ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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暑さ対策は十分にしましょう
でないと精神力がやられて何も出来なくなります(1敗)


夏をどう過ごすかで周りに差ができる

 美少女を全面に出すソーシャルゲームにおいて、夏の必須要素となるのは水着ガチャである

肌の露出が増えた既存のキャラ達に目を奪われて、財布が軽くなってしまう人は数知れず

 本家【ウマ娘プリティーダービー】でも例外はなく様々な既存キャラが新たな勝負服として登場した

 

 が、【ウマ娘トレーニングサポーター】のアプリでは水着の要素はほぼ皆無であった

 

 各地の名産品や珍味、トレーニング機器や家電、日常生活に使う些細なものまでをアプリ上で購入してプレゼントでき、現実にある物で買えない物など無さそうだったこのアプリだが、センシティブな物は流石に対象外であった

 私服(割高)を購入してプレゼント出来るのに、どうして水着は買えないのか、という一部過激な層が居たが、学生である異性に運動用でない魅せる為の水着を贈るという行為が発生する可能性があるのは、ゲームだとしても憚られたようだ

(【ウマ娘トレーニングサポーター】にて写真を撮った際、贈った私服を着ている担当ウマ娘が低確率で映る事がある仕様上、海、プールでカメラを向けるという盗撮と見間違う行為を助長させかねないという理由もありそうだった)

 

 とにかく、【ウマ娘トレーニングサポーター】はウマ娘達を健全に育成するアプリであるため担当の水着は学校指定の水着なのである

 


 

 「三橋トレーナー、ここ可愛いの無いね」

「ここ学園指定のスポーツ用品店よ、そういうのは別売り場よ」

 

 空が高く感じられるほど澄んだ青空と大きく膨れ上がった白い入道雲、鳴り響く蝉の鳴き声、そして高温多湿な気候

 日本の夏がやってきた

 

 人間もウマ娘も等しく暑さ対策が必要であるのに、ここ最近の日本の夏は平然と気温30℃越えを叩き出すため、従来のトレーニング方法を毎年見直さなければならない

 短距離走者(スプリンター)のウマ娘はこの時期にレースが集中するので調整のために暑い外で走っていたが、仮想空間内で練習した事が肉体にも反映されるトンデモ機械、『メガドリームサポーター』がトレセン学園に実装された為、室内でも最終調整が行えるようになった

 まぁ、私のチーム(モサラー)には現在スプリンターが居ない上に直近のレース出走者も居ない為、最新機械を使う優先順位が高くない

 となるとお手軽な暑さ対策といえばプールトレーニングなのだが、〈本格化〉という成長期があるウマ娘達は衣類の新調が激しいのが通例

当然、水着も含まれる。そこでチーム全員で学園指定のウマ娘専門スポーツ用品店で水着その他トレーニング用品の新調に来ている

 

 「あ、あの、車を出していただき、ありがとうございます」

「良いのよ、此方も見返りは頂くんだし」

 

 私が担当している『クローバーレース』と仲の良い『ムラクモヒメ』がお礼を言いにきた

 この間メイクデビュー戦を行ったが、脚に痛みを感じ、競走中止

 大事には至ってないのでプールトレーニングから慣らそうとしたが、水着が合わなくなってしまったそうで、一緒に水着の購入に着いてきた

 本来なら彼女の担当トレーナーが付き添うべきだが、一人の為に時間を作ることが難しく、妻子持ちのおじさん(トレーナー)が年頃の女の子の水着の購入の付き添いは外聞が悪い、と、仕事をぶん投げられた

(チーム合同で夏合宿した時に、トレーナーとしての指導もして貰えるからこちらの方が得しているが)

 

 「うーん、どっちのデザインが可愛いかな?」

「プールトレーニング用だから実用性重視の方がいいと思うけど…」

「甘いよヒメちゃん!例え学園指定の練習用であったとしても、可愛さを完全に捨ててはいけない、何故ならわたし達には夏合宿があるから!」

「…!サブトレ同行の可能性…!」

「他にも外部プール施設での練習もあり得る!わたし達は常に見られる事を意識しなければならない!」

「ステージで歌って踊る者として、常日頃の身だしなみ、服装には気をつけるべし、トレセン学園の鉄則…!」

 

「そう、『カワイイ』は永遠に追い続ける夢!」

「ウマスタグラマー『Curren』さんのお言葉…クレちゃん、私、『カワイイ』を見失ってたよ!」

 

「茶番やってないで、さっさと決めなさい、もう他の子は欲しい物を決めてアイスクリーム屋に集合しに行ったわよ」

 時間にしてまだ十数分ぐらいしか経っていないが、試着も考えれば買い終えるが遅くなりそうなので急がせる

 言わないでおくが、夏合宿にサブトレーナーを同行させるのに相手側の都合を合わせる余裕がないので呼ぶ予定がない(資金も無い)

 

「ぅひゃぁぅ!ごめんなさいぃ!」

「待って待って!トレーナー、どっちがいい!?」

「そもそも学園内で使用するものだからデザインは統一の物よ?そっちは外で個人練習するウマ娘用だし」

 だからさっさと試着してサイズを決めなさい、と促して壁に寄り掛かった

 

 ウマ娘達にとって夏は多大な成長を見込める季節である

統計的にも証明され、トレセン学園も効率の良いトレーニングの為に夏合宿の施設にも力を入れている

 特にクラシック期が顕著で、春目立たなかったウマ娘が夏を経て、秋の重賞レースにて頭角を表す話など珍しくもない

 頭の中で彼女達の夏合宿のトレーニング内容を纏めながら、彼女達の買い物が終わるのを静かに待った

 

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