突然だが私とクローバーレースは、トレセン学園が出資している人参農場に来ている
オレンジジュース事件により一時テンションが下がったクローバーレースだが、彼女から突如アプリを通して連絡が入り、トレーニング予定だった日を使って農作業の手伝いをすることになった
軍手と麦わら帽子が支給され、強くなり始めた日差しの元、人参収穫の手伝いを行っていく
トレセン学園に出荷するだけあって広大な面積を誇り、次々と籠いっぱいの人参が並んでいく
「〇〇さん、人参持っていくよ」
「あぁ、分かった」
私はひたすら人参を抜く作業をして、クローバーレースは抜く、入れる、運ぶを繰り返していた
その横顔は楽しそうには見えなかった
しかし、無理矢理やらされてる感じでも無かったので動きは機敏だった
農作業の手伝いは小学生の授業でやったぐらいで、改めて新鮮な気持ちで作業をすることが出来ていたが、しばらくすると腰が痛くなってしまった
「はい、麦茶貰ってきたよ」
「あぁ…ありがとう」
お昼休憩に入り、日陰で午後に向けての英気を養うべく座っていた私にクローバーレースがやって来た
丁度いいので今回の経緯を問うことにする
「急に農作業をしたいっていきなり何があったんだ?」
「…わたし、オレンジジュースが好きなんだよね」
「うむ、知ってる」
「輸入量が減って気軽に飲むことが出来なくなったよね?」
「…うむ」
「どうして?ってちょっと荒れたんだけどさ。でも、野菜やフルーツ作ってくれている人たちがさ、今大変な目に遭っているって知ったんだよね」
「…」
「作物が病気になって収入が少なくなったり、自然災害でそれどころじゃ無かったりね。普通に暮らしているだけでお金があれば簡単に欲しい物が手に入るなんて、とても恵まれていたんだなって」
「…確かに彼等にとって辛い時間だろう。その考えは大事なことだが、自分を追い込みすぎてないだろうか?」
「ううんうん、大丈夫」
そう言って彼女は人参畑の方を見た
「知りたかったから
向こうでは、採れた人参を出荷する物と出来ないものとを仕分けている人達がいる
大量の人参を一個一個確認して振り分けるのは骨が折れそうだが、素人の自分達では今日のトレセン学園の夕食に並ぶかもしれない人参の仕分けは手伝えない
「大丈夫。今わたしができる事は少ないけど」
そう言って彼女は私の方を見る
「いつか、誰かの不幸を蹴っ飛ばせる存在になりたい」
そう宣言した彼女はとても眩しかった