天井裏から見る世界   作:鞍馬エル

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 助けたい人がいる
守りたい人がいる


その想いは純粋で輝いていたはず

でもその輝きは永遠ではない


他の者がいる
誰もいない

それは決して同じではない



やや、シリアス回です
それでもよろしければ、どうぞ



 こころ

 3日目の昼

 

 

くるみ、りーさん、ゆき、めぐねえの4人は頭を悩ませていた

 

だー、もう訳わかんないっ!

何で食料とかが積まれてたんだよっ!

 

くるみは苛立ったように頭を振り回す

因みにくるみはツーテールなので

 

うわっ!

くるみちゃん危ないよ〜

隣にいるゆきに普通に当たります

 

痛くはありませんが、出来れば遠慮したい類の攻撃ですね

 

…生き残りがいたのでしょうか?

めぐねえは1番あり得そうな可能性を口にする

 

それはどうなのかしら?

だって生き残りの人がいたとして、どうしてバリケードに守られている屋上に来ないのかしら?

その意見にりーさんは疑問を口にした

 

確かになぁ。これだけ色々運べたんだったらあたしらに合流した方が良さそうなんだけど

くるみはかなりの量が集積してあった事から、おそらく相手もそれなりの人数いると考えた

…無理もない

 

誰が深夜の時間を全部使って物資を集積したと思うだろうか?

しかも1人で

 

 

んー、仲良くできない理由でもあるのかなぁ?

ゆきは少し不安そうな顔で呟いた

 

----

 

(厄介ね)

悠里は内心でゆきへの警戒度を引き上げる

今までの事を思い返して、悠里は気付く

 

 

(普段はのんびりしてるのに、要所要所ではキチンとした意見を出していたわね、そう言えば)

純粋な(戦力)としてにどちらかと言えば注意を向けていた悠里は丈槍由紀という人物への評価を改め

 

(そう。ゆきちゃんも私は見極めないといけない(・・・・・・・・)のね)

密かに計画(・・)を変更する事を決めたのだ

 

 

 

悠里としてはこの状況を最大限利用するつもりだ

元々治孝の行方が不明であった事から、くるみという最大戦力を手元に抱え込み、佐倉慈という邪魔者は徹底的に精神的に崩し切るつもりだった

あの時から悠里にとって佐倉慈は敵側の人間として認識していたのだから

 

勿論、関わり合いにならないのであれば態々手を下す必要なんてない

 

 

だが、何の因果か今こうして一つのグループにいるのだ

そして治孝の存在も確かに感じ取れた

 

となればやる事を変更すべきだろう

役に立つなら、まだ良かった。しかし、3日目になっても大した事は出来ていない

くるみと自分が物資の集積を知らせた時もそれを運び入れる提案をしたのはゆきであり、最後まで難色を示したのが佐倉慈

既に悠里は慈に期待するだけ時間の無駄であると割り切っている

 

しかし、である。曲がりなりにもグループの一員である彼女を始末したとなれば、要らぬ不和を生むことになるだろう

まだくるみの精神の取り込みが終わっていない現状でのそれは余りにもリスクが高い

 

それに

 

(自分を守りもしない大人を徹底的に貶めるというのも、悪くないかもしれないわね)

治孝は何年もの間色々されていた影響からか、時に非常に攻撃的になる事が何度かあった

 

悠里としては寧ろ彼に傷付けられるのは望むところであった為に躊躇いなくそれを受け入れた

彼が肉体的精神的に深く傷ついているのに

自分はそれに比べてなんと綺麗なままなのか

 

悠里にとってそれは許し難い彼に対する裏切りに見えたのだ

だが、彼は悠里が傷つく事を酷く嫌がる。いや、あれは恐怖しているという方が正しいのかも知れない

 

悠里は彼の痛みを理解したいから傷つきたい

彼は誰かを傷つけたくなる

 

 

なら、自分がそれを受け入れる事で自身への罰と彼の不満を受け入れる。という『一粒で2度美味しい』状態になるのだからメリットしかない

更に自分を傷つけた彼は更に自分に溺れる事にもつながる

 

悠里からすれば正に

 

さぁ、いつでもいいのよ?

 

と慈愛の笑みすら浮かべて受け入れられる事だった

自分だけの特権をあんな女にくれてやるのは心底腹ただしくあるが、あくまで自分の優先すべきは彼の幸せだ

 

あの女とて彼がどういう立場にあって、何もできなかった事を突きつければ間違いなく罪の意識からそれを受け入れる事だろう

 

(…案外この女の方があっさり折れて歪むかも知れないわね)

それはそれで悠里としては少し困るのだが

 

 

傍目からすれば倒錯したソレであっても構わない

なんなら真っ直ぐな性格のくるみすら堕としてしまっても良いとすら考えている

恋愛感情というにはあまりにも儚く頼りないそれを持っていた相手を手にかけたくるみだ

 

さぞ、新しい依存先を見つけたとなれば従順になる事だろう

もしも従順にならなくても私がくるみを縛れば良いだけ

 

彼女はどう見ても男らしく振る舞う事で『自身の女らしさ』。つまり弱くなりがちな心を隠している

 

周りに強く出る人間ほど支えを失えば脆いもの

残念だが、くるみは典型的なそのタイプだろう

 

そして、冷静に狂う事の出来る自分にとっては御し易く、くるみにとっては1番相手にしたくない人間だ

 

支えがない事を昨夜くるみに突き付けた

そして、くるみは明らかに私を意識している

彼以外に身を預けるのは甚だ遺憾でしかないが、まあ同性なので我慢しようと思う

 

くるみみたいなタイプは自覚のないままに走り続けて突然燃料が切れて足の止まるタイプだろう

なら燃料を与えれば良い

支えがなくなれば、新たに与えよう

そうすればくるみは満面の笑みで(涙を浮かべて)それを受け入れる

 

 

 

そして、本来ならあっさりどうにか出来ると思っていた由紀

彼女がかなり今邪魔になっているのは悠里としては予想外の事だった

 

 

でも悠里には一つ彼女をどうにかする鍵がある

くるみは知らないだろうが、3階の女子トイレに女子生徒の死体(・・・・・・・)があった

 

(確か柚村貴依(ゆずむらたかえ)さんだったかしらね?ゆきちゃんは彼女ととても(・・・)親しかったはず

さぁ、貴女はそれを正面から受け入れられるかしらね?)

 

 

人の精神など脆いものだ

他ならぬ自身や大切な彼でそれをよく知っている

 

だからこそ、悠里は壊し方も誤魔化し方も知っているのだ

 

 

 

このグループの人間は誰1人として強くない

それを誤魔化すのが上手い者達が集まっているだけに過ぎない

 

 

 

(私も随分と悪辣な人間になってしまったわね)

悠里は内心嘆息する

 

が、だからと言って足を止める気など毛頭ない

 

 

既に若狭悠里という少女は壊れているのだから

 

 

----

 

 

その頃、階下では

 

 

落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちてよ落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない何で落ちないの?落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない落ちない

 

 

と狂ったように体を洗い続ける少年がいた事を

 

 

 

悠里が知るはずもなかった

 

 

----

 

 

彼は目を覚まして違和感に気がついた

 

鉄の錆びた様な匂いがする

自分の手に()がこびり付いている様に思える

 

彼は急いで用務員室にあるシャワーを浴びた

 

 

何度も何度も

 

何度も何度も何度も

 

気が狂いそうになる位彼は自分の身体を洗った

 

 

 

そうして漸く気付いたのだ

 

 

自分のコレは二度と取れる事はない

事に

 

 

あ、はっ

 

声が思わず漏れる

 

あははは

声を不要に出せばアイツらを引き寄せる事になる

 

 

あははははははははははは

でも止めない

 

あははははははははははははははははははははははは

いや、止まらない

 

彼は完全に壊れてしまったのだから

 

 

 

 

 

 




 荒んだ心に暴力はあまりにも馴染み過ぎた

歯止めの効かない暴力はその矛先を己へと向ける



少女は願う
彼と共に在りたいと

少年は願う
彼女に未来あれと


近くにあって、余りにも遠きもの

愛を知らぬが故に愛を欲し
愛を知りながらそれを手放し、また求める


愛故に
嗚呼哀しき者達よ

湿度マシマシのIFルートりーさん見たい?

  • 見たい
  • 怖いから勘弁
  • ジェジェノサイドでなければ
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