ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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百の言葉より一睨み

 「先輩、相談があるんすが…」

 

 会社での昼休み直前、私の後輩から声をかけられた

 

「どうした?石川?」

「実は昨夜の事なんですけど…自分家に訪問営業が来ましてですね…?」

「…」

「その…最初は市の調査でーとか言ってたんですけど、その後から『今のままだと貴方は駄目なまま』、『変えるなら今がチャンス』、なんて言ってきて、怖くなってきたから帰ってほしいことを伝えたんですけど、『貴方のためを想って言っている』、『まずは話を聞いてほしい』ってしつこくて…帰っては貰えたんですけどまだ怖くって」

「石川」

「ハイッ!」

「キッパリ断れたんだよな?」

「ハ、ハイ!」

「…石川…」

「…っ」

 

 「よく…よく断った…!そしてよく相談した!」

「?!」

 

 「自宅に直接来る営業にはよく気をつけねばならない、一人だとその場では誰かに相談もできないし逃げ場が無いので、要らないのであれば自分の意志でしっかりと断らねばならない」

「は、はぁ」

「相手は営業のプロだ、どうしたら自分の話を聞いてもらえるか知り尽くしていると言ってもいい!一度玄関に入れるとズルズルと流される危険性がある」

「先輩?目が怖いですよ?」

「ましてや名刺を渡さない、見せただけの営業も注意だ。『ネットに変な事書き込まれても困る』、等と行ってくるが、書き込まれたのならば粛々と法に則って対応すればいいだけだ」

 

 「石川も、何かを買う時は複数の業者で見比べたりするだろう?選ぶ権利は客側にもある。後、『名刺が一枚しか無い』なんて言っていたら携帯で名刺の写真を取る許可を貰うんだ」

「「部長!」」

「写真を撮るときに、ずらしたりブレさせたり、会社名を指で隠すなどしたら赤信号だ。自分たちの事を覚えてもらいたい営業が、会社名と名前を覚えてもらう機会を自分から減らす等、言語道断!」

「な、なるほど」

 

 「悩んだら、とにかく相談!この程度、等と思わず自分では解らないことは誰かに聞く!それは他人に決断を任せるのではなく、自分で決断するための材料を揃える為のものだ」

「わ、ワカリマシタ!」

「良し!今日は私が奢ろう!〇〇、石川!行くぞ!」

「ありがとうございます、部長」

「ありがとうございます!部長!」

 


 

 社会人としての後輩の成長を感じられた週の休日

本日は【ウマ娘トレーニングサポーター】のサブトレーナーとして『クローバーレース』の練習を見る日…だったのだが

 

 「…ですので、我が社として今お勧めしている商品で御座います!」

 

 クローバーレースが来る日なので玄関の鍵を開けていたことが裏目に出てしまった

 来客に対して不用心に開けてしまい、こちらの切り出しに対しても、どこかの営業は強引に話を被せ、セールストークを展開していった

 

 幸にして待つ事以外やる事も無いので一通り話をさせたので、相手が聞く体制になってからお断りの文言を言い渡そうとした

 

 「申し訳ありませんが、興味ありませんし、来客の予定もあるので…」

「イエイエイエイエ、そんなお時間は取らせません!もしくは後日お伺いするという事でどの日がよろしいでしょうか?」

「ですから…」

 

 向こうも必死に喰らいつく

予想できたこととはいえ、少し辟易しながらも再度お断りをしようとしたのだが

 

 「こんにちは、少し、ヨロシイデショウカ?」

 

 予定時間よりも少し早い(いつも通りの)時間に来たクローバーレースが、営業の後ろから現れた

 

 「あぁ、初めまし…て」

「これから、わたし達は外に出なければならないので、オヒキトリオネガイデキマスカ?」

 

 そう言って営業にを睨みつけ、自身の耳を後ろに絞り、更には右足を何回も何回も、同じペースで掻いていた

 …心なしか、眼から蒼い焔が燃え上がったような錯覚がした

 

 「お忙しい所!大変申し訳ありませんでした‼︎では失礼致します!」

90度近いお辞儀を私にしたかと思うと、クローバーレースに対しても深くお辞儀をして駆け足で帰っていった

 

 「………」

「…おはよう、クローバーレース。まずは上がろうか」

 

 営業が走り去った方向を睨みつける彼女のメンタルをこれからの練習へと切り替えさせるべく、練習の時間を遅らせてでも今の出来事を忘れさせる作戦を取る

 

 

 部屋に上がった彼女は、出されたオレンジジュースに手をつける事なく、じっとこちらを見ていた

 

 

 私は興奮収まらぬ彼女の圧に対して、自然と正座をしていた

「…さっきの人は、迷惑をかけてたんだよね?」

「…いや、大人になればああいう事は良くあるから大した問題では無い」

「大きい小さいの問題じゃ無いよ?迷惑だったかどうかだよ?」

「…ハイ」

 

 「…ゴメンナサイ。〇〇さんは悪く無いよね」

先程までピンッと張っていたウマ耳がへにょり、と落ちる

「いや、クローバーレースが気にすることでは無い、此方が早々に帰らせればあの場面に出会わなくて済んだのだ、むしろ私が悠長に話を聞いていたのが悪かったのだ」

「それでも……」

「いやいや……」

 互いに謝罪合戦になり、数分ほど続けてようやく納まった。

 

 「ヨシ、少し遅れたが練習を始めるか」

「うん!あ、でもちょっと待って」

そう言って彼女は自分の荷物を漁り、練習用で使う蹄鉄の予備を一つ取り出した

 「はい、これ。玄関に飾ってね?」

「…?クローバーレース、コレは?」

「?蹄鉄だよ。あ、そろそろ替え時かなって思ってサイズの確認のために持ってたの」

「コレを、玄関に?」

 

 「そう!コレで怪しい人を追い払える魔除けになるの!」

 

 

 後日ネットで調べると、蹄鉄が玄関に飾っている家はウマ娘が関わっている事を示し、ウマ娘の嗅覚、聴覚、そして第六感によって邪な考えを持つ者を見抜き、遠ざける(もしくは蹴り飛ばす)として西洋にて人気の高かった飾りなのだそうだ




 迂闊にドアを開けてズルズルと話を聞いて、キッパリと断る言葉ですら数日もかけた投稿者がいるらしいですよ、私ですが

 二週間も更新無くて申し訳ありませんでした
仕事が忙しくて…あ、はい、言い訳して申し訳ありませんでした
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