お労しや…
日本という国家は輸入無くして生活出来ない国である
水資源が豊富で周辺が海に囲まれ漁業も出来て、野菜の栽培や牧畜が可能ではあるが、それでも車や発電所を回す石油や一部の金属、海外から仕入れている日常生活品、日本の生産力では賄いきれない大豆やとうもろこし、そして一部フルーツ等は輸入で賄っている
狭くは無いとはいえ、一億以上の人口を有するこの国で、大量生産大量消費するには人手も土地も足りないので、輸入に頼らざるを得ない物が出てくる
もし、価格が高騰するかもしれない、輸入する国から物が届かない、という情報が世間に回った時、『オイルショック』でのトイレットペーパーの買い占め、某ウィルスによるマスクの買い占めのような事例がでるだろう
輸入出来なくなる、渋くなる原因は様々だが、我々の生活に何かしらの影響を受ける者が出るのは確かだ
ここ最近のニュースで取り上げられたのが『オレンジ』の不作による輸入量の低下である
「」
「クレちゃん…クレちゃん…駄目、反応が無い」
「まさか死んでないッスよね?生きてるッスよね?」
お昼休み
私、『ムラクモヒメ』は仲のいい三人組で食事を取りに食堂に来ています
トレセン学園が誇る食事提供量全国No.1の食堂にて、張り出された張り紙にはこう書かれてありました
〚オレンジジュース 品薄状態〛
〚週一回のみ(各ウマ娘につき一杯限定)に制限〛
食事を受け取るためのトレイを持ったまま立ち尽くすクレちゃんこと『クローバーレース』はオレンジジュースが大好きです
ファーストフード、ファミレス、ここの食堂での食事、自動販売機、トレーニングの水分補給でもオレンジジュースを求め、スポーツドリンクや水以外の飲み物を飲む姿を見たことがありません
この間オレンジジュースを頼まなかったら驚かれた、という愚痴を聞かされた時も偽物の可能性を少し疑いました
約2000名ものウマ娘の生徒たちのお腹を満たす、この大規模な食堂の食料の消費量は凄まじいものです。
通常でさえ成人男性よりも食べるとされるウマ娘、ましてやアスリートである私たちはこの比では無く、一部ウマ娘はそのウマ娘の何倍も食べる子も居ます
トラックいっぱいの食料を仕入れたとしても一ヵ月、いや一週間も持たないでしょう
それだけ消費するということは、それだけ需要が見込めるということ
つまりそれに応えれる供給先があるということ
前回は鳥インフルエンザによる卵の高騰化に伴い各地のスーパーや飲食店にて卵が消えましたが、この食堂では少ないながらも提供が行われました
(理事長が出資した養鶏場は無事だったからという噂もありました)
今回のオレンジジュースが週一回の提供で済んでいるのも、事前に消費量からの割り出しで、生産量が落ち込む前に大量に注文していたからこそでしょう
問題は、この節制生活がいつまで続くのか…
「えーと、えーと、ほら、人参ハンバーグの人参上げるッスよ!」
「アリガト…アーチャン」
アーちゃんこと『スピッツチアー』さんも必死にクレちゃんのメンタルケアに努めています
二人でなんとかクレちゃんを席に座らせ、無表情のまま食べ進める姿に痛ましく感じながらも、後の事はクレちゃんのトレーナーと、サブトレーナーに後を託すのでした
夜、私は『クローバーレース』の担当である
普段、クローバーレースのサブトレーナーである私に連絡をする事務連絡が殆どであるが、今回は珍しく自分から先に話を切り出した
『ありがとうございます。これで普段の練習も少しは持ち直せます』
「『気にしないでください。彼女が喜ぶなら嬉しいです』っと」
『今度のサポート依頼の時に来た時に渡して下さい』
「『わかりました。お仕事お疲れ様です』…しかしオレンジが不作とは」
オレンジ輸出国の不作によってオレンジジュースが品薄状態となり、トレセン学園でも供給が追いついてないと知って、備蓄していたオレンジジュースをクローバーレースに渡すことにした
後日、オレンジジュースを受け取った彼女は目を輝かせ、涙ぐみながら『結婚して下さい』と、言われたがやんわり流しておいた