【完結】ダーク・ナイトはへこたれない   作:澱粉麺

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寄り道してました




聖女と魔女は激突して

 

 

 

「その…イスティ!これ、忘れ物。

…あー…あとパン、食べる?」

 

「あ…は、はい!是非いただきます!

ありがとう、ヴァン!」

 

翌朝の事。

私はまずヴァン少年に昨日の事を謝ろうと、いつも通りに朝食を用意している彼に近づいて行こうとすると、そのような会話が聞こえてきた。明らかにもじもじと、互いに気まずそうに顔を逸らし赤らめている様子が見えてきた。

 

「ふうむ」

 

「うわっ、ハイレイン」

 

「おはようございます、ドクター!」

 

やたらと、気まずそうな二人を見て私はぴんと来た。さすがに人の感情の機微に疎い私であったとしてもわかると言うものだ。私はグライト嬢に差し出されたトーストを取りそれを齧りながら、指を弾く。

 

「少年」

 

「…なんだよ。余計な事言うなよな」

 

「なに、私も馬鹿ではない。

ただ一つだけ、二人に聞かせて欲しいのだ」

 

「な…なんでしょうか?」

 

「君たちは昨夜こそ、一線を越えたのか?」

 

そう、好奇心から聞いた瞬間にそれぞれの手が私の頭と、鳩尾にどすりと当たった。それぞれは勿論本気ではないが…いや、それでもかなり痛かったな。それぞれどっちも。

 

「〜〜ッ…わかった!あんたデリカシーだ!

デリカシーが壊滅的にないんだ!」

 

「おや、失礼だな」

 

「しし、失礼なのはどっちですか!!そういうのはせめてもっと、探り合うように聞いてください!」

 

どちらもがあわあわとふためいてそう感嘆符を付けた叫び方をしていく様子を見て私は、くつくつと自分の中から湧いてくる笑い声を耐えられなくなった。陽気であらんと心掛ける、作り笑いではない。本当の笑いが、どうしても。

 

 

「くくっ、くくくく。あはははは!」

 

「あー!今度は『こう焦るってことは図星なんだな?』とか言うつもりでしょう!もう、ドクターはそういう…!」

 

「いやあ、違うんだ。

楽しいなあ。君たちと一緒にいるのは」

 

きょとんとした顔をする、グライト嬢。その後ろで何かを言わんとしてからやめて、首筋をがりがりと掻く姿が見えた。

 

「…急に照れ臭いことを言うなよ。

なんていうか、むず痒いぞ」

 

「いいじゃないか。

最後の団欒になるやもしれないんだ。

これくらいの事は言っておきたい」

 

そうだ。

これが最後になるかもしれない。

私たちが今いる場所は、グライト嬢が育ったという孤児院のその麓。下にある孤児院の近くの、崖の上に野営している。

下の様子を見ながらすぐに出ることが出来るように。そうしてまた、ここで何かを待つ必要も特には無い。

 

「いいえ、最後になんてさせません。

今度はダルクも一緒に、皆でまたお喋りするんです。

私が絶対にそうさせてみます!」

 

「…ククー。そうだな。そうあって欲しいものだ」

 

そうだ。そう、あってほしいものだ。心の底からそう思う。きっとそれは、難しいのだと思いながら。

 

「オレのメモライズは終わったよ。

他二人も準備はいいか?」

 

ヴァン少年がそう話題を変える。彼もきっと、分かっているのだ。この団欒がもう二度と無いのだろうことを。

そしてまた、その問いに首を横に振る必要もない。

腹拵えも済んだ事だ。皆、頷いた。

 

すうと、覚悟を決めた顔をして。

とん、と崖から跳ぶグライト嬢。

すると彼女の背からは聖力による光の翅が生え、私たち二人ともを連れて崖の下へとふうわりと着地させた。その空中の機動の様子は、それこそ正に光の蝶のようだった。

 

 

斯くして我らは死地へと舞い込む。

ぐ、と異臭とその地獄絵図に顔を抑えるグライト嬢。瘴気は幸いにも全く無い故に、祓いの必要は無さそうだ。

崖上から見えている光景ではあったが、改めて近くから見るその光景に眉を顰めることを責める事は出来ない。

 

そこにある光景は、地に突き立てられた巨大な木杭に串刺しになっている、孤児院の大人たちの変わり果てた姿。幸いと言うべきか、子供の姿はないが。その腐りかけた肉に魔物がたかり貪りに来ていて、それらは私たちの気配に目を移して威嚇をしている。

大量の、魔物達。

こちらも負けじと威嚇射撃をしてみるが、飢餓状態につき獰猛になっており、どうにも引く様子は無さそうだ。

無駄な消耗は避けたいが、致し方がない。

 

「…このまま通り抜けることは出来なさそうだな。少年、私たちはこの辺りを掃討していくことにしようか。グライト嬢、君は先に」

 

「なっ…ハイレイン、一人で行かせるつもりか!?」

 

「ドクターを付け給えよ。

私とて不安だが…一刻を争う。アーストロフ少年は魔物を集め我らの足止めをし、そしてこの孤児院そのものを壊そうとしている。それが何故かはわからないがこのまま奴を放っておくわけにはいかないだろう」

 

「なら…オレが魔物を殺していく。だからハイレインはついて行ってやってくれ!」

 

「いえ、ヴァン。私はそれであなたが傷付いてしまうのは嫌です。それに、二人で効率的に掃討して二人とも来る。それがベストな筈です」

 

「……くそっ。イスティ!オレたちもすぐに行く!

だから、その…」

 

「……頼む!」

 

その一言にはいろいろな意味が詰まっていた。頼むから無事でいてくれ、ということでもあるし、先にある脅威の対応を頼むということであり、そしてまた。ダルクを頼むということでもあった。

 

「はい!」

 

全てを背負い、彼女はそれを真っ直ぐに見つめた。

そうしてから走り去っていく。

 

「余韻に浸っている所悪いが…

呆けている暇はないぞ、少年ッ!」

 

「だれが、呆けてるって!」

 

走り去る背中を守りながら、私たちは魔物と相対を始めた。この先にある未来がどの方向に行くのだろうか。

さあ、聖女と魔女の激突だ。

 

 

 

 

……

 

 

こつ、こつ、と歩く音。

自分自身のそれがひどく、恐ろしげに聞こえた。

 

 

「……ダルク。

何故、こんな事をする必要があるのですか」

 

「なぜ、か。そりゃまた残酷なことを聞くね」

 

「残酷?」

 

「ああ。その、全てに理由がないといけないと言わん態度。ボクはひどく残酷だと思うよ?ただ流されるままに生きている人、如何ともし難い事情でそうなった人、そうしなければならない人。そういうのを全て否定することになる」

 

「まあ断固として否定をするというのならボクはそれでもいいと思うけどね。ただ、それをわからないでの発言なら…ふふ、もう少し熟慮すべきじゃないかな?イスティ」

 

「……はぐらかさないでください!」

 

「はぐらかしてないよぉ。ただそうだなあ。君の聞いていることに答えるとするならば答えは一つだ。シンプルでどんな馬鹿でもわかること。ボクが、『魔女』だからさ。そう生まれたという理由は、それだけで虐殺に値する理由となる。違うかい?」

 

「それは違う!絶対に、違う筈です!」

 

「ああ、それにしてもお腹がすいたな!

最近まともに食べてなかったからなー」

 

「ふふ、そうしたらお弁当が歩いて来てくれた。イスティ、最初からね。キミはボクのいざという時のための保存食だったんだよ」

 

ばきん。

足元の木の床を踏み砕いて舌舐めずりをする姿。

悪辣で、嘲りを隠さないその表情。

私はそれを見て、それでも、違うと思った。

 

「違う。絶対に、違う!

私には…こうまでしている貴方が、それでも。あなたの悪性だなんて到底思えないのです。これがあなただなんて、思えない!」

 

「私は、私と友になってくれた貴方を知っている。

私のともだちの、ダルク・アーストロフを知っている!

だから私は諦めません。

なので、もう一度確かめます。もう一度挑むッ!」

 

「へえ。じゃあどうする」

 

「あなたをふんじばって、ぶん殴ります!」

 

「は!あははは!いいねわかりやすくって!

いいねやってみなよ、イスティ・グライト!

救国の聖女さま!」

 

 

 

 

……

 

 

 

(…助けは、ない。

そしてまたそれぞれが手加減をする余裕もない。

ダルクと私の二人きりの、純粋な殺し合いだ)

 

メイスを担ぎながら、先までの啖呵とは裏腹に私の頭は冷静に働いていました。血の匂いに依る、死線が近いという事実。それが驚嘆と焦りを通り越し、冷静な判断を生んでいるのでしょう。

 

(ダルクの戦いは何度か見た。手に持つ食卓用ナイフによる斬撃と、蹴りを主体にした戦い方。そして一番の脅威は、手を翳してその先を『何か』に喰らわせるなにか)

 

(特に、あれが当たってしまったら終わりだ。魔力を喰われてしまえば数日ほど聖力を使うことすら出来ない。そうすれば私に勝てる材料は万が一にもない。だからまずやる事は…)

 

「へえ…」

 

とん、とん、とん。

跳び、ダルクの周りを素早く走る。撹乱のために、どこから向かうか分からせない為に。あのダルクの魔術は大振りの一撃しか出来ない。

 

ダルクはそれを見て、小さく舌打ちをしてからぞるり、と手を周りに振る。瞬間、ダルクの周囲の床が円状に抉れる。そうすることでどこから飛び込んできても、つまづかせて、足を止めさせるということだ。

それを見てむしろ私は、よし、と思う。ここで全方向に向けてのあの魔術をしないということはつまり、射程はさして長くはないという事だ。もしくは無駄撃ちができるものではないか。何にせよ、それならまだ光明はある。

 

「『免罪の蝶』…」

 

光の蝶の展開。身体に纏わせることはしない。翅を作り、高速で動くあれはまだ使えないと思わせなければならない。一度見せてはいるが、自在に使えるようになったことはまだ彼は知らない。だから、それを隠す。いざという時まで。

 

「…行って!」

 

蝶が飛んで、ダルクに飛び掛かる。

それ自体に攻撃性能は無いけど、代わりにその光が目眩しになり視界を奪う。その間に彼の間合いに飛び込む。抉られた床は見た目よりも深く、中途で速度を緩めざるを得なかったけれど、それでも彼の反撃を食らうことなくメイスの一撃を入れた。

 

「ぐっ…う…!相変わらず、一撃が重いなぁ!

何を食ったらそんな怪力になるんだ!」

 

口をべらべらと動かしながらよろめくダルク。

チャンスだ。このまま、一気に畳み掛ける。

二撃目、当たる。三撃目、避けられる。だけどまだ隙がある。そこに振り下ろそうとして…

 

「…チッ、仕方ない。

指の数本くらい、くっつけられるか」

 

しゃおん。

冷たく鉄が通り過ぎる音。

手の甲が深く裂かれ、血が吹き出る。その彼の独り言にぞっとして手を引かなければ、本当に指が落ちていたでしょう。

だがここでまずいことは、そのナイフの一閃そのものではない。私はここで、指を切り落とされたとしてもこのまま攻めを継続すべきだったのです。ここでまずいこととはつまり。

ナイフが当たるような、この至近距離で。

ダルクに、隙を与えてしまった事。

 

にたぁ、と歪んだ笑みが彼の顔に浮かんだ。

翅を作り逃げるか?否。まだ使うのは早い。

 

「『喰え』」

 

「……〜〜ッ!!」

 

こっちに一直線上に構え、照準を合わせた彼の腕を咄嗟に取り、私から逸らした。刹那その手先から恐ろしい力の奔流を感じ、また少しだけ避けきれなかった頬が薄く抉れた。

避けることが出来たのは奇跡だった。だがこの回避動作で更に私は彼に猶予を与えた。それは、つまり。

彼の手が水銀よりも早く動く。

 

すぱぁん、と、右手の腱に熱が走る。

その悲鳴をあげる暇もなく、腹部に鉄塊が落下したと錯覚するような衝撃と激痛。それはダルクの前蹴りによる衝撃である、と理解したのは空気と吐瀉物を吐き出しながら蹲っているその最中でした。

 

「ご、ばっ!げ、ぇぇ、……っ!」

 

「おお。貫通させる勢いでやったんだけど、これも耐えるか。さすがタフだねー。まあどうでもいいけどさ」

 

「ね。キミ一人では無理だよ。

ヴァンを連れてきたらよかったじゃない。魔物は一回ハイレインに任せるか、もしくは先に全員で魔物殺してからさ。だのになんで先に来たかなあ?キミ、そこまで阿保じゃなかったろ」

 

「げぼっ、ごふっ…

…それは…できま、せん…

!ぐうっ!」

 

血反吐を撒き散らしながら、その私の後頭部を突き刺そうとしたダルクの追撃を転がって避ける。治療をすれば、まだ右手は動きそうだけれどその余裕をくれはしない。

翅を作り、高速で移動するべきは今か。

いいや、まだ、まだ待たなければ。

代わりに免罪の蝶を、彼に向ける。錠にして動きを止めようにも、以前のローラウドを捕らえたようにするにはダルクの動きは素早すぎる。だから目眩しにそれをするしかない。

 

「そんなもの、もう効くかよ」

 

「…痛ッ!」

 

ずぎり、と太腿から刺すような痛み。

そこを見ると彼がさっきまで持っていたナイフが私の腿に深々と突き刺さっていた。ああ、刺すような、ではなく。本当に刺さっていたのだ。と変な笑いをしながら、私は転び倒れた。

 

「ふん、つまらない。芸が無いなイスティ。

ふんじばって殴ってくれるんじゃないの?」

 

まだ動かせる左手を、ばきり、と踏み潰される。それも痛いはずだけれど、全身がくまなくずっと痛いせいでそれが本当に痛いのかもわからない。

 

「ヴァンを呼びなよ。

あいつは優しいからね。キミが呼べば飛んでくると思うよ?だから呼んでくれよ。呼べ。呼んだら生かしといてやる」

 

ある程度距離を取ってから、私に手を向ける。成る程、少しでも近づけば反撃を受けるかもしれないという判断。幾度もしてきたからこそできる熟達。彼はどれほど、こんな血みどろの戦いをしてきたのだろう。

 

「それだけは、できないんです」

 

「ヴァンは…それでもあなたが好きだから。

そしてダルクも、ヴァンが好きだから。

そんな二人を、殺し合わせるわけにはいかない。

だから私は、一人であなたと戦います」

 

「……黙れ」

 

「だまり、ません。

ヴァンはあなたの事を大切に思っている。今でも、今だからこそ、一層!だからそんな悲しいことはさせない!私が、絶対に!」

 

「黙れ」

 

それを言った瞬間。初めてダルクの表情が動揺に歪んだ。ずきりと、さっきに殴打したよりも余程重い手傷を与えたように。

震えを抑えるように、自分の肩を手で押さえながら。

 

「黙れ、黙れ!うるさいなぁッ!だから、だからこそそうしたいんだよ!ボクは彼にそのまま殺されて終わりでいいんだ。それで終わりにしてくれればいいんだよッ!」

 

「………そうして、彼がボクへの思いも全部断ち切ってくれれば、それが一番いいんだ…!」

 

髪を掻きむしりながら、ぎんとこちらを睨む。それはさっきまでの嘲るような、どこか道化のように巫山戯るような感覚すら無く、余裕無く息を荒げながら歯を食いしばっていた。

 

「イスティィ…キミには苦しんでもらおうか、拷問をしよう。どこから切り落とされたい?どこを剪断したらヴァンを呼ぶ?それまで、キミで遊んでいることにしようか!なぁ!?」

 

そこにあるのは、怒りだった。

図星を突かれた事による怒り。心にずけずけと踏み込まれた事への怒りを滲ませ、私の髪を掴んでぐいと持ち上げて、そうがなりたてる。私の耳元にまで口を持ってきて。

 

 

「………謝罪を」

 

「あ?」

 

「あなたに、謝罪を。ダルク。私は、貴方の彼への気持ちを利用させてもらいました。本当はこうもせずただ倒せたらそれでよかったのですが…」

 

ぴたり。

健を切られ動かなかった筈の右手をダルクの頬に当てる。先の、逃げ回って蝶を目眩しに使った時。あの瞬間に、治療の時の光で気づかれないよう右手だけを治していた。

本当は、彼の心を揺さぶる事などしたくはなかった。だがこうでもしなければダルクは私に近付きはしなかっただろう。それもこう、無警戒に。頬に触れる程の距離になる必要が、あったのだ。どうしても。

 

 

「……お前……」

 

「……こう、直接触れてみて改めてわかります。貴方に掛けられているその『蛇の呪い』は根深い。だから私のような未熟者ではきっと直接取り除く事はできませんが…」

 

「イスティ、お前はッ!」

 

「ですがそれを浄化する事くらいはできる!」

 

 

私は『瘴気祓い』をした。このダルクの呪いが魔女の力由来のものならば、この祓いの力が有用な筈だ。そうでなくてはならないと、確信していた。祓い、取り除く。

私の友達から、出ていけと。

 

「イスティィィィッ!」

 

「はああああああッ!」

 

黒い瘴気の力と白い聖なる力がぶつかり合い反発して、混じり合わずに衝撃を生み出して全てを弾いていく。それこそ今戦いの場になっている古びた家屋がばきばきと壊れていくような衝撃。

それに呑まれて、私たち二人は逆方向に吹き飛ばされる。

 

 

ちかちか、と目の前が白くなる。

きっと暫く意識を失っていたのでしょう。

は、と意識を取り戻したのは二人とも同時。

 

 

「こ、の…!イスティ、おまえ…!

とんでもないことを、してくれたな…!」

 

ふらふらと、肩で息をしながら立ち上がるダルク。ナイフを震える手で持って、投げつけようとする。だが、全くこちらに届かない。途中でへにゃりとした軌道のままで落ちてしまう。ダルクのその超人的な身体能力は、あの『呪い』に頼っていた所が大きかったようだ。

二人とも立っているのもやっとの限界。

 

ここだ。

切り札を切るのは、ここしかない。

 

 

「…『免罪の蝶』!力を…

あなたたちの力を、貸してください!」

 

私の中の力である蝶も、きっと悲鳴をあげている。それでも最後に一度だけ、飛ばなければならない。ここまで温存をした飛翔の力を。私の身体に纏わせる聖力は、そのまま私の背に、煌々たる翅となって顕現する。

 

前方に飛ぶ。

ダルクに向けて。

ただ光の速さで飛ぶ。

この決着を付けるべく。

一直線に飛ぶ。

手も脚も動かない。

 

だから最後に当てる事ができるのは。

 

 

「……私の、石頭を!」

 

「…ひっ…!」

 

 

「…くらい、なさーーいっ!!」

 

 

ごづん。

 

鈍い音が鳴って、二人が倒れて。

そうしてから、私だけが立った。

どうです。昔から、これは私の自慢なんです。

 

 

「はぁっ、はぁっ、はあっ…

…しまった、嘘を、ついてしまいました…」

 

「…これじゃあ、全然ふんじばれてません…」

 

私はそう、うわごとを言ってから。

そのまま再び気を失って横倒れになりました。最後に残っている意識は、その時のダルクの、どこか安らかな寝顔。ただそれだけでした。

 

 

 

 

 

 

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