天井裏から見る世界   作:鞍馬エル

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これはあり得たかも知れない光景




 夢の欠片

「よ、ハル!今日も一緒に学校行こう!!」

 

「…何度でも言いますが、まだ登校時間には早過ぎます

いい加減弁えてくれませんか?くるみさん」

 

「よぉ、陽美も起きてたのか

いや悪いなぁ」

 

「その能天気な顔を朝一に見たせいで私は気分最悪なんですけど」

 

「そんな事言うなって

なんだかんだ言って陽美が生まれてからの付き合いだろ?アタシ達」

ワシャワシャ

 

「髪が崩れます

…全くいつも通りの男女(おとこおんな)ですね、貴女は」

 

「男女って、流石のアタシもその表現は凹むぞ」

 

「どうぞお好きになさって下さい。せめて年下の私にすら負けるスタイルをどうにかしたら、考えてあげますよ?」

 

「朝っぱらから喧しいなぁ、お前らは」

アタシはいつもの様にハルを迎えに来たんだが、珍しく陽美がアタシの対応をしてきた

どうも陽美はアタシの事を嫌っているみたいだけど、アタシは陽美の事が嫌いになれないんだよなぁ

…やり過ぎるとハルが無茶苦茶怒るけど

 

で、やり取りを陽美としているとハルが心底呆れた様な顔をしながら家から出て来た

 

「兄さん、もう行くのですか?」

 

「喧しいのが1人どころか2人も居たらご近所迷惑だろうが

いつも回覧板持っていく時ご近所さんに合わせる顔がない俺の立場も考えろや」

 

「あ、ごめん」

 

「…すいません。気をつけます」

割と怒っているハルにアタシと陽美はようやく気付いて謝った

 

「何度目なんですかねぇ、お前ら揃っての謝罪を聞くのは

…んで、陽美。お前はどうするんだ?」

 

「!?直ぐに用意します!

少し時間を下さいっ!!」

 

「40秒で支度しな!」

 

そこは「3分間待ってやる」でお願いします!兄さん

ハルの言葉に慌てて家に入っていく陽美。その陽美に容赦なくタイムリミットを突きつけるハルと慌てながらも何とか譲歩させようとしてくる陽美

 

…うん、いつも通りだな!

 

 

アタシは普段と変わらない日常に思わず笑顔が止まらなかった

 

 

----

 

「しっかしまぁ、我ながら物好きな事だと思うわ、真面目な話」

 

「そうですね。私と兄さんは別にこれといった用事もないのですから」

 

「…う」

登校しながらハルと陽美は笑いながらアタシにチクチクと口撃してくる。こればっかりは反論のしようがない

 

こんな朝早くに登校させるのはアタシの朝練の都合に合わせているのだから

 

 

「もう少しなぁ、くるみの露出が高けりゃ許せるんだが」

 

「…でも、くるみさんですよ?兄さん

色気よりも食い気。花より団子な元気娘ですが」

 

「…うむむむ」

 

「いやそこで悩むなよ!アタシの魅力でハルはめろめろなんだろ!?」

流石にそのリアクションは許せない

乙女としての一大事だからな!

 

「めろ、めろ?」

 

「めろめろ(笑)ですね、わかります」

 

「オイコラ」

こんな馬鹿馬鹿しいやり取りもアタシにとって楽しい毎日の風景だ

 

 

「せーんぱいっ!」

 

「おはようございます、治孝さん」

来やがったな

 

そう言いながら、ハルに背後から抱きつく後輩2人

 

「圭、邪魔」

 

「ちょっとひどくない?陽美ぃ」

 

「よ、圭に美紀

相変わらずスキンシップ好きだなぁ、お前らは」

 

陽美は圭を乱暴に引き剥がし、ハルは美紀を優しく嗜める

ったくコイツらは本当に

 

陽美に文句を言っているのは祠堂圭

ハルに諭されてあっさりと離れたかと思えば、ハルの服を少し摘んでいるのが直樹美紀だ

 

目下アタシが警戒している人間の内の2人だ

 

圭はハルとの付き合いがそこまで長くない。多分本人もそれを知っているからこそスキンシップに積極的なんだろうとは思う

…全く納得はしてないけどな!

 

美紀はハルにとってかなりのんびりと出来る相手らしい

…勿論アタシが1番だけどさ!

控え目なんて甘く見ていると美紀の奴は割と積極的に動いてくるから油断出来ない

 

この前なんて、アタシでも滅多に入る事の出来ないハルの寝床で眠ってやがったからな!

アタシも勿論入った事はあるさ

 

…小学生の時だけど

 

 

陽美をして

「美紀に兄さんを紹介しなければ良かった」

と後悔させる位の脅威らしい

 

で、この2人が揃うと流石のハルですら押し切られる事があるって言うんだから困りものだ

 

 

----

 

ハルは基本的に『他人の前で肌を晒す事をしない』

傷痕だらけだからな

だから当然海やプールなんて以ての外

 

なのに

…なのにさぁ

 

あの2人ときたら、この前ハルとプールに行ったって自慢してきやがったんだよ!

 

なぁにが

「私達だけだと少し不安なので、ハル先輩(治孝さん)が一緒だと凄く(とても)嬉しいです(助かります)

だよ!

お前ら2人護身術を嗜んでるのをアタシや陽美は知ってんだからな!!

 

ハルもハルだ

アタシや陽美が何度誘っても一度も行かなかったのにさぁ

 

 

 

なお、言うまでもなく治孝はかなり渋った

それはもう心底嫌そうな顔すらして

 

しかし、治孝とそれなりに長く付き合いのある美紀は流石であった

 

「…駄目、でしょうか?」

と目を伏せてからの涙目による上目遣い

 

新田治孝という男は人間不信であるが、それでも自分の側にいると認識した者に対してはとても甘い

その時美紀はそれを上手く利用したのである

 

勿論

(治孝さん、ごめんなさい

…でも私と圭はもっと貴方と色んな景色が見たいんです)

と内心心を痛めていたが

 

 

この辺りがくるみや陽美、そしてもう1人と美紀が決定的に違うところである

 

くるみ達は基本治孝の嫌がる事はしない

美紀は違う

痛みも辛さも何もかも自分も一緒に居るから。だから、少しずつ乗り越えて行こうとするのだ

 

 

故に治孝の変化の多くのきっかけは美紀であったりする

 

 

因みに圭は圭で治孝の見た目の改善という至上命題をクリアしていたりするのだから、くるみや陽美からすればたまったものではなかった

 

 

治孝の趣味であるカラオケは圭が

ボーリングは美紀が

ゲームセンターでのUFOキャッチャーは圭と美紀2人がそれぞれ一緒に楽しんでいたりする

 

…まぁそのかわり剣道は陽美が最近始めた為に兄である治孝との距離を詰めつつあったりするのだが

 

 

 

そして圭と美紀を加えた5人で登校する

 

治孝は

「顔面偏差値が

顔面偏差値が爆上がりしておられるぞ」

とうわ言の様に呟いているが

 

「偏差値割れしたって私は治孝さんの事が大好きですから」

 

「そんなに気になるなら、また一緒に服選びしましょう!」

と後輩2人はアピールする

 

それに対して

「べ、別に気にしなくてもいいと思うけどな、アタシはさ。ハルはハルなんだし、どんなハルでもアタシは」

とヘタれるくるみに

 

「顔面偏差値?別にそんなものはないと思うんですけど」

と若干ピントのズレた事を言う陽美

 

 

これは勝てませんわ(確信)

 

 

----

 

「じゃ、じゃあ行ってくる」

 

「へーへー。頑張ってこいよー」

 

「まぁ頑張って下さいね」

 

「イッテラッシャイ」

 

「ガンバレー、クルミセンパイ」

 

「雑だな!?あと後輩2人は棒読みやめろよ、もう」

アタシは馬鹿騒ぎしながら部活に向かった

…あの女とハルを会わせたくはないが、まぁ大丈夫だろう

陽美とあの2人がいるんだからな

 

こういうところでは協力し合えるくるみ達であった

 

----

 

「おーっす」

 

「おはよう、ハルくん。今日もありがとう

…あら?他の人も来たのね」

 

「はーい、くるみさんに頼まれまして」

 

「先輩をその豊満ボディで悩殺するつもりなんですね

…くっ、駄目だ。私には勝てないよぉ」

 

「…ぐっ。流石は悠里さん

くるみさんなんかより(・・・・・)遥かに手強いですね

…主にスタイル面で」

屋上に来たハルと陽美に後輩2人。そこで園芸部部長である若狭悠里と合流して時間を潰す事になっていた

 

「…まぁ、確かに若狭さんのスタイルは目に毒だわな」

 

「そうなのかしら?

…ふふっ、ハルくんになら別にそういった目で見られても私は構わないわ。…そうね、これから校舎裏の菜園にも水やりしないといけないから体操服にでも着替えようかしら?」

 

「こ、この(ひと)やる気だっ」

 

「そんな!制服姿でも反則級なのに、これ以上更に上がるの!?」

 

「…悠里さん。もしかしてその体操服って

…数年前までこの学校で採用されていた奴じゃないですか?」

治孝が悠里のスタイルを正直に褒めると、悠里はそれを嫌がるどころか更に自身のスタイルを前面に押し出そうとする

それに驚愕する陽美と戦慄する圭。何かに気付いたかの様な問いかけをする美紀であった

 

「あら?そうだけど」

 

「そ、それは流石にチキンハートな治孝さんにはキツ過ぎると思いますが?」

美紀の問いを肯定する悠里に美紀は自身の懸念を正直に伝える

 

「…え?」

予想外の言葉に固まる悠里

 

「さーて水撒きすっかぁ」

既に作業に没頭(現実逃避)している治孝

 

「悠里さんがしようとしているのは旧体操服、つまりブルマを使って治孝さんを悩殺するつもりだと思いますが、ヘタレでチキンな治孝さんにそれは猛毒だと思いませんか?」

とど正論をぶつける美紀

 

「そ、そんな

…そんな事って」

思わず膝をつく悠里

 

まさか自分のスタイル(魅力)を武器にしようとしたら、それがまさかのオーバーキルだったと言う衝撃の事実にさしもの悠里もショックを隠しきれなかった

 

 

「お、ゆきじゃんか

おはー」

 

「あ、おはよー。はーくん

もう始めてたんだぁ。肥料用意するね!」

 

「まかせたぞー」

 

「まかされたよー」

と新たに屋上へと来た丈槍由紀と話をしながらやる事を終わらせようとする治孝

 

なお、治孝は園芸部員ではない

 

 

これには某蟹も

「おい、部活動しろよ」

と真顔でツッコむ、かも知れない

 

 

----

 

「治孝さんへの理解が足らなかった

それが悠里さんの敗因です」

 

「…情けないわね。好きな相手の事をちゃんと知らない、なんて」

膝をついた悠里のそばに駆け寄って話をする美紀

美しい光景だ

 

「…ところで、今度治孝さんと出かける予定なんですけど」

 

「その話詳しく」

いや、単に欲望に忠実なだけかも知れない

 

 

 

 




光が強ければ強い程闇もまた深くなる

希望が大きければ大きい程絶望もまた深くなる
夢か(うつつ)か?

これより始まるは互いが互いを蹴落とそうとするデスマッチ
その果てに何が待つのだろうか?

湿度マシマシのIFルートりーさん見たい?

  • 見たい
  • 怖いから勘弁
  • ジェジェノサイドでなければ
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