〚〇〇さん、故郷に帰るんですか?〛
[あぁ、久々に時間が取れたから両親に顔を出さないとな]
[お墓参りもなかなか出来ないから、行ける時に行きたいんだ]
〚そうなんですね!〛
〚わたしは今年は合宿で行けそうもないですね〛
〚お土産、待ってますね!〛
今年は珍しく、お盆にお休みが取れたので帰省することになった
【ウマ娘トレーニングサポーター】にて私が担当している『クローバーレース』も夏合宿中であるため、気兼ねなく家を留守にする
新幹線に乗って約三時間
そして降車駅から車で三十分程車で走って辿り着くのが目的地である我が故郷
道路が舗装されており自然というものが少ないが、さりとて人が多く集まることもないので都会とも言えず、少子化が深刻化しそうな町の一つである
(この町から離れた若者の一人である私が言えることでもないが)
お盆ということもあって、改札口の外側には出迎えの人達で溢れており、皆それぞれの家族の元へと歩いていく
切符を改札に投入し、いざ両親を探そうとした時、ふと違和感を感じた
改札口周辺の展示スペース
そこには地元の祭りに関する物や、特産品、伝統芸能、地元スポーツチームの情報等が展示されているが、その中の一つ
そこには質素ながらも細やかな刺繍が施された和服が飾られていた
展示物の説明文には要約すると
『この地より上京して婚礼するウマ娘の為に仕立てられた衣装』
と、記されていた
私の故郷は【 】の生産地の一つであった
そして、ここに置かれていたのは和服ではなく【 】を模した伝統工芸品の筈である
が、この世界は『ウマ娘』が存在する世界である
当然、四本脚で走るのが速くて角なんて無くて、移動や合戦にも重宝された動物を模した物など作られるわけがない
これは他にも色々と変化がありそうだな、と、心の中でため息を吐いた
「平然とウマ娘が車道を走っているのは心臓に悪いな」
「今更何を言ってるの、見慣れた光景じゃない」
自転車を追い抜くが如く、ウマ娘専用のレーンが無い道路を走るウマ娘を追い越していき、実家へと帰宅を果たした
道中車内で気になったのは、弓を持った学生(ウマ娘も含む)をよく見かけた事か
「今年も全国大会優勝は出来ず…いつも惜しい所には行くのにねぇ…」
「全国大会で入賞してるのも十分凄いと思うのだが」
地元にある何かしらの全国大会に出場する程の実力がある学校が身近になかっただろうか
私の実家付近の場合、弓道がいつも全国大会で好成績を収めていた
「今年の優勝校は大会前から取材が来るほどの盛り上がりっぷりでね、甲子園出場を決める大会やウマ娘のレースがある中、ライブ配信の視聴者数も過去最高って凄かったのよ」
「へぇ…それ程までに話題性が」
「何でも、名家である『キリュウイン』?って所のご親戚だとか。部員一人一人に根気強く指導しながら遅くまで自分の練習も勉強もするんだって」
「…へ、へぇ、キリュウインの親戚」
「代々、
数日分積まれた新聞の中に弓道の全国大会の記事が載った物があり、その中の優勝校へのインタビュー記事には、『憧れのお姉様と同じくウマ娘のトレーナーになりたい』と、人間とウマ娘に囲まれた部長の写真と彼女の言葉が載せられていた
子供の頃、お盆の時期に祖父母の家に置かれていた物といえば、割り箸を半分に折った物をキュウリとナスにそれぞれ四本ずつ、脚のように差して動物を表現した飾りが置かれていた
キュウリは【 】を、ナスは【牛】を表していて、ご先祖様方が早く来れるように__を、ご先祖様方が帰りに荷物を沢山詰めれるようにパワーのある牛を(ゆっくり帰れるようにという説も、牛がゆっくりこちらに来れるようにという行きと帰りが逆という説もある)置くことによって私達の元に帰ってくるとされている
では、ウマ娘の世界ではどうなっていたかというと
「ナスと…紙人形?」
祖父母の家(徒歩一分のお隣)に飾られていたのはナスの牛と紙の人形。しかも紙人形はウマ耳が付いていた
「?牛と牛飼いのウマ娘、毎年飾ってあるじゃ無い。ウマ娘が牛を引いてご先祖様方を送り迎えするのよ」
私の母より説明が入った、ありがたい
「…暫く目にしてなかったから懐かしくて」
「仕事が忙しいのは知っているから時間がある時はちゃんと顔を出しなさい、お父さんも喜ぶし」
「分かっているよ」
「後それといい人とか居ないの?そろそろ同級生で独り身なのも少なくなって……」
結婚云々の話は聞きたくない‼︎
〚勉強辛いです〜〛
〚慰めて下さい!〛
[気晴らしにゲームでもしよう]
[こちらも、いろいろと精神的に疲れてな]
[やり過ぎると怒られるから少しだけな]
〚実家に戻っても疲れることあるんですか?〛
[気にかけてくれるのは有り難い事なのだがな…]
家族でも触れてほしく無いところや気にかけてる事にはそっとして欲しいものだ