最近のゲームでは自身の誕生日を設定していると、そのゲーム内のキャラからプレーヤーの誕生日をお祝いしてくれる
【ウマ娘プリティーダービー】は言わずもがな、派生アプリ【ウマ娘トレーニングサポーター】でも自分の担当するウマ娘からLANE(アプリ内のウマ娘とやり取りするSNSという設定、だったもの)よりお祝いの言葉やアイテムが届く
内容も大まかな傾向はあれど、各々の担当から貰ったプレゼントが違ったり、同じ言葉を返してもそれぞれ反応が違うなど『一つとして同じ内容』は無かった
私は去年、何を貰っていただろうか?
【ウマ娘トレーニングサポーター】のアプリ内の持ち物欄は消えてしまったので、確認することは出来ない
「こんなの買っていたか…?」
朝、布団から出るのも億劫になるほど寒くなった12月
『この世界』に移ってから約七ヶ月、そして一年の最後の月となり、冷たい風に対抗すべく防寒着の類を引っ張り出していたが、見覚えのない赤いマフラーを発見した
広げてみると模様も無い、比較的新しい真っ赤なマフラーである
確実に言えるが、普段から寒色を好む私では買おうとは思わない
元々使っていたマフラーを探したのだが、長らく使っていて随分とくたびれたので、冬の終わりに丁重にお別れをしたのを思い出したので、赤いマフラーを使い始める事にした
「お仕事お疲れ様です!〇〇さん!」
日中に【ウマ娘トレーニングサポーター】内のLANEに通知が入った
今日少しでも会えないかという問いに、会う場所やら帰る時間やらを吟味した結果、互いの最寄駅から路線が合流する駅にて私の担当である『クローバーレース』と会う事になった
「待たせてすまない、取り敢えず近場のコーヒーショップにでも入ろうか」
「はいっ‼︎」
トレセン学園の制服にブラウンの飾り気のないシンプルなコート、そして赤いマフラーを身につけた彼女を伴って店内に入った
「今週末でも良かったのだがな」
冷えた身体を暖房と熱いコーヒーで温めながら向かいのクローバーレースに話しかけた
「ダメですよ!こういうのは当日やる事に意味があるんです!」
カフェオレ(流石に冷たいオレンジジュースは止めたようだ)をちびちび飲んでいた彼女は店内に迷惑がかからない程度で声を上げる
「学生からプレゼントを貰う社会人というのもな…」
「お世話になっている人にプレゼントを贈るのに年齢は関係無いんです!と言うわけでコレをどうぞ!」
そう言って鞄から紙の包装にリボンのシールが貼られた荷物を取り出した
「ハッピーバースデーです!」
今日無理矢理時間を作って会おうとした理由
それは今日が私の誕生日だったから
成人してから長い間、面と向かって誕生日を祝われる事など久しぶりでこそばゆい
「ん…ありがとう」
「ふふっ、照れてるんですか?」
「あんまり揶揄わないでくれ」
「まー許してあげましょう」
顔を合わせられないのを誤魔化すために渡されたプレゼントの中身に集中する
中に入っていたのはスポーツ用のインナーが上下合わせて複数枚
「中身はあんまり可愛くないんですけどねぇ…」
あはは、乾いた笑いをするクローバーレース
「いや、今後も運動するにあたって替えが増えたのは嬉しい。ありがたく使わせてもらおう」
「いやー喜んで貰えて何よりです………(もうちょっと時間があれば良いの買えたのに)」
「…?」
小声で何かを呟いたようだが、聞き取ることは出来なかった
「それでは気をつけて帰るように」
コーヒーショップから退店し、互いの帰路へと向かう
外に出ると冬の寒さが主張を始めたのでマフラーをキツめに締め直した
「〇〇さんもね…あ、あと最後に」
駅の改札を通り抜ける前にクローバーレースが私の前に躍り出て私の顔を見つめる
「お揃いで買った赤いマフラー、似合ってますよ」