天井裏から見る世界   作:鞍馬エル

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 まさかこうなるとは思わなかった

これが世界の意思(サイコロの目)なのか
今回は展開に迷ったので、素直にサイコロを振りました

選択肢は6つ

圭と美紀は途中で仲良くゾンビに食べられて彼らになる
二人を密かに尾行していた屋上の男に乱暴され、殺される
辿り着いた学校付近にいたゾンビに食べられる
トラップにより、圭が重傷を負い衰弱死。のちに美紀は発狂し死亡
侵入してきた所を彼に狙われて殺される
彼に受け入れられて合流する

でした

うーん、我ながら選択肢が酷いな

という訳で割とブレましたがどうぞ


 らくえんにいたるみち

 巡ヶ丘高校は治孝の決死の行動により、1階の出入り口は全て封鎖されている

 

つまりこの高校自体が巨大な要塞と化しているとも言えなくもない

 

 

しかし、こうとも考えられる

巡ヶ丘高校は外部から遮断された陸の孤島であると

 

 

----

 

私は耳を疑ったわ

 

今、なんて言ったの?

 

流石にそれは悪い冗談であると思いたい

 

 

事実だ

我等が校長殿の後をつけてみれば、食料か医療物質などの山だった

…ご丁寧に保冷倉庫まで稼働してやがった

ハルは吐き捨てる様に言い捨てる

 

…学校側はこれを予想していた

そういう事、なのね?

だとすれば何と救いのない話なのか。私達が必死に生き延びているのも、学校の者達が死肉をもさぼる様な亡者(もうじゃ)になった事も、全て仕組まれていた事の可能性が出てきたという事

 

んで、手が空いた時に職員室をひっくり返してみりゃあ『緊急マニュアル』という中々に碌でもないものが出てきた訳よ

中々面白い内容だったぜ。『日常の自由は非日常の贅沢であり、常識は障害となる。非常時において多くの人命を救う為には少数の犠牲はやむを得ず、寛容といたわりの精神は美徳とならないことを心せよ』だったかね

ランダルが作成に関わっていたみたいだが、碌な企業じゃねぇわな

 

ランダルコーポレーションは此処巡ヶ丘における大地主とでもいえる企業。悠里やあまり外に興味を持たない治孝ですら知っている程の影響力を持つ

 

…ランダルコーポレーションと言えば、確か聖イシドロスもスポンサーだったわね

 

悠里は基本彼との結婚を優先する為に進学など考慮もしていなかったが、学校側としては成績優秀者である彼女をそれなりのところに進学させたいと考えていた。その一つの候補として聖イシドロスを挙げられており、資料を半ば押しつけられる様に渡されている

表紙にすらランダルの名前があった事から悠里は覚えていたのだ

 

付け加えるなら、大型ショッピングモールもそうだわな

つまり非常時の拠点として此処みたく機能してる可能性もあるかも知れん

ま、此処が本当に機能してるとは言い難いが

 

 

本当に救いのない話だろう

というより、教師がアレを残して全滅したという事は

 

 

…この事を周知している訳ではないのかしら?

 

だな。仮に知っていたとしたら明らかに手際が悪すぎる

こう言っちゃなんだが佐倉教諭なんて明らかに不適格だろう。それが残ったという事は教員側からしても予想外だったんじゃねぇかな?

 

私の疑問に彼も同意する

 

そう言えば神山先生が連絡してきたって言ってたわ

屋上にこもれ、みたいな

 

 

…黒、かもしれんなぁ

彼は憂鬱そうに呟く

 

つまりあの女は情報を知らないまま振り回されていた。そういう事になる

どう考えても、冷酷な判断が出来る人間ではないだろう

寧ろその現実に絶望して現実逃避するタイプだ。…事実そうなっている様なものだけど

 

 

悪いとは思うが、佐倉教諭については行動を制限しよう

動くデバフなぞいるだけで邪魔だ

 

そうね

 

何なら、マニュアルを無理矢理読ませる

それで完全にメンタルを砕く。そのあと精々鎖に繋いで生きてもらうとしようか。酷いかもしれんが、事態解決に全く貢献していない大人なぞいた所で無駄飯ぐらいにしかならん

しかも下手に生徒から信頼されているとなると、その丈槍とやらがどう動くか予想もつかなくなる可能性もある。完全に自分の意思を喪失させる事で安全を確保する

 

彼は非情とも言える決断を迷いなくした

 

 

マニュアルにも書いてあるんだ。少数を犠牲にする事を躊躇ってはならないと

なら、生徒に優しい佐倉教諭は喜んで生徒の為になるなら犠牲になってくれるだろうよ?

 

…ええ、そうね

恐らく助かったとしても、彼の精神は壊れたまま

死ぬまで彼は苦しむ事になると思うわ

でも、心配しないで?私は

いえ、私とくるみは何があっても貴方についていくから

それがたとえ地獄であっても

 

家族だもの、いつまでも貴方と一緒にいるわ

 

 

----

 

 

 

圭、大丈夫?

 

う、うん。何とか

 

 

私と美紀はおじさんの家を離れてから、アイツらを何とか回避しながら向かっていた

 

巡ヶ丘高校に

 

 

既に日は落ちつつある

視界は悪いけど、幸いにもおじさんがたくさん買っていてくれたライトがあるし、防犯ブザーもある

 

…多分だけど、そういう人(・・・・・)用のものなんだと思う

予告なく、大きな音がしたら誰だって怯むだろうから

 

しかし、モバイルバッテリー用の単三電池でない単四電池や単一電池などが使えるタイプだ

消費が偏れば、その分尽きるのも早い

 

そう思ったの事、なんだと思う

 

 

おじさんは一人で調達に行ったのに、それでも真剣に私達の事を考えて用意してくれた事に改めて感謝の念を抱く

 

 

音に彼らが反応するのはおじさんがショッピングモールから車を出す時の事で理解している

 

エンジンをかけるまでは殆ど反応しなかったのに、かけた瞬間明らかに車を意識した動きをしたのだから

 

 

美紀、あとどのくらいある?

 

もう数えるほどしかない、かな

私はライトを鞄に入れて持ち、美紀は防犯ブザーを持っている

私よりも美紀の方が冷静に判断できると思ったからこうした

 

 

もう少しで学校だから、頑張ろう美紀

 

 

私はそう自分にも言い聞かせながら、学校を目指した

 

 

 

----

 

 

高校に着いたけど、そこで私たちが見たのは異様な光景だった

 

 

昇降口は閉じられ、割られたガラスの向こうにはロッカーが見える

明らかに外部の侵入を拒んでいる

 

周りを回ってみようよ、美紀

 

私は圭の言葉に頷くと校舎を一周する事にした

 

 

 

どこも開いてなかったね

 

そうだね

扉だけではない。窓という窓に裏側から板が打ち付けられていた

異様とか言えない

 

 

別にこれをした人を責めるつもりはない

私達だった誰かを見殺しにして生きているのだから

 

でも私達にできる事は多分これしかない

 

 

…でも2階に上がる非常階段は何も無かったよね?

 

そう、それが何よりも引っかかる

圭の言う通り、2階から上階に行ける非常用の鉄骨階段にはバリケードがされていない

 

…ここまで念入りに対策している人達が放置する訳もないだろうけど、それでも行くべきだろう

 

行こう、圭

 

うん

 

 

私達は非常階段に向かった

 

 

 

 

うわっ!

 

っ!圭っ!大丈夫!?

 

 

いきなり圭が転びそうになったのを見た私は慌てて圭にかけよる

 

 

う、うん

階段に躓いたのかな?ごめんね、美紀

 

圭はそう謝ってくるが

 

少し休もう。私も圭も疲労困憊だろうから

私はそう言って少しだけ小休止する事にした

 

 

 

 

----

 

カランカラン!

 

…予期せぬお客さんが来たいみたいだな

俺は非常階段に何者かが立ち入った事を理解すると、バールと木刀を持ち2階の入り口に向かう

 

私も行くわ

悠里も立ち上がる

 

いや、くるみのそばに居てやれよ

彼女の精神状態が不安定である以上、何がきっかけで暴走するか分からない

目を離すのは危険だろうと俺は思ったのだから

 

…分かったわ

でも気をつけてね?

 

任せろ

 

 

俺はそう言うと用務員室を出て、非常階段の2階の入り口に向かう

 

非常階段の入り口には黒い糸を何本か張っている

それが切れたり、動かされると各所にある鳴子が起動するように仕掛けを施した

 

仮に奴等なら緩慢な動きしか出来ない以上、俺が到着するまでに2階へ辿り着く事はない

 

生存者だとしても、奴らが大量に徘徊している昼に非常階段に辿り着く事は考えにくい

仮に辿り着けるだけの火力があれば、窓なりを破壊した方が早い筈

非常階段は夕日によって陰にあるところにある

 

夜は勿論、夕方にも暗くなる非常階段の黒い糸を見抜くには相当注意しなければならないだろう

が、侵入者側にとっては非常階段は蜘蛛の糸

どれだけ可能性か低かろうと、『助かる可能性』があるならば前のめりになる事を止められるとは思えない

ほぼ確実に足を取られる

 

それにより、疲労を自覚して足を止めるも、負傷するも良し

 

 

重要なのは俺が2階に着くまでの時間を稼ぐ事、なのだ

更に2階の非常階段から入ると天井からぶら下げているブルーシートによる歓迎を受ける事になろう

何度かテストをして、外部の人間が入ってきた時に相手を巻き込める様に調整している

 

視界を塞ぎ、冷静さを失わせる

 

 

それでこちらのペースに持ち込めば良い

抵抗するのであれば、頭を砕くなり足を砕いて戦意を折るだけだ

 

 

元より、一階に施してあるバリケード群を見た上で非常階段を使ったのだ

此方が歓迎していない事くらい理解できるだろう

 

容赦する必要性など、ない

 

 

 

----

 

 

ごめん美紀行こう

 

うん。気をつけて行こう

 

私と圭は少し休憩してから恐る恐る二階へと上がる事にした

 

 

 

そしてドアノブをゆっくり回す

 

 

開いた?

 

圭の言葉に私は無言で頷くと私はゆっくりドアを開ける

 

 

そして、目の前一面に広がる青

 

 

っっ!

 

完全に不意をつかれた私は足を止めた

 

 

そこを

 

ぶんっ!

 

バールが通り過ぎていった

 

 

 

ふむ、意外と冷静だな

当てが外れたか

 

私は圭を背中に庇ってその人と対峙する

 

 

さて、見知らぬ顔だな

ま、この学校の連中なんざほとんど知らんが

ようこそ、地獄へ

 

その人はそう言って邪悪に笑った

 

 

 

私が抱いた感情は恐怖

おじさんからも、あのグループの人達からも感じた事のない純粋な殺意の様なもの。それを感じた私は既に立っているのがやっと

 

あ、あのっ!

新田先輩ですよね!

わ、私です。し、祠堂圭(しどうけい)です!先輩無事だったんですね!

 

そんな私を押し退けて圭はその人に近づいていく

 

 

…人違いだと思うが?

その人も困惑した様な顔をしているみたいだ

 

先月車に轢かれそうになったところを助けてもらった

 

…ああ。確かにんな間抜けな子がいた様な気もするな

言っちゃなんだが、よく生き延びてこれたな

 

ひどいですよ、私じゃなきゃ泣いてますよ?新田先輩

そう言いながら圭はどこか嬉しそうだ

 

…それと今の俺は若狭治孝(わかさはるたか)

覚える気があるなら覚えてくれ

あと

そう言って私の方を見た

 

っ!私は直樹美紀(なおきみき)です

圭を助けてくれてありがとうございます!

 

 

若狭先輩は暫く私と圭を見つめてから、バールと木刀を降ろすと

 

着いてきたいなら着いてくればいい

鍵は閉めて、な

 

 

そう言って1階に降りて行こうとしている

 

私と圭は顔を見合わせて、鍵を閉めると若狭先輩に着いていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後にして思えば、あれが私達に許された最後の選択だったんだと思う

 

 

でも私は後悔していない

圭も私も生きているのだから




めぐねえの株の下落が止まらないっ!
これはもう愛玩動物ルートしかないかも知れぬぅ

ゆきちゃんはそれなりの扱いを受けます(なお本人のメンタル)
くるみは娘として大切にされます

みーくんとけいちゃんは、次回かな?


とりあえず次回で一区切りとさせて貰いたいと思います
多数の評価やお気に入り登録
加えて感想など本当にありがとうございます

完結後はのんびりと後日談やイフルートを書いて行こうと思いますが、今暫く皆様のお時間を貰えたなら幸いです
では次回
しぬまでいっしょ
でお会いしたく思います

湿度マシマシのIFルートりーさん見たい?

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