ソード・オラトリア最新単行本ネタバレがあります。それはもうガッツリと。はい、そうです。買って来ましたソード・オラトリア14巻。
とりあえず本誌を見てない方ネタバレ注意ブラウザバック推奨しておきます。
ほんの一部ですが2話の一部を変更しました。良かったら確認をお願いします。
ちょっと書いて削って追加してを繰り返したのでぐちゃぐちゃかも?自分で読み返して破綻してると感じたら修正します
ラーファル・リヨス・アールヴ。
長男だからという理由で王となったリヴェリアの父親にしてロートの兄である。
『面倒事を全部誰かに押し付けるけど良いのかい?』
『いつでも森を出ても良いんだけど…どうする?』
当時王であったラーファルとロートの父親に真正面から面と向かって言い放ち、序の如く膨大な魔力を噴き出させながら脅しもとい交渉を行った弟。
近衛と、王族と。当然ラーファルや父親も含めて玉座の周りに居るエルフという戦力の頂点がロートにかかりに行ったとしても一方的に蹂躙されるがオチになる事が明確。
100年前。そう、未だロートが若造であった頃。同時にラーファルも若造であった頃。
グリーン・ドラゴン『強化種』の顕現。そして、ロート単独での討伐。
ロートやエルフ達にレベルという概念は浸透して居ない。然し当時の王であったロートやラーファルの父が討伐に乗り出し瀕死の重症を負わされたのだ。
あえて書こう。その竜の想定レベルは脅威のレベル4上位相当。
当然ながら死闘となった。ロート自身無我夢中であり当時の記憶は無く、近衛や他のエルフ達も圧倒的なその余波に耐え切れずに遠くへと避難していたから、戦いの内容は分からない。
地面はクレーターと化し、ロート自身右手と杖を中心にまっ黒焦げの重症。されど、目の前にはグリーン・ドラゴンであったであろう灰とドロップアイテムであろう巨大な宝石が転がっていたと聞く。
恩恵すらない一般人と身体性能が変わらぬただのハイエルフ。少しばかり精霊に好かれ、こうして共に戦える現代の英傑。
神がソレを見れば半狂乱し、全勢力を用いて囲いこんだだろう。当時のトップであったゼウスですら例外ではないだろう。
それだけの実力がロートには備わっていた。武力で無理やり森の中に閉じ込める事は最早無理同然でもあった。
だが、ロートは冷静に自身の力を伸ばす為に外に出るのでは無く内に籠った。
走馬灯の中自分では制御出来ない禁忌へと手を伸ばし、杖と半身をチップに何とか賭けに勝てた。だが最上級の大聖樹の大杖は大破し、精霊が居なければ半分炭になり掛けていた片腕は切り落とさねばならなかっただろう。
森で、外の世界で、吟遊詩人は高らかにソレを唄う。
エルフの頂点としての威光を。古代の英傑の再誕を。
荒唐無稽過ぎた為にオラリオですら眉唾物とされ、一時の流行りとしてぼんやりと消えていったソレ。
然し、王森を訪れることの出来るエルフだけはその唄が事実だと知っている。
森の奥。一画のみであるが開け、木が生えない場所が存在する。
100年経った今も当時の激戦の跡が其の儘そこに横たわる。当然王族から森を再生する為の計画が打ち立てられた。然しどう足掻いてもその跡が修復される事は無かったのだ。
父はロートにその業を使う事を禁じた。ロートも分かるのだろう。自分が振るったその力を。いや、ロートが一番分かっているのだろうな。
ロートのこの伝説とも言える戦いは戦記の様な本となり、エルフにとっては「リシェーナ」や「セルディア」と同列として王族の中でも一層信仰の対象となったのだ。
だからか。だからこそか。娘が憧れない訳が無かったのだろう。
外の世界への渇望も、空への憧れも。どれもこれもが弟が与えたものであった。
王族としての自覚、責務。そして神にも劣らぬエルフの頂点としての威光。
王としてラーファルはリヴェリアに求めた。
ロートは一人の叔父としてリヴェリアに接し、相談に乗り。時に強請られば空の旅へと誘った。
さて、そんなお転婆なリヴェリアはひとつ失念していた事があった。
ロート・リヨス・アールヴにあり、リヴェリア・リヨス・アールヴには無いものは何か。
『己を貫き通せる圧倒的な武力』
これに尽きるのだ。ロートが自由な理由は全てでは無いが8割程はコレがあるからである。
たとえ「セルディア」の気質を受け継いで居ようとも。才能があり幾つもの魔法を覚えていようとも。
ラーファルがリヴェリアに求めた事こそが常識であり、真実だとされているから。
だからこそ、森を出る為に行動をし始めたリヴェリアに王は容赦が無かった。
神を嫌い、娘を閉じ込め。目の前に居る小人族の様に衰退しない様に。
然し、願いも虚しく娘は神の忌々しい恩恵を背に刻んだ。
その柔肌を晒し、森を出る為に。自らの目的を達成する為に。
だからこそ、王の重い腰は上がった。
「神といえど許さん!アールヴの名のもとに宣言する!あのふとどふべらッ!!?!?」
互いの意見が確り出し合われ、ローファスは王としても親としてもブチ切れた。
そんな激おこエルエルインフェルノの顔面にライダーキックをぶち込みに来たロートによって場の空気は滅茶苦茶となる。
「アールヴの名を使うならオレを説得してから使うんだな。そんな安物じゃ無いだろ?」
「ろ、ロート様!」
「叔父上!?」
地面に頭がめり込みピクピクと気絶したローファスの代わりに、エルフの英雄がリヴェリアの前へと立つ。
エルフ達は例外無く跪き、立っている者はリヴェリアを除き皆無。これにはロキもフィンも驚くしかないというもの。
「リヴェリア、本当にその選択で良いのか答えなさい。今ならオレの力で何も無かったことにも出来る。」
「覚悟の上です。私は外の世界を見てみたい。」
「うん、うん。まぁさっきのヤツ聞いてたから知ってるけど。独り立ちする時が来たか。」
それだけでリヴェリアだけにのしかかっていた圧力が消える。叔父としてのロートでは無く、王族の一人としての顔が垣間見える。
「なんかさっきのよりは話が分かるやん?ほなら解決しふべらっ!?!」
大聖樹の大杖のフルスイング。見事ロキの頬を捉え2回転半身体を回転させながら地面へと強烈なキッスをさせた。
「リヴェリアの肌を晒させ消えぬ痕を刻んだオレなりのケジメだ。これで許しておくからな?いいな?」
「は?」
フィンが目を見開く。曲りなりにも前衛。恩恵を持ったこの場における最強だった個。
注目していたのにも関わらずにロートの動きに反応が出来なかった事実。主神が半殺しにされた現実。
だが、ロキは許された。エルフの総意として。神ロキをこの件にて責めることは出来なくなった。
「パルゥム、リヴェリアを頼んだぞ。ソコの神もな。そして、門出はオレが祝おう!」
『グオォォォォオオオオ゛!!!!』
復讐に燃えるグリーンドラゴン。漸くその時だと天に有り余る咆哮を。
だが、場所が悪い。相手が悪い。刻が悪い。
姪にいい所を見せようとする最強の叔父がここに居るのだから。
濃い魔力に包まれている王森よりも濃厚で、飽和しそうな程の精霊の魔力とロートの魔力が混ざり合う。
ふわふわと浮かび上がれば足元から拡がる天蓋の様な魔法陣。詠唱は無く、溜めも僅か。だが顕現するのは人智を超える巨大な炎の剣。
「【『レーヴァテイン』】!!!」
剣が堕ちる。炎によって一定範囲の空気が一瞬にして渇く。唇がヒビ割れ、血が滲む程に。
たくさんのエルフ達が居るがそんなもの達に意識を裂く暇など1寸すらグリーンドラゴンには残されていなかった。
『グオォォ、ァァァ……』
刺し貫かれ、内側からも、外側からも焼かれながら魔石を砕かれたグリーンドラゴンが抵抗することはもう無い。灰に還ったのならば、巨大な炎の剣も同じ様に魔力へ還った。
「行け!オレ達のことは心配するな!嫌になったら帰って来いよ!」
こうして、リヴェリアは外へと出た。後は皆の知る通りである。
レベル6というひと握りまで登り詰め、娘の様な子もできたと。手紙で良く名前の出る子も、書いてないが察せることやら。
「ん?シルフ…そうか。そうなら…ちょっと私もオラリオに行こうかな」
動乱の時代の始まりに置いて行かれないように。役割を果たす為に。
オラリオに行く半月前の独り言であった。