【ウマ娘トレーニングサポーター】では【ウマ娘プリティーダービー】でも登場するレースで発動するスキルの取得が大変困難である
【ウマ娘トレーニングサポーター】開始時に決定されるウマ娘には、ある程度スキルを取得している
さらなるスキルを取得するにあたり、ポイントという概念が無く、我々ユーザーの行動によってプラスのスキルもマイナスのスキルも付与されるシステムなので、差し馬なのに『逃げ』限定のスキルを持ってきたりと狙ったスキルを取ることが出来ない
更には同じ行動をしていたのにユーザーごとに取得スキルに差が出たなどの情報もあり、一向に自分の担当にプラスにならなかった事に不満を抱える者も少なくなかった
しかし、この取得難易度を逆手に取り、「『右回り』取得の為にひたすらにクルクル回ってみた」、「『乗り換え上手』取得の為に、都心でひたすら乗り換えしてみた」、「『読解力』取得の為に、ひたすら長文読解の問題集を解いてみた」等、本家トレーナー如く、『閃いた』を再現できないか挑戦する配信者がユーザー間で話題となった
殆どがチャレンジ失敗となるなか、私の知る最新の動画では配信者のウマ娘に『努力家』のスキルが発現しており(【ウマ娘トレーニングサポーター】では取得者が少ないかなりのレアスキル)、トレンドにも載るほどの盛り上がりを見せた
私がサブトレーナーとして担当(している設定、だった)ウマ娘の『クローバーレース』が最初から持っていたスキルは二つであった
『マイペース』と『独占力』である
トレセン学園で近日行われる『
なる、はずなのだが
私のチームメンバーの今日の練習場所はというと
「次!センター!」
「オーライ、オーラ…やっぱり怖い!
「クローバーレース、私も経験無いからなんとも言えないわ」
トレーナー合同で、野球場にて金属バットで野球ボール(軟式)を飛ばして、野球の守備練習をしていた
事の発端は私が来たる聖蹄祭のライブ班の調整と、チームの練習内容を纏めていた時に
「三橋〜。野球しようぜ〜」
と、私の同僚トレーナー(男、偶に突飛な事をする天才様)がチーム部屋の窓を開けながら発したことから始まった
奇抜なトレーニングで私のチームの調子を落としたくなかったが、シニア期二人は引退とレース後の休暇中で不参加に対し、ジュニア期の一人と本格化前の二人(クローバーレースと、『スピッツチアー』)が乗り気になってしまったので渋々参加した次第だ
「ボール取って来たッス!自分が投げ返して良いッスか?!」
「待って待ってアーちゃん!今度こそちゃんとストライク返球してみせるから!」
「いえ、ここは先輩に譲るべきです。ワタクシに貸して下さい」
「いくらスノウ先輩でも譲りたくないです、私が!」
「いやいやいや、取ってきた自分が!」
「いえ!ワタクシが!」
「誰でもいいけど次の打球飛んでくるわよ」
「「「どうぞどうぞ」」」
「あんた達がやりたいって言って来たんでしょうが!!」
野球の知識がほぼ皆無な私達は来たボールをひたすら追いかける外野に押し込め…適正判断され配置された
「それでランナーが一塁に居るときにゲッツー、つまりダブルプレーを取りやすくするためにセカンドとショートは二塁ベースよりに立って…」
「ふむふむ」
「な、なるほど…」
私、『ムラクモヒメ』はルームメイトのグリちゃんこと『セレーナグリマー』に誘われて野球場で野球の守備練習をしています
ジュニア期の練習で絶対来るところでは無い筈ですが、何故か私の担当トレーナーさんからGoサインが出され困惑しました
「ファーストがバント処理のために前進するから空いた一塁はセカンドがベースカバーをしなくてはいけない。また、外野に飛んだら中継プレーをするために、状況に応じてサードかホームの間に立ってだな…」
今、野球に関する知識を教えているのは【ウマ娘トレーニングサポーター】の制度でお世話になっている村中さんです
子どものときに野球部に入っていて、ルールはもちろんの事、各ポジションの動きも頭に入っているとのことで、外野の守備練習中に教えて貰っています
「内野手って複雑な事してるんだね〜。世の野球少年は凄いなぁ」
「キャッチャーって、ずっとホームベース付近に居ると思ってた。…内野ゴロの度に一塁の後ろに走ってたなんて…」
「ランナーが何処に居るかによってまた変わるんだよね?それによって内野が立つポジションを前にしたり横にズレたり…センスが問われるね」
「バッターの特徴でまた変わる…事前の準備、対策も必要だなんて、知らなかった」
これがレースに役に立つのかは分かりません
ですがレースのことを忘れるほど、知らないことを知るのが楽しくてしかたありません
「ヒメちゃん、グリちゃん。水もってきた、きました」
「わ〜ありがとうナギト少年!いただきます!」
「あ、ありがとね、ナギトくん」
村中さんの息子さんであるナギトくんも練習のお手伝いをしてくれています
お休みでありながら、ボールを集めたり、水を配ったりと献身的です
野球自体に興味はそこまでないみたいですが、今日の練習の主催のトレーナーさんがバシバシ打っているのをチラチラ見ているので、心の何処かでは打ってみたいのだと思います
「んー、私も打ってみたくなったなぁ?頼んでみよっと」
と、言ってグリちゃんはホームベース周辺にて球拾いをしている自分のトレーナーの所に駆けてゆきました
「うーし、最後にバッティングだな!バッティングピッチャーはグリマーのトレーナーがやってくれるぜ!そこの坊主も打っていいぞ!」
「あ、ありがとうございます!」
「…!(サムズアップ)」
「イェーイ!待ってました」
「トレーナーカッコいいー!」
「ワタクシ、ホームラン打ちます!」
「自分も!自分も打つッス」
複雑な守備よりもボールをかっ飛ばす方がやはり面白そうに映るようで、嬉々としてバッターボックスに入るウマ娘達
淡々と投げ続けるグリマーのトレーナーに後を任せ、トレーナー同士の会話を始める
「まーた変な事思いついたわね?貴方のウマ娘、ずっとベースランニングしてたみたいだけど」
「次は左回りだからな!だが最初に野球やりたいって言ったのはあいつだぜ?俺はその案に乗っかっただけだ」
そう言って機械の如くど真ん中にボールを放り続ける彼を見やる
ブルータス、お前もか
お前も奇天烈練習発案者組か
「いやぁ、頼もしい後輩が出来てこりゃ負けらんないね」
「変な事する人間は一人でも充分すぎるのだけど」
これから巻き込まれる可能性が上がった事に辟易し、抗議の意味も兼ねて聞こえるように溜息をついた
〔…だから次はバッティングセンターに行ってリベンジしようかなーって〕
「ウマ娘の力でもホームランは簡単じゃ無いんだね」
夜、クローバーレースとLane(『ウマ娘』世界でのトークアプリ)で会話しつつ将棋をしていた
野球(何故…?)の練習の日は仕事であった為、参加できなかった埋め合わせな為である
〔…それで…ふらい?を取る練習もしたけど…どんどんボールが近づいてくるのが怖くて…〕
「初めての事は何でも恐ろしくなるものだよ、それより『美濃囲い』なんていつ覚えたの?」
〔運だけで勝ってきた!なんて評価を覆す為に覚えてきました〕
「…うん…じゃあ明確な弱点も覚えようか、『王手』」
〔…?桂馬…?こんなの歩兵で取れば、取れば…?あれ、取れないんですけど〕
「角が睨みを聞かせてるからね…」
その数分後、再戦を要求するクローバーレースを振り切り明日に備えて眠るのであった