何、いったい

 

私と圭は部屋で今後の事を話し合っていると、何故かチャイムが鳴った

 

 

出ない方が良いよね?

 

圭の言葉に私は無言で頷いた

何せこんな状況下でインターホンを鳴らす人物だ

 

大凡マトモとは思えないだろう

残酷な様だけど、それが最善

 

でも

 

 

ピンポーン

ピンポーン

ピンポーン

 

 

相手はどうやら諦めるつもりはないみたいだ

 

…どうしよう、美紀

 

圭は不安そうな顔をしている

…どう考えても碌な相手ではないと思う

何せ『人が居ると確信』してこの様な事をする人物だ

助けを求めるとしても、余りにもやり方が酷い

 

音を出すという事はゾンビ達を引き寄せる事になる

今はまだインターホンだけで済んでいるけど、間違いなくこういった人物なら

 

 

 

ドンドン!ドンドン!

 

 

ほらやっぱり

私達は2階にいるし、窓には雨戸。ドアに付いている窓にもおじさんがショッピングモールから持ってきた板を何重にも貼り付けている

おじさんは

 

 

非常時なんて都合の良い言い訳を盾にしたら、人はどこまでも自分本位になれるだろうよ

石や煉瓦で窓ガラスを叩き割る位考えたとしてもおかしくはない

どれだけ外の奴が騒いだとしても、中に入れちゃなんねぇ

 

入れる時は『自分達が死んでも良い』と思う時だけにしときな

 

 

と言っていた

 

 

私は圭を見つめて、無言で首を横に振る

 

圭もそれを見て頷いた

 

 

ごめんなさい。誰とも知れない人

でも私達は死ぬわけにはいかないから

 

 

----

 

どうして!?どうして誰も出てきてくれないの!?

私は必死にインターホンを押したり、ドアを叩く事で人が居る事をアピールしてるのに!?

 

誰もいないわけがない

この家は明らかに外部からの侵入を拒んでいるのだ

 

つまり、この騒ぎが起きてから此処にいる人は対策をしたと言う事に他ならない

余裕を持ってこれだけの準備が出来たんだから、私1人くらい匿えるはずなのに!

 

 

早くしないとアイツらが来てしまう!

 

だから早く開けて欲しいのに!

 

 

 

 

古代ギリシアに『カルネアデスの板』という話がある

 

 

ある船が難破し、乗客達は海に放り出された

海を漂うある男は自分の近くに流れてきた板につかまり、助けを待つばかりとなった

 

ところが、そこに別の人物が泳いで近づいてきた

その人物の目的は間違いなく男が今命を預けている板だ

 

だがこの板にもう1人の重量がかかれば間違いなくこの板は沈み、男もまた沈む事だろう

それを理解していた男は近づいてきた人物を突き飛ばし、その人物はそのまま水底(みなそこ)へと消えていった

救助された男は殺人の罪に問われるか?

 

という話であり、現代においてもしばしば『緊急避難』の例として挙げられる事もある

 

 

こんな荒廃した世界に法も秩序もない様な気もするが、要するに

 

 

人は自身を正当化できる理由を持てば、どこまでも非情に冷酷になれるという事の証明ではないだろうか?

 

夏季においては良く溺れた子供などを助けようとした者が助けきれずにそのまま亡くなるという悼ましい事も起きる

 

助けるという事は『助けようとした命に責任を持つ』という事にもなってしまうのではないだろうか

悲しい事だが

 

 

そして彼女は自身の安全の為に、逃げる他人を既に見捨てている

 

 

であるのに

自分はどうにかして助かりたいと思って行動しているのだ

無論生物として、人間としてそれは正しいのかも知れない

 

 

しかし、だ

 

全ての生命にとって生と死は平等に訪れるものである

勿論様々な要因により、長い短いはあるだろうが

 

 

因みに、である

 

若狭悠里の妹、産まれた場合は若狭瑠璃と名付けられるはずだった命は残念な事にこの世界に産まれ落ちる前にその命を落としている

 

 

 

 

何が言いたいかと言うと

 

 

あ、あ

 

彼女が一度逃れた筈の死神の鎌は再び彼女を捉えてしまったという事だ

 

 

 

 

 

 

 

----

 

あたしは今、目の前の光景が信じられないとりーさんには失礼だと思うけど感じている

 

もう、相変わらずお寝坊さんなのねハルは

ふふっ

 

いやそいつ無茶苦茶血塗れなのに、よくりーさんは膝枕なんて出来るよな?

しかし、あたしやゆきと話しする時よりも楽しそうにしてるしさぁ

 

あら?くるみ貴女嫉妬しているのかしら?

 

ばっ、そんな訳

そんな訳…あるけどさ

あたしの不満を感じ取ったのか、りーさんはあたしを見て柔らかい笑みを浮かべながら聞いてくる

情けないけど、それをあたしは否定できなかった

 

 

いやほら、あれだよ!

りーさんってホント良い匂いするんだ。いやあたしも同じ女子のはずなんだけどぜんぜん違うんだよ!しかも耳元で囁いてくれるし、背中をリズム良く叩いてくれるしさぁ!それにほら、あたしに比べて…凄く良いものを持っているから

 

…はぁ、何であたしは2年あったのに全く成長してないんだ?

流石に落ち込む

 

 

大丈夫よ、くるみ

ハルが起きたら貴女ももっと甘えられる様になるから、ね?

 

あ、甘えるって

いやまぁ、そりゃ嬉しいけど

(ヤバい。りーさんの圧倒的な魅力にあたし抵抗出来るか?)

あたしは自問自答する

 

 

 

ん?

 

あら、起きた?おはようハル

 

…ああ、悠里か。夢、ではなさそうだけど、そこんとこどうよ?

 

ふふっ。そう思うなら、夢じゃない事を証明するわね

 

(ちょっ!りーさん何しようとしてんの?!)

りーさんは笑みを深くすると膝枕している男子に覆いかぶさろうとしている

(いやいや、ちょっと待てって!りーさんって彼氏いたのかよ!?)

 

 

いません

りーさんの目に映る異性は許嫁(りーさん視点)です

なので、りーさんは第三者の目がないと分かると校内でもいちゃつき始めます

くるみがいる?

 

くるみはりーさん的に娘ポジなので、身内判定です(無慈悲)

 

 

くるみが思わず顔を背けると

 

 

チュッ

 

 

小さな音のはずなのに、やけにくるみの耳にその音は響いた

 

 

 

 

 

どうかしら?夢でない事証明出来た?

 

…ああ。間違いなく悠里だな

態々膝枕してくれてたのか、わるい

 

りーさんと名前を知らない男子はキ、キスしたはずなのに全く動揺しないで話をしている

 

なおくるみがいたのでりーさんはかなり自制していたりする

仮にくるみがいない場合、キスだけで10分くらいは楽しむのがりーさんスタイル

…知らないって幸せだよね?

 

 

 

ところで、そこな凛々しそうな人はどちらさん?

俺は新田治孝。一応悠里の幼馴染

 

で、私の大切な人、よ

 

…悠里。人のセリフに被せるのはどうかと思うけど

 

あら?構わないでしょ。事実は正確に伝えた方が何かと不便が無いと思うけど

 

新田という奴が自己紹介してくれたけど、本当にりーさんの相手なのかよ

それでもあたしは油断しない様に気を引き締めた

 

 

 

 

 

 

 

そっかぁ、くるみは偉いなぁ

 

…うん

駄目だった。てか何だよ、りーさんよりも下手したらヤバいだろ

…でもダメだ

 

先輩を休ませてあげて、必死でみんなを守ろうとくるみは頑張ったんだよな?凄いと思う

あと、悠里を守ってくれてありがとう

(あ、これダメな奴だ)

あたしはこの人に勝てない事を早々に悟った

 

今あたしはこの人に抱きしめられて、片手で頭を撫でられながらもう片方の手で背中をさすられている

あたし?あたしはこの人の胴に両手を回して抱きついている

 

 

普通に喋っている時とこうやって話をしている時の声のトーンが全然違うし、本当にあたしの事を褒めてくれているって分かってしまうから振り解けないし、抗えない

 

 

くるみは優しいから、辛くても泣きたくても、それでも皆んなを守ろうと必死だったんだよね?

大丈夫。頼りないけど俺も悠里もいるから

…うん。でもわたしも頑張るから

いつも意識している一人称があたしじゃなくてわたしという時点で、勝てない事がはっきりした

 

でも、なんだろう

 

 

すごくほっとする

 

 

 

おとうさんとおかあさんみたいなふたりにかこまれて、わたしはすこしだけねむった

 

めがさめたら、おとうさんとおかあさんのためにまたがんばろうとおもう

 

だいじょうぶ

こんどはおとうさんとおかあさんもいっしょにいてくれるから

 

 

おやすみなさい、おとーさんおかーさん

 

 

----

 

 

随分と無茶するなぁ

 

あら?ハルだって相当無理したでしょう?

 

安心しきった顔をして眠りについたくるみを布団に寝かせると悠里と話をする事にした

 

 

溶かしたのか?

 

ええ。多分そうしないとくるみは壊れたと思うから

 

俺は悠里の言葉に顔を顰める

聞いた話だと教師もいるんだろう?少しは役に立つんじゃないか?

 

佐倉先生だけど?

 

すまん。無理だな、それは

悠里の言葉に俺は即座に謝罪する

佐倉慈(さくらめぐみ)先生

生徒からの人気()高い教師だ。とはいえ、頼るべき大人(教師)として考えると少なくとも俺は期待していない

恐らく教員間での評判も余りよろしくないだろう

 

生徒に近いのは悪くない

でも『生徒は生徒であり、教師は教師』なのだ

友達感覚の教師など頼りなさすぎる。事実佐倉先生は『めぐねえ』と生徒から呼ばれている。これをどうやら本人は『親しまれている』と解釈している様だが、俺や悠里からすれば『甘く見られている(舐められている)』としか見えない

実際佐倉先生が担当するクラスや部活の統制が取れているのは学級委員長や部長等の奮闘に依るところが大きいと悠里から聞いている

 

 

よりにもよって、佐倉教諭とはこれまた

 

お陰でくるみの負担は天井知らずよ

悠里は不機嫌そうに話す

 

というか、少し優しくしただけであそこまでなるとかメンタルケアは

 

一応私も見ていたけど、流石にね

 

まぁ、同い年だもんなぁ

とは言えそんな悠長な事をしてたら、あの子近いうちに死ぬな

 

ええ、ほぼ間違いなくね

 

やれやれ。悠里さえ居れば俺としては何も問題ないんだが、流石に

 

くるみを放っておかない。そうよね?

俺の内心をわかっている悠里は楽しそうに聞いてくる

 

そりゃ、なぁ?

俺は自分の服を握ったまま眠っているくるみを見てため息をつく

 

ふふっ、頑張らないとね?

おとうさん?

 

やれやれ。結婚も何もしてないのに苦労するなぁ、おかあさん?

 

くるみは眠る前に俺達を『おとうさん』『おかあさん』と言っていた。その時くるみは涙を少し流していたところを見ると、どうも彼女の家庭環境は俺程でないにせよ複雑だったのではないか?位は予想できる

 

 

壊れた世界に偽りの家族、か

 

別に構わないと思うわよ?例え血縁関係がなかろうと、他者から見て歪だろうと私は貴方の妻になって、くるみの母になれるなら本望よ

本心からそう言える悠里を見て俺は

 

ホント悠里は強いなぁ

と呟いた

 

あら?その強さは貴方に相応しくなろうとしたから手に入れたものよ

 

ま、精々可愛い嫁さんと娘の為に頑張りますか!

 

そうね、これも『幸せ家族計画』なのかしら?

 

やめい

俺と悠里は笑い合ってすやすやと眠るくるみ()を見た

 

 

よく分からんうちに妻と娘ができた訳だが、さてどうしたもんか

 

 

 

俺はこれからの事を考えながら、それでも緩む口元を直せなかった




という訳でみーくん達の曇らせが出来ませんでした!(五体投地)

その分別ベクトルのヤバさを追加出来たと思うので許して欲しい


あと、下の方に悠里とくるみ、治孝の一部データを載せておきます
興味がある方はスクロールして下さいな

そろそろお気に入り登録50件とかマ?
書き始めて1週間経ってないのに(白目)



















若狭悠里
正気度(最大100)
26(最大値)永続的発狂
治孝との再会で最大値まで回復

恵飛須沢胡桃
正気度
20(最大値58)異常なまでの執着

新田治孝
正気度
14(最大値)永続的発狂
りーさんとの再会により最大値まで回復

湿度マシマシのIFルートりーさん見たい?

  • 見たい
  • 怖いから勘弁
  • ジェジェノサイドでなければ
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