ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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去り行く夏、始まる秋

 季節限定という言葉に釣られることはないだろうか?

 

 春夏秋冬に様々な催し事がある日本にて、その季節の旬やイベントに関連のある料理がピックアップされる

 提供される期間を過ぎれば次は来年ということもあり、一回ぐらいは食べておかなきゃいけない気分が刺激されるのは私だけではないはずだ

 

 ハンバーガーに留まらず数多の飲食チェーン店などでは秋の名月にちなんで『月』を冠する商品を売り出し、更なる売り上げアップを狙っている

 

 近いうちに、今度はハロウィンに関するフェアが始まるだろう

食べるものに特にこだわりが少ない私は、職場の昼休みにてたまたま目に入ったハンバーガーのチェーン店にて、広告に流されるまま卵で作られた月を食すのであった

 


 

「えーでは、連絡事項です」

 

 全国から有力なウマ娘を集め、互いに刺激し合い、速さを追い求めライバルと高め合う、トレセン学園のとある教室の朝のホームルーム

 とあるクラスの担任である先生は、夏休み明けのまだ少し浮ついた空気が取れないウマ娘達に話し始めた

 

 「食堂のメニューにて『冷やし中華』が終了しましたので皆さんはスタッフに注文しないで下さい」

「そんなっ‼︎レースが終わったご褒美として食べようと思ったのに‼︎」

「横暴や‼︎ウチら生徒の意見をシカトすんなや‼︎」

「まだまだ暑いから夏。つまり冷やし中華は現役、証明終了」

「黙りなさい食いしん坊ども!生徒達の涙目に絆されて四方八方駆け巡ってメニュー外の料理をボロボロになりながらも用意する食堂スタッフが減らないのよっ!先月も料理長は『ウマ娘を満足させられないなら料理長の座を降りる』なんて言ってどうにか引き留める事態になってんのよ!(三ヶ月ぶり十四回目)」

「料理長のその行動も相変わらずだよね…」

「ウマ娘の食事に命どころか来世までかけてるよね」

「とにかくっ!本来終了しているのに伸ばしてたんだから決定事項です!メニュー外の料理については寮で作るか外に食べに行きなさい‼︎」

 

 

 各教室からも大なり小なり怒鳴り声やブーイングが起きる中、芦毛のウマ娘の『ムラクモヒメ』は隣に座る『セレーネグリマー』に話しかけた

 「ねぇ、グリちゃん…。どうしてゲートイン前みたいに気力が充実しているの?」

「ヒメちゃん、今日は購買部にて秋限定の『満月のチーズケーキ』が限定発売されるの」

「あ、うん。…そうだね。最高級品の材料で作られたケーキだよね?限定20個の」

「だから昼休みになったら開店前に最速最短で行けるようにシュミレートしてたの」

「その…誰かにぶつからないようにね」

 

 

 「それともう一つ!購買部の数量限定商品は試験的に先着順から抽選式になったので無理矢理買おうとしないように‼︎」

 

 

 「………」

「グリちゃん…グリちゃん⁈目のハイライトが…!」

「ところでムラクモヒメさん」

「急にフルネーム…⁈」

「貴方の知り合いに『クローバーレース』という、とても運のいいウマ娘がお知り合いだと伺っております」

「こ、怖いよ…正気に戻って…」

「そのウマ娘様にお力添えを頂くことは可能でしょうか?」

「ん…無理だと思う…よ」

「どうして…⁈」

「考えること、皆んな同じだからかな…」

 


 

ーーートレセン学園のとあるチームの部屋

 

 「おつかれさまでー三橋(みはし)とれーな」

「ちゃんとしっかり挨拶しなさい、『クローバーレース』」

「いやー、ちょっと疲れちゃって…」

「そんなの言い訳には…ってどうしたのその大量のお菓子は」

「…わたしは福の神とか伝説の賭博師でもないんですがねぇ…お供物されても効果無いって。あ、食べます?」

「遠慮しとくわ。他のメンバーもレース近いから薦めないようにね」

「んー、全部食べると【太り気味】になりそうだし…〇〇サブトレーナーの所に持っていこうかな」

 


 

 夏の暑さを残しつつも、蝉の鳴き声から変わって秋の虫の音色が響くとある休日、私は自宅近くの運動公園に来ていた

 

「おや、〇〇さん。貴方もトレーニング…お一人ですか?」

「そういう村中さんも担当の『ムラクモヒメ』が居ないようで…」

「ハハハ、妻に『食欲の秋とか言ってないで走れ』なんて言われましてねぇ。まぁ健康は足から、なんて聞きますし少し動こうと思ってね」

「私も昨日『クローバーレース』が大量のお菓子を持ってきましてね。貰い物の食べ物を無駄にするのも、担当を【太り気味】にするのも駄目ですし」

「秋は美味しいものが沢山ありますからな!お陰で妻もムラクモヒメに腕を奮って美味しいものを作るので、自分の体重が中々減らなくて困ったもんです!」

 

 ワハハ、と軽快に笑う【ウマ娘トレーニングサポーター】仲間の村中さん

 私も元々痩せ気味ではあったとは言え、確かに数字に表れた現実を受け止めて、一人より二人ということで村中さんも交えてランニングを開始した

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