アプリ【ウマ娘トレーニングサポーター】では本家のアプリと同じようにウマ娘にステータスが5種存在している
〈スピード〉〈スタミナ〉〈パワー〉〈根性〉〈賢さ〉である
【ウマ娘トレーニングサポーター】において、これらのステータスを上げるにはユーザー自身が、ランニング、筋トレ等をする必要があるが
賢さを上げるには運動系統の作業ではポイントが貯まらない
少し横道に逸れて、本家アプリにて賢さを上げる〈賢さ〉トレーニングは
勉強、読書、クイズ、早押しクイズ、ビデオ研究、そして将棋である
【ウマ娘トレーニングサポーター】にて採用されたのが
アプリ内にて遊べる将棋やオセロなどのテーブルゲーム、トランプなどを使用したカードゲームその他多数のゲームを担当ウマ娘と遊ぶことで上昇する
有名所のゲームが網羅されているが、将棋以外はそれぞれのゲームに課金しないと遊べない仕様となっている
(とても良心的値段設定だが、担当ウマ娘が『実際に相手』する設定からか、難易度設定は行えない)
もちろん、夜遅くまで遊んでいると上司のトレーナーに注意される上に、担当ウマ娘がバットステータス、〈夜ふかし気味〉がついてしまうという細かさまである
しかし、ゲームによる〈賢さ〉トレーニングは運動系のトレーニングとは別に計算されるので、ゲームから運動系(逆もしかり)と連続してトレーニングを行うことによるポイントの獲得効率減少が起こらない
スキマ時間に担当ウマ娘とゲームをし、まとまった時間にランニング、筋トレをするのがこのアプリのルーティーンである
明日の週一のランニングに備え夜のうちにある程度準備していた時
上司の
翌朝、トレーニング開始時刻に私の家に訪れたクローバーレースは王道パズルゲーム(4つ揃えるパズルと一列揃えるパズルが一つにまとまったゲームのアレ)で私と対戦をしている
「そんな…どうして?なんで連鎖してくれないの⁉」
「右にただただ積み上げた運任せには負けないよ」
「ヒメちゃんにアドバイス貰ったのに…なんてざまなの⁉」
(全然覚えてくれなくて簡単にできる方法しか叩き込めなかった、ではないと信じたい)
多少の心得がある程度の私でも勝ち続けているのだ
このパズルゲームに関してはまだまだ難しいみたいだ
「あー!!負けたぁ〜!」
「…クローバーレース、負けた時の約束、覚えているよね…?」
「うぅ…覚悟は出来ています…」
この後クローバーレース自身に起こる事を想像したのか
今にも泣き出しそうな表情になり、少しだけ苛めたくなる感情が沸き起こった
「クローバーレース」
「…はい」
彼女の肩に両手を置く
「学校の勉強、頑張ろうか」
現在、〈賢さ〉トレーニングという名の学力向上作戦は難航中なのである
ウマ娘のサブトレーナーとしての知識も無ければ教員資格なぞ無い私ではあるが、クローバーレースが解いた問題集を赤ペンチェック、そして付属の解説書を使って間違った箇所の説明をするぐらいは出来た
が、一応大学卒の私なのだが卒業して5年も経ってしまえば中学高校の内容はうろ覚えになり、力になれているかは怪しいものである
(歴史に関しては無力である、例を上げるなら長篠の戦い。世界が変わっても変わることのない数学に安心できる日が来ようとは)
それでもどうにか息抜きを挟みつつも亀の歩みのような勉強を進めていた
「はい、オレンジジュース」
「…ありがとうごじゃいまひゅ」
好物のオレンジジュースでも回復しきれないほどモチベーションが落ちたクローバーレース
真面目な性格ではあるのだが、勉強に関しては年相応(個人的主観)な反応を見せる姿を見て、学生時代、自分も苦労したなと感傷に浸った
「〇〇さぁん…〇〇さぶとれぇーなぁー」
「息抜きはまだ駄目だよ」
「…ならぁ、頑張ったらご褒美くれません?」
「ご褒美ねぇ…」
ご褒美でやる気を引き出す方法は簡単に効果が出るが、その後も都度ご褒美を要求されることになるので難しいものである
ここで了承したことによって要求がエスカレートするのはよろしくない
「…ならババ抜きで私が勝ったら勉強頑張ったご褒美をくれませんか?」
「…負けたら即刻勉強再開な」
「!…わたし勝ちますからね!」
息抜きしたい口実でもあるかもしれないし、負けたらご褒美を要求されるリスクもあるが
ババ抜きであるならば高い勝算がある
クローバーレースは表情が顔に出やすいのだ
実直な性格ではその表情を使って相手を騙す技術を持ち合わせていることも考えにくい
二人でやるのならば初期枚数も多くなく程よい時間で終わるだろう
息抜きには丁度いい
私はトランプを取り出し、よく切ってから配り始めた
配り終えたらペアとなったカードを場に出していく
二人に配っただけあって枚数も多いが、手札も順調に減っていく
そして手札にはジョーカー1枚だけが残った
「−−−−−−っえ?」
「はい、わたしの勝ちです!」
見ればクローバーレースの手元には1枚も残っていない
一度も手札を引き合うことなく終わった
敗因が自分にカードを配り始めた事という、予想など出来ない負けとなって理解が未だに追いつかない
「ご褒美は…後日内容をご連絡しますね!」
さぁ頑張るぞーっと言って問題集に取り組み始めた彼女には笑顔が戻ってはいたが
その笑顔を心の底から喜べない私がそこに居た