ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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お菓子に願いを込めて

 

 二月の日本の行事として大衆に認知されているのが節分、そしてバレンタインデー

例によって多くのソーシャルゲーム、特に女の子が登場するゲームでは絶対に取り上げられるバレンタインデーは、ウマ娘の世界でも当然浸透しているものである

 

 本家アプリ【ウマ娘プリティーダービー】でも、お菓子作りしたり、カフェを開いたり、ホーム画面でウマ娘からそのキャラにあったチョコレートをプレゼントされたりと、毎年各キャラの掘り下げにも繋がる

 

 【ウマ娘トレーニングサポーター】では、走った距離や筋トレ、ミニゲームでの成績の他、ケーキやスイーツが並ぶお店に行くとバレンタイン関連の材料や道具が手に入り、それらのアイテムを消費すると自分の担当からチョコが貰えるイベントが発生した

 不器用ながらもチョコを溶かしたものや手の込んだお菓子、変わり種で和菓子や普通の料理とレパートリーが広く、各々贈られたチョコ(もしくはプレゼント)の画像をスクリーンショットでアップして比べあっていた

(似たような物はあれど、画像の重複は無いと言えるほど種類が多く、『担当ウマ娘が作ったから全員違う物』なんて憶測も飛び交った)

 

 

 お菓子屋、デパート、コンビニ等、豆や恵方巻きが並んだ節分のイベントが終われば、ブランド物のチョコレートが並び、ハートの飾りや(くれない)、赤、茶色等のチョコを連想させる広告が増え、手作りのお菓子の作り方を教える動画が流行り出す

 

 自分の大切な人への感謝の気持ちや親しくなりたい人への想いが飛び交うこの季節

 しかし、大学を卒業して碌に異性との関わりが無い私には縁のない行事であった

 

 


 

 

 ここはウマ娘の中の実力者が集うトレセン学園

日々、日本各地で行われるレースに勝利すべくトレーニングに明け暮れる様子が見られるが、『学生』としての本分もしっかりと内包している

 つまり…

 

 「期末試験…滅びろ」

「いや、ほら?ウチら確かに成績良くないけどさー、土日まで拘束される程ではないはずジャン?それに姉貴の応援行きたいしー?」

「人には向き不向きがあるんです。アタシなりに頑張ってはいるけどほら、ウマ娘としてトレーニングも大事だと思います」

「わたしは【ウマ娘トレーニングサポーター】でお世話になっている所で勉強するんで…」

 

 「「「「それに期末までまだ時間あるし」」」」

「小テストで赤点取ったら補習、変更しませんよ?」

 

 学業である

 

 

 「課題分提出したら終わりなのだから手を動かしなさい」

「…古文なんて、専門家を目指す人だけが学べばいいはず…」

「いやー、今の時代自動翻訳アプリあるから〜、英語頑張らなくても良くないー?」

「数学なのにどうして文章を読み解かなきゃいけないの?」

「ひぃん…歴史なんて、いつ役に立つんですか」

 

 「もう一度勉強の大切さを頭に叩き込んで上げましょうか」

「「「「いえ、大丈夫です」」」」

「では、終わったら職員室に提出してくださいね?」

 

 


 

 

「ところでー、レーちゃんとこのさ〜、トレーナー何だけどー」

三橋(みはし)トレーナーの事…?」

「あの人ー、ウチのトレーナーのこと、どう思ってるん?」

「なになに!?トレーナー同士の恋?!」

「いや…これはトレウマの気配…!」

 

 きゃぁ!と盛り上がる二人

わたしは三橋トレーナーと同期で、質問してきた彼女のチームを纏める男性トレーナーとの普段のやり取りを思い出す

 

 「………遠慮のない、幼馴染?」

「そうだよね~、なんか、距離感近いよね~」

「で、アンタはどうなの?!」

「正直に、話すがいい…!!」

「いや〜、悪くないと思うよ?でもまぁウチは義兄でも良いかなって?」

「あぁもしかして、雪合戦したときに、腕組んで連行していった…」

「そーそー、姉妹揃って面倒見てくれてるんだけどさ〜、姉貴がちょっと、ガチ目のね、チョコ渡そうとしてるんだけどね~」

 

 チョコ、という単語に再びきゃぁ!と声を出す二人

それに構わず話を続ける妹ちゃん

 

 「あのトレーナーさ、料理うまいじゃん?」

「ソウダネ。ネコガオソッテコナイシ」

「それは普通でしょうに…」

「だから〜、あのトレーナー、どう思っているのかなって?」

「じゃぁ聞いてみるね?」

「え?直接聞くの?!」

「待った…!やぶ蛇…!無自覚に好意があって恋心を呼び起こすかもしれない…!」

 

 この後、恋バナ(?)が盛り上がりまくって勉強が進まず、様子を見に来た先生に怒られた

 

 


 

 

 「やぁやぁやぁ急に連れ出してゴメンねぇ?どうしても『クローバーレース』、キミに興味があってねぇ」

「…何故、調理器具が並べられているんですか?」

 

課題提出が終わって帰ろうとした所、突然灰色のパーカーの上に白衣を着たウマ娘に手を引かれ、トレセン学園のサポート科へと連れてこられた

 

 「僕の主な研究はぁ『ウマソウル』に関する研究でねぇ、普段は誰かの研究の補助でお茶を濁して空いた時間で『ウマソウル』についてデータを取っているのだけど、あぁ『ウマソウル』について一応説明しておこうか、僕たちウマ娘一人一人に宿るとされている、『ソウル』という名の通り魂という形に出来ない何かが僕たちの中にあるとしていて、初めて会ったのに相手ウマ娘と意気投合したり、逆にライバル判定したり、特定の食べ物に執着しやすくなったり、特定のレースで普段出したことのない爆発的な脚力を発揮したり、そう!何故ウマ娘はレースに惹かれるのか!?何故僕たちの身体を破壊してしまうほどの力をレースで発揮しようとするのか!?それらはコントロールできる物なのか!?偶然だとか運命だとかジンクスだとかではなく科学的に『ウマソウル』と言うものをアプローチ出来ないかと考えているんだ!!」

「は、はぁ…」

 

 早口で捲し立てられ、話の半分も聞けなかった

分かったのは、『ウマソウル』について研究をしていることだけである

 

 「それで…なんで料理何ですか…?」

「いやぁ、君は『何故か』料理をしようとすると、猫が来るんだろう?」

「…ソーデスネ」

 

 あの日〇〇さんに用意したレトルトだとか、カップ麺ならば何も起きなかった

何故料理するときだけ…

 

 「『ウマソウル』について調べるとねぇ、特定の動物に好かれたり、嫌われたりするのも関係しているかと睨んでているのだが、データが足りなくてね?そんな時君の話を聞いてそれほどまでに極端なレアケース、是非とも調べさせて欲しくて…」

「でも、わたし料理は禁止で…」

「…ほんとに禁止するほどかい?」

「え、でも、猫が…」

「あぁ、三回とも猫がやってきた。だがここはトレセン学園だよ?理事長が愛猫家なのは有名で学園内に猫が入りやすいとも言える、それに知りたくないかね?『たった』三回同じことが起きたからと言って、それこそただの偶然だったのかもしれない。今後何千回と料理する機会があるのにそれら全てに猫が来る可能性の方が少ないのにも関わらず確かめもしないで禁止させ、成長や改善の機会を奪うなんて…あんまりだと僕は思うね」

「なる、ほど?」

「だから、ハッキリさせようじゃないか、偶然かどうか、今ここで。何、責任は僕が取ろう。チョコレート、あげたいんだろう?」

「やりまぁす!」

 

 

 「ふ、ふふふ!出来ましたよ!野菜の大きさがバラバラだとはいえ、市販の物を使ったとはいえ!焼きそばを作り上げましたよ!」

「…おめでとう、これで君は猫からの呪縛から解き放たれた」

「ありがとうございます!えぇっと…」

「『ナインティメモリー』さ、良ければまた僕の研究を手伝ってもらえると助かる」

「ハイ、ありがとうございました!!メモリーさん!」

 

 わたしは無事に料理を作り上げた事を報告し、寮長やトレーナーから禁止令の取り下げをお願いすべく駆け出す

 

 「フゥン?本当に偶然だったのか。それとも猫のルートを封鎖しすぎたか?まぁ、ご飯が出来たし次回の協力も取り付けられたから良しとするか」

 

 

 

 

 「へぇ…サポート科で料理が出来た、と」

「ハイ!寮長!なのでキッチンの使用許可を!」

「…まぁ、テストしてからだな。今から夕食の準備をするからエプロンの準備をしな!」

「わかりました!」

 

 「ドウシテ…ドウシテ…」

「あー、その、な?アンタは悪くないから元気出しな?(…撫でたい、でも時間が…)」

 

 料理に使う牛乳を手にした途端、足元に猫が群がり、動くに動けなくて手伝いを断念しました

どうして…?

 

 

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