天井裏から見る世界   作:鞍馬エル

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書けちゃいました

なので躊躇う事なく投下する蛮行


本ルートにおける女性陣は割と重いです


 歪んだもの

「あら?貴女は」

 

「若狭先輩ですね?この様な体勢で失礼します

私は直樹美紀です。治孝さんに色々(・・)お世話になってまして、今回も治孝さんにご無理を言ってしまいました」

 

「…そうなの

私は若狭悠里。ハルくんの部活動仲間かしらね」

悠里は少し早く起きると新しく加わったメンバーと話をする為に建屋で着替えなどを済ませると屋上へと出てきた

 

そこで見た光景に彼女は少し動揺し、そして嫉妬の感情を抱く

 

 

「ところで直樹さん」

 

「はい、なんでしょう若狭先輩」

 

「なぜ貴女がハルくんを膝枕しているのかしら?」

そう、あの警戒心の人一倍以上に強いはずの治孝を自身の膝に乗せているのだ

あまつさえ、その治孝は穏やかな顔をして眠っている

 

これには悠里も平常心を保つ事すら苦労する

 

 

「…ああ、若狭先輩もそう(・・)なんですね?

別に私は治孝さんを独占しようとは思っていないので、そこは間違えないでほしいですが」

 

「…どういう事かしら?」

悠里は怪訝そうな顔をする

 

「私は治孝さんが必要以上に傷付いて欲しくないんです

…本当なら傷ついてほしくもありませんけど、治孝さんは優しいですから」

 

「そうね」

それは悠里もこの場に居ない貴依も同意するところだろう

 

 

新田治孝という人物はとかく自分の親しい人間には優しい

…いや、それは最早優しいなどというレベルではなく、甘いとすら言えるだろう

 

 

誰が自身の恋が叶わぬと知りながら、部活動の登下校に合わせようか?

あまつさえ、毎日の弁当まで作るなど

 

暇だからと、態々部活動の時間を見計らって悠里の元を訪れようか?

 

妹の友人、いや当時は知人レベルの付き合いしかなかった美紀の相談や愚痴に付き合うというのだろう?

 

人手がいるからと言って、身を守る術すら持たなかった貴依を守ろうとするだろうか?

 

 

間違いなく治孝は狂人である事を悠里も美紀も知っている

だが

 

「それがどうかしたのかしら?」

 

「そうですか

…それが何か?」

と全く相手にしないだろう

 

 

悠里は一緒に堕ち(いつまでも隣にいる)、美紀は少しだけ後ろから着いていく(治孝の休める場所として共にいる)

 

 

それで2人は満たされるのだ

 

 

…どこぞの女の様にしたり顔で彼の望まない変化を実現しようとは思わないのだ

言葉足らずで傷つける気もないし、彼が女性に対して不信感を持っているならば、その傷を癒す手伝いをする(ただ待ち続けよう)

 

若狭悠里(直樹美紀)はそれで良いのだから

 

 

----

 

長い

そう長い夢を見ていた

 

この世に生を受けて僅か後にくるみはハルと出会った

物心ついた頃にはハルの前を自分が歩いていた

 

だが、両親が言うには幼稚園や小学校低学年の頃には私がが後ろからハルの服を掴んでいたらしい

 

 

いたからだろうか?

私がアイツを真正面から見なくなったのは?

アイツが私の話を少し寂しそうに聞く様になったのは?

 

私は活発な女の子だった

いつも他人に好かれるタイプだったのだろうか?

何故か周りには人がいた

 

 

だが、私はその中に治孝の姿がない事に不満と不安を覚え始める

アイツは運動よりも勉学を好み

私は勉学よりも運動を好んだ

 

 

それでも私はアイツと共にいつまでもいられるものだと信じていた

 

 

両親もそれを歓迎してくれたし、ハルの両親だってそうだった

…まぁ、ハルの妹だけはどうしても認めてくれなかったが

それでもくるみは認めてもらうべく必死で努力した

 

 

親や学校からは進学は難しいだろうと言われた巡ヶ丘高校への入学も無事果たし、アイツと別れる事なくこの先も生きていられる

そう思っていた

 

だが人生とは思うようにはいかないらしい

 

 

 

私に告白した男子がいた

勿論、ハルではない男子だ

 

だから断った

 

アタシからすれば当たり前の事

 

 

----

 

しかし、周りの者達にとってそれはおかしな事だったらしい

当時アタシはハルに想いを寄せていたが、ハルの運動嫌いを直そうとして

 

…いや、これは言い訳だよな

 

ハルは運動が嫌いなのは運動に苦手意識があるからだと思う

アタシもそうだから分かる

 

なのにアタシはハルにそれを求めてしまった

しかも考えうる限り最悪な方法で

 

 

そして周りの人間にそこまで関心を持っていなかったアタシ

ハルは『ある程度の付き合いは必要』と口喧しく言ってきた意味を

アタシはようやく知る事となる

 

 

 

----

 

どうやらアタシが振った相手は学内でも有数の女子から人気のある生徒だったらしい

その誘いを袖にしたアタシ

 

周囲の特に女子はアタシに対して主に2種類の反応をした

 

 

アタシの事を知っている者はアタシに好きな人がいるのでは?と勘繰り

 

アタシの事をあまり知らない者達は『あの人の誘いを断るなんて、生意気』みたいな感じだったらしい

…伝聞形なのはアタシが直接聞いた訳ではないからだ

 

 

アタシがハルを傷付けてしまい、どうにかしなければと無駄に足掻いていた時ハルの妹がアタシのところへ来て

 

「…兄を傷付けたというのに、随分と呑気ですね

まぁそんなのだから自分の周りで何が言われているのかすら分からないのでしょうが」

そう呆れた様な口調で言うと、これらの事を教えてくれた

 

 

あの頃はハルの誤解をとくことが出来なかった事で落ち込んでいた。そこを先輩に励まされていたというある意味アタシにとって最悪の負のスパイラルに陥っていた

周りはそれを後押ししていたし、先輩も満更ではなさそうだった

 

それをアタシは拒めなかった

 

 

周囲に無頓着ならそんなものを無視すれば良い

周りと多少なりとも協調していたならば、あんな事になっていない

 

 

アタシはどっちつかずの態度を取ってしまった

だから、ハル(1番大切な異性)を失ってしまったんだと今更ながらに思う

 

 

「くるみ、あんなのと付き合うのはやめなって」

 

「アンタには先輩がいるじゃないの。あんなの放っておきなさいよ」

 

「恵飛須沢にはもっと良い相手がいるだろ?先輩とかさ」

 

「兄さんの気持ちを裏切っておいて、今更」

 

「貴女が想いを寄せている相手を傷付けているのに、何故それが分からないのかしら?」

やめろ

 

「あんなのが」

 

「あんなのに」

 

お前達にハルの何が分かるんだ!

 

「その治孝さんを傷付けておいて、何を今更」

 

「もう金輪際兄さんに近付かないで

…アンタを信じようとした私がバカだった」

 

違うんだ!

アタシは

…アタシはっ!!

 

「そっか

…頑張れよ、くるみ」

ハル!

行かないで!!

 

 

わたしを1人にしないでよぉっ!!

 

----

 

「…くそっ」

最悪の夢で目を覚ましたアタシな不機嫌そうに吐き捨てる

 

…というか、アタシ何をしていたんだったか?

あー、よく分からないけどとりあえず起きるか

 

 

此処は屋上の建屋の中、か?

 

それらしいものもあるし、多分そうだろう

 

 

 

…まぁ、あの女(若狭悠里)のテリトリーだから基本的に立ち入りたくない場所だけどな

 

…ん?確かこの帽子の奴は

なんとか由紀だったっけ?

んで隣には、って柚村がなんで此処に!?

 

よく分からないや

で、めぐねえも何故か寝てるし

 

 

 

…おいおい教師

それでいいのかよ

アタシは内心呆れてしまう

 

 

…待て、少しずつ思い出してきた

 

何でハルとあの女がいないんだ!?

 

 

 

アタシはそれに思い至ると背筋が凍る様な寒気を感じた

あの女はハルに好意を寄せている。それは間違いない

心底腹が立つが、スタイルと家庭的な能力ではアタシに勝ちの目はないだろう

 

あのスタイルは凶器だ

如何に朴念仁なハルであっても、あの戦闘力の前ではハルの理性という要塞であっても突破される恐れがある

 

あの女なら、ハルを破廉恥にも誘惑する事すら躊躇わないだろうしな!

 

 

アタシはそう思うと建屋の外に出た

 

 

…それがアタシを更に打ちのめす事になるなんて、露ほどにも思わずに

 

 

----

 

「なっ!!」

アタシはいきなり飛び込んできた光景にショックを隠せなかった

 

なんで

何でお前が此処にいるんだっ!

 

「直樹美紀っ!」

 

「…はぁ、いたんですか

今まで散々治孝さんに迷惑をかけておいて、労いの一つすら無かったとか若狭先輩も含めて何を考えているんですか?」

アタシの言葉に心底不愉快そうな顔をして顔を向ける

 

「何でいるんだって聞いているんだ!」

 

「…貴女達の仲が悪いなんてこの際どうでも良いのよ

恵飛須沢胡桃さん。貴女は寝ているハルくんの事が見えないのかしら?」

 

「っっっっっ!!」

あの女が横から口を挟んでくる

 

「…ならアタシがハルの膝枕をするから」

 

「変わる必要、あります?

ほら見てください。治孝さん、凄く疲れ果てて眠っているんですよ?あれだけ貴女が騒いだのに起きる気配もない」

 

「…あと、貴女に詰問される謂れはありませんよ

私と圭はキチンと治孝さんや若狭先輩、此処にはいないですが柚村先輩に佐倉先生の許可もとっていますので」

 

「何でだよっ!」

アタシにはまるで理解できない事だらけ

 

うるさいな、さっきから

そうこうアタシ達が話をしているとハルが心底不愉快そうな声を出して起き上がった

 

「悪いな、美紀ちゃん

足痺れたろ?」

 

「いいえ、治孝さんの少しでも役に立てたなら嬉しいですので

あまり無理はして欲しくないのですけど、無理なんですよね?」

 

「…流石になぁ。状況が許してくれればそうしたいところだけどな」

 

「ふふっ、治孝さん言ったましたもんね

引きこもり生活が出来れば最高だって」

なんでだよ?

 

「あら、そうなの?

ならハルくんを私達が養えばその願いは叶うんじゃないかしら?」

 

「…顔面偏差値で殴りかかってこないで欲しいんだがな、悠里」

 

「なんですか、それ?

そんな事が私や若狭先輩が気にする訳ないじゃないですか?

私はさっき言いましたよ?

私は治孝さんを愛してるって」

 

「…ホント強くなったなぁ、美紀は」

嘘、だろ?

ハルの前で告白したって!?

 

アタシは足元が崩れていく様な感覚に襲われた

 

 

アタシがハルの一番の理解者なのに

ハルの苦しみを知らなかった

 

アタシがハルの事を1番愛してるのに

それがハルに伝わらない

 

アタシがハルの1番そばに居たはずなのに

ハルの今を理解できない

 

 

…じゃあ、ハルにとってアタシ(恵飛須沢胡桃)ってなんなんだ?

都合の良い時だけ利用しようとしている嫌な女?

自分のしたい事すらさせようとしないうざい女?

 

 

…嫌だ

……嫌だ

 

 

 

 

 

いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいかないでいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ

 

 

アタシの中の何かが砕け散る音が聞こえた気がした

 

 

----

 

「お、おい。くるみ?」

 

「はる?」

 

「いやホント大丈夫なのか?」

 

「くるみね、あたまがいたいの

はるとはなれるの、やーなの」

絶句した

まさかそこまで思い詰めるなんて思いもしなかったのだから

 

「…そうなりますか」

隣にいる直樹さんは心底不愉快そうに呟くのを聞いた

 

「大丈夫なのかしら?」

 

「知りませんよ。治孝さんに長年依存しておいて、いざ離れそうになったら現実から逃げる女の事なんて」

 

「…それはそうなんだけど」

明らかに様子のおかしいくるみに私が狼狽しているけど、直樹さんにとっては心底どうでも良い事らしい

 

「…卑怯者」

直樹さんは心底憎らしげに呟くとくるみの所へと歩み寄る

 

 

----

 

「ホントどうするのかなぁ?」

私はため息をついた

 

新田先輩が生きている事は本当に嬉しい

…それこそ、美紀と2人で先輩を独占したいくらいには私と美紀は先輩の事が好き

…いいえ、愛している

 

あの人が願うなら

あの人が望むなら

 

どれだけ人の道を外れようとも構わない

 

私と美紀は何度陽美の事を疎ましく思ったのか、陽美は知らなかっただろう

 

「いやだって、ほら外面良くないでしょ?」

と常々言っていたが、そんな事どうとでもなる話だろう

 

 

新田先輩は家庭スキルが尋常ではなく高い

 

美紀は言っていた

「治孝さんは私達に毎年何を贈るのか悩んでいた

それでいつも陽美に相談している」と

 

 

陽美は兄の手製のブローチや手縫いの簡単な服も持っている

…でも絶対にそれを誰にも贈らせようとしない

 

陽美はソレを誰にも渡したくなかったのだ

 

 

私の少し特徴的な髪は先輩が気にしていた雑誌モデルの人を参考にしている

手入れは毎日大変だし、やめようかと思った事は幾らでもあった

 

でも、私の髪を見て偶に楽しそうな顔をする先輩が見たくて私はこの髪型を維持し続けている

…美紀はちゃっかり先輩の好みを自分の髪型に引き寄せようとしているけどね?

 

その時はその時で私も美紀の様な髪型にすれば良いのだけど

 

 

私達が何よりも嫌うのは『そういった目で先輩以外から』見られる事

私も美紀も護身術程度は嗜んでいる

自分を

美紀(相棒)

先輩(愛する人)を護れる為に

 

どうにも若狭先輩も先輩にそういった想いを持っているみたい

困った事にどうやら此処(屋上)には先輩の良さを理解しかけている者がまだいるらしい

 

 

「待つのは得意だから」

と美紀は言っているが、私としては先輩を狙う相手が増えない内に先輩との確かな絆を持っておきたい

 

「…にしても、現実逃避かぁ」

アレはない

圭はそう思う

 

「まぁ好きにしたら良いけどね?」

やりようは幾らでもあるのだから

 

 

 




という訳でくるみちゃんが遂に壊れました

…というか、元々はくるみと治孝の純愛の予定だったんですけど、誰か信じてくれませんか?

まぁそれはそれとしてくるみはしっかりなかせるつもりでしたが


感想を貰えると自室で喜びの舞を踊りながら湿度を上げて更新します

…ではまた次回

湿度マシマシのIFルートりーさん見たい?

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