ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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春のファン感謝祭

 トレセン学園のファン感謝祭

春と秋の二回行われる学園行事、秋は世間で言うところの『文化祭』にあたり、そして春は所謂『体育祭』に相当する

 

 私は【ウマ娘トレーニングサポーター】でサブトレーナーとして補佐する『クローバーレース』の応援する為に、超高倍率となった感謝祭入場券の熾烈な争いを『関係者』枠で悠々と通り抜け、人で溢れかえる学園内にやってきた

 

 

 トレセン学園にはおよそ二千名ものウマ娘が所属している

全生徒が何かしらの競技に出るわけではなく、握手会やトークショーにライブ(主にシニア期でレースが近いウマ娘がメイン)、教室を利用してカフェや占い屋などを開くウマ娘もいて、運動一辺倒というわけでは無いようだ

 

 園内の様々なブースで開かれるお店やイベントの情報や、ウマ娘が練習場やグラウンドで行う各時間帯でのスポーツの情報やそのルールに見どころや注目ウマ娘など、薄い本並の厚さで作られた冊子を開き、気になった部分をクローバーレースと回る事にした

 

 


 

 

 「『メガドリームサポーター』体験会の抽選会場はこちらでーす‼︎」

「抽選券は一人一枚まででーす!ご了承下さーい!」

 

「…すごい人の数」

「これは倍率高いなぁ…」

 

 今日はお父さんとお母さんと一緒にファン感謝祭の競技にでる『ムラクモヒメ(ヒメちゃん)』の応援に来ました

ヒメちゃんが午後の競技に出るまでの間、それまでの空き時間をつぶすためにお父さんが『メガドリームサポーター』を使ってみたいと言って会場に着いたまでは良かったけれど…

 

 「貴方、流石にこれは無理じゃない?」

「そうかもねぇ…すみません、体験会の今の倍率お聞きして良いですか?」

「ハイ!ちょっと待って下さい…ただいま五百倍ほどですね」

「ご?五百倍?」

「ハイ!希望者に対して体験できるのが20名ほどしか確保出来ず申し訳ありません」

「…お父さん、少し早いけど屋台を見て見たい」

「…そうだねぇ…」

「抽選結果は引換券に付いてあるQRコードで発表してますのでご確認下さいね?」

 

 


 

 

 「折角サブトレーナーの特権でトレセン学園に入れるのに映像だけでいいんスか?」

[良いんだよ!こんな人がごった返した場所になんざ居られるか!]

 

 半袖短パンの運動着に黒い学ランを羽織り、左腕に『風紀委員』の腕章をつけた小柄ウマ娘が一人学園を歩きながら喋っている

 彼女の頭上周辺をカメラ付きのドローンが追随して、何処かと通信をしながら動いているようだ

 

 「しっかし、よく許可取れたっスよね?自分の見回り中の様子を配信だなんて」

[直接映像を流すんじゃなくて我輩が見た内容を実況するだけだから通ったんだよ。競技中の様子だけは撮影OKが出たしな。しっかし広いなトレセン学園]

「そりゃあ!日本一のアスリート養成校っスからね!」

[流石お金持ってる所は違うなぁ…ん、おい、手ぇ振られてるぞ、ホラそこ三人家族の男の子]

「おや村…危ない音声はリアル配信だったッス、ちょっとミュートお願いしますね」

[はいはい…OKだ]

 

 「お久しぶりッスね!ナギト君、少し大きくなったッスね‼︎」

「こんにちは、『スピッツチアー(アーちゃん)』。大きく、なったかな」

「なったスよ!…自分と比較するとすぐ分かりやすいっスから…」

「何言ってるのよ!『カッコイイ』人ってのは心意気が『カッコイイ』のよ!小さいからって萎縮しないで胸を張りなさい!」

「そ、そうスかね?」

「アーちゃんのその、学らん?ていうの?カッコイイよ」

「よく分かってますねぇ…エヘヘ///」

「(可愛い)」「(かわいい)」「(可愛いねぇ)」

[おいスピッツチアー(駄犬)我輩には聞こえているからな、会話には気を付けろ]

 

 


 

 

 「お疲れ様です!『クローバーレース(レース先輩)』!」

「初ライブお疲れ様!『ペチュニアガール|(チュニちゃん)』」

「ライブ、といってもバックダンサーですけどね」

「トレセン学園に入ったばかりの子は大体バックダンサーでまず人前で踊る事に慣らすって方針だからね。むしろ何かしらの競技に出てる方がレアケースというか」

 

 「何にせよ、やるべき事は終わったので自由時間ですっ!先輩の実行委員会のお手伝いはまだ有るんですか?」

「わたしはこれから上がって【ウマ娘トレーニングサポーター】でお世話になってる〇〇さんに会いに行くつもり。チュニちゃんは?」

「『こすぷれ☆すてーくすりれー』に寮長が出るらしいんで応援しに行く予定です!」

「え、そうだったの?どうしよう集合場所練習場にしようかな…」

 

 


 

 

 「問題っ!」

司会の人が喋り終わるのと同時に『デデンッ』と短い効果音が鳴り響き、周囲は静まり返る

 

 「トレセン学園周辺半径3㎞にある『ラーメン屋』…三つ答えよ、はいスタート!」

「せりゃあああっ‼︎」

「ああっもう!流石に速い…!」

 

 私、『ムラクモヒメ』はファン感謝祭でペアクイズ大会の競技に参加しています

このクイズ大会は、解答権を得るためには目の前で行われているエアロバイクで一定距離を走らなければいけない、とか腹筋を二十回する、など、ペアで交代交代課題をクリアしなければいけません

 

「「む〜り〜」」

「シャアッ!頼んだ!」

「解答権を得たのは『トルククロール』と『ハヤテイチモンジ』ペア!クロールさん、解答をどうぞ!」

「『白薔薇苑』『バベル』『地獄谷』!」

「せいかーい!クロハヤペア、10ポイントです」

「因みにそれぞれかのトリプルティアラも認めたローズの名を冠するニンニクマシマシのラーメン、その名の通り高く積み上げられたチャーシューの塔のラーメン、代謝をあげまくって太り気味すら治す超激辛ラーメンが有名です」

「解説ありがとうございまーす『ネオメタバース』さん!あ、司会は『アオバマル』ですよろしくお願いしまーす☆」

「挨拶は大事、古事記にも書かれている。『ネオメタバース』です。え、なんでクイズの途中に挨拶したかって?読者に描写されるポイントがここだからです」

 

 司会と解説の掛け合いを無視して私はペアとなったクラスの子と作戦会議をする

「無理!身体能力じゃ負ける!」

「…まず息整えて、それに向こうはスタミナ消費が激しいし、その、『ハヤテイチモンジ(ハヤちゃん)』はクイズ苦手だし。勝機はあるよ」

「解答権がハヤテちゃんの今がチャンスかぁ…ヒメちゃんお願いね!」

「…うん!」

 

 

 「問題!」

『デデンッ』と効果音が鳴る

エアロバイクに跨り息を整える

 

「五角形を英語でなんて言うでしょう?さぁスタート!」

 

 問題文が出るとともにエアロバイクを漕ぎ出す

「…っ‼︎」

「舐めるなっ!」

「私達だって…!」

 

 『トルククロール(ルクちゃん)』と他のチームの競技者も漕ぎ出した

「…っ…っ‼︎」

「…っく…‼︎」

「さぁ!誰がいち早く解答権を得るのか!」

 

 必死にペダルを漕ぐ

漕いで漕いで漕いで漕いで…

それでも解答権を得た事を示す音が鳴り響いたのは私たちではありませんでした

 

 「デットヒートを制したのはまたもやクロハヤペア!さぁ解答をどうぞっ!」

「はぁっ…はぁ…頼むぞハヤテ」

「任せて!」

 

 回答者席に居るハヤちゃんは自信を漲らせ、堂々と答えます

 

 「ヘキサゴン‼︎

  「違いまーす‼︎2番目のモモヒメペアに回答権が移ります!」

  あれぇ⁈」

「えっ⁈あっ?ハイ!ペンタゴンです!」

「せいかーい!」

 

 エアロバイクでの勝負には負けましたが、なんとかポイントはゲットしました

向こうでは間違えたハヤちゃんのほっぺをクルちゃんが両手で引っ張り上げています

 司会がクルちゃん達を弄っているうちに、観客席にいる村中さん達を見ます

この前のレースでも観にきてくれた、【ウマ娘トレーニングサポーター】のサブトレーナーであり、家族のように接してくれたもう一つの大切な人達

 …このまま良いところ無し、なんて、絶対に嫌です

 

 「ヒメちゃーん…なんか眼に、蒼い炎、宿ってない?変な薬とか飲んだ?」

 

 さぁ、次、いきましょうか

 

 


 

 

 「まさか、食堂で村中さん達と会えるとはな」

「びっくりしましたね」

 

 昼過ぎ、クローバーレースとその後輩と一緒に『こすぷれ☆すてーくすりれー』を見届けた後、後輩と別れ来訪客でごった返す食堂で【ウマ娘トレーニングサポーター】仲間である村中さん家族とムラクモヒメと出会った

 お互いに見て回った競技の話をし、また、『メガドリームサポーター』の体験会の人気さの話になり、興味を持ったクローバーレースが触った引換券が当選したりと話題が尽きなかった

 

 再びクローバーレースと2人きりになり、今は彼女の先輩がいるブースへと歩いている

 

 「やぁやぁやぁ、見にきてくれたのかい!」

「おっす、態々ここに来なくても良かっただろうに…」

 

 辿り着いた場所で二人のウマ娘に真反対な対応をされる

サポート課のブースに居たのは『ナインティメモリー』と『ゲートスラッシュ』の二人だ。二人とも白衣を着ている

 

 「お疲れ様です!シュシュ先輩!メモリー先輩!」

「おう、お疲れ」

「君も見回りお疲れ様。という訳で一杯どうだい?」

「ありがとうございます!」

「ここのは安全が確認されてるとはいえサポート課からの差し入れを躊躇いもなく口にするなよ危ないだろ」

 

 ナインティメモリーから差し出された使い捨てのプラスチックのコップに入った謎の液体を止める暇もなくクローバーレース(彼女)は飲み干した

すると彼女の両目から蒼い炎が出現し揺らめいた

 

 「ふむ…本格化前の子達と比べてやや小さい…か…いまだ成長途中だからか精神的な幼さか、いやレース直前だとまた変わるのか…今度は模擬レース前に…」

「あーブツブツ言ってるコイツは無視していい、一時間もすりゃあ元に戻るだろう」

「〇〇さん、どうですか!コレ!」

「そう…だな…それで走ったら映えそうかな」

「ですよね!」

 感想を求められて回答に困ったが、褒める言葉(?)で正解だったようだ

 

 

 「ところでここは何のブースですか?」

「知らずに来たのかよ…ウマ娘の遺伝子に反応して眼が発光するドリンクを無料で配ってんだよ。子供には大人気だからな」

 私達の他にもこのブース周辺には眼に炎を宿して走り回る幼いウマ娘達と、その引率の先生と思わしきウマ娘が走り回っていた

 

 「しゃどうぶれいく‼︎」「ねめしすっ‼︎」「えんぷれすぷらいど‼」

「あぁぁあ、あんまり走り回ると危ないですよっ!」

 

 テンションが上がった子供達を怪我させないように走り回る先生方

元気に走り回る子供の相手は大変だろう、ましてや力強いウマ娘なら尚更だ

 

 「ぶるぅろぉず、ちぇいさぁ!」

「ゴフッ⁈」

「〇〇さぁん⁈」

「きゃぁぁ⁈申し訳ありません‼︎」

 

 突然幼いウマ娘による横からのアタックによって地面に転がる

打ちつけた体に揺さぶられた頭と、痛む肋骨に苦しみながら

 死角からの刺客か

なんて下らない事を考えた

 

 


 

 

 「本当に大丈夫ですか?〇〇さん」

「大丈夫…痛みは引いてきたし」

 

 接触事故の後、ナインティメモリーとゲートスラッシュによるメディカルチェックを受け、問題なしと判断された

 

 「検査結果だと大丈夫とは言ってましたけど救護エリアに行かなくて本当にいいんですか?」

「もう平気だ」

正直、嘘だ

まだ少し痛みがあるがそれ以上に彼女との時間を減らすのも悪い気がしたので痩せ我慢を決行する

 

 「…三女神の像」

「あ、そうですね。こんな近くまで来てたんですね」

「そういえば、此処に来ると速く走れるようになるのか?」

「良く知ってますね、昔から学園皆んなの鉄板の噂ですね」

 

 

 三女神像

それは本家ウマ娘のアプリの育成にて、【継承】という育成ウマ娘の能力を底上げするイベントで必ず関わる重要なスポットである

 誰かに導かれたかのように三女神像の前に来たウマ娘は、光に包まれユーザーが設定したウマ娘の能力を引き継ぐ

 

 【ウマ娘トレーニングサポーター】にも【継承】のシステムがあった

 が、そのシステムを近日開放と封鎖され使えぬままに詳細を知らずに『この世界』へ渡って来てしまった

 

 

 「クローバーレースは、この三女神像から、何か不思議な事が起きたりしてないか」

 

『この世界』が、【ウマ娘トレーニングサポーター】の設定が色濃くでているのならば…

 

 

 「まさか、そんなおとぎ話、ありませんでしたよ」

 

 

 その言葉に、少し残念に思う私がいた

 




 コロナにかかっていました
皆様もお気をつけ下さい
体調悪いと何もする気もなくなります故に

それでも更新はサボりすぎたので反省
動けなかった分のリハビリも兼ねるので少しづつの更新ですがご容赦を…
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