お詫びとして入ったファミレスにて、当然のように載ってあるウマ娘用のメニューと、その値段とボリューム、そして事も無げに完食するクローバーレースの姿に驚かされた休日が終われば仕事の日々である
いつかなくなってしまう(かもしれない)彼女の笑顔を少しでも長く見るべく、少しだけモチベーションの上がった業務に打ち込んでいたとある日のこと
『初めまして〇〇サブトレーナー。
クローバーレースのトレーナーの
電話に出た瞬間、聞こえてきた女性の声に背筋が凍った
二次元の存在であったクローバーレースが私の前に現れたのだ。
架空の存在であった(上司に当たる)トレーナーもこの世界に存在していてもおかしくはない
『先日のファミレスでの食事の件ですが…』
食事、と聞いて気づく
クローバーレースは学生であり『アスリート』だ
当然、日々のトレーニングもさることながら、適切な食事を取って身体づくりに気をつける必要がある
それなのに、知識もない肩書だけのサブトレーナーが好き勝手に食事を取らせたらどうなるか
三橋トレーナーの計画を狂わせたとして、サブトレーナーを変えるかもしれない
『マニーポイントでのお支払いで無かったので次回からはなるべくそちらでのお支払いをお願いしたいのですが…』
まにーぽいんと、とやらは何でございましょう?
アプリ【ウマ娘トレーニングサポーター】において、ウマ娘達に食事を上げることも成長に必要な要素である
消費したカロリーを補給、そして更なる筋肉の糧とすべく、トレーニングを終えたあとは必ずと言っていいほどアイテム欄から食べ物系の消費アイテムを使用することが推奨されている
(ボディビルダー兼ユーザー
また、ウマ娘達のやる気を上げるのにも使われるが、消費アイテムは膨大な数を誇り、現実にあるものは全て網羅していると言っても過言ではなかった
この膨大な数から各々のウマ娘の好みの物を渡さないといけないが、アイテム欄に担当が喜ぶもののマークがつくわけでもなく、最初は手当たり次第に与え、反応から好みを探ることから始まった
後にLane(ウマ娘とやり取りをするSNSという設定のもの)で直接聞けば普通に教えてくれたことが判明するというオチがついたが
(まぁウマ娘の中には自身の好みを教えず悩みつつも食事を選ぶユーザーを翻弄して『反応を楽しんだり』する娘もいたが)
これらの消費アイテム取得に必要なのが、日々のログインやミッションクリアで手に入る、本家【ウマ娘プリティーダービー】でもおなじみの『マニー』である
アプリのアイコンの顔役であるプリティーでダービーな彼女や芦毛のアイドルかつ怪物のように大量の食事を与えなければ、この『マニー』だけで日々の食事を賄える余裕がある。
どうやらこの『マニーポイント』というのはアプリでの『マニー』と捉えても良さそうだった
電子マネーのように扱い、アプリを使ってこの『マニー』で支払うことによって、サブトレーナーの経費として処理を行うと同時にウマ娘達が何を食べたかを把握する。
(学園からトレーナーに一定額支給され、さらにサブトレーナーに振り分けているという)
今回はクローバーレースがスマホで撮っていたものからポイントの消費が無いことが発覚して、私にお願いの電話をしたとのこと
ファミレスで届いた料理を撮っていたのを見て、SNSにアップするのは流石今どきの学生だな、と呑気に考えていたのが恥ずかしい
クローバーレースはアスリートの自覚をもって日々の食事を記録していたのである
『…これからも、クローバーレースをよろしくお願いします』
「いえ、こちらこそ…あぁいえ、微力ながらお力になれるように頑張ります」
どうやら担当を外されるというわけでは無いようだ
少し安心したが、電話を切ったあとに表示された通話時間と、私が今勤務中であることから起こる、この後の展開に震え上がった
「…まぁ、問題なさそうな人で良かったわ」
トレセン学園内の三橋トレーナーのトレーナー室。
チーム全体ミーティングが始まる前の担当全員が集まるまでの隙間時間。
備え付けのソファーには担当の一人であるクローバーレースがスマホを弄りながら座っている
「でしょ〜。AIによる検証で選ばれたって聞いたからちょっと不安だったけど、サブトレーナー制度を利用しているウマ娘からの不満がほとんどないって凄いよねぇ。流石三女神様」
「本物の三女神が実際に動かしているって説がいよいよ現実味を帯びてくるわね」
「メガドリームサポーター…だったかな?凄い技術よね、流石サトノ家」
「そうね、後スマホ見ながらニヤニヤしてるのは気持ち悪いわよ」
「ヒドっ!担当にそこまではっきり言う⁉」
むしろ担当だからじゃない、とため息混じりに言う
先日クローバーレースがスマホの待ち受け画面を変更していたのを見たが
トレーニングに支障が出ない限りはスルーすることにする