ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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学生達(とトレーナー)の夏

 チーム《モサラー》の部屋で事務仕事をしていると授業終了のチャイムが鳴り響き、レースで活躍するウマ娘を育てるトレセン学園内が一斉に騒がしくなる

 

 夏休み前の期末テストが終わって夏休みシーズンが近づいているので生徒たちのテンションも上がりっぱなしだ

 

 勿論夏にだって短距離やダートをはじめとしたレースが合ってそれに向けてトレーニング、調整をするウマ娘も居る

 秋に主眼を置く大半の生徒たちには夏の間にトレーニングや激しく消耗するレースで疲れた心体を癒すべく、避暑地、ビーチ、山などのレジャー施設にてリフレッシュすることが推奨されている

ここで英気を養い、消費し切った体力を戻して夏の追い込みをかけるのだ

(トレセン学園にある遠征支援委員会では夏の休暇の参考にと、資料を配り歩いていた)

 

 私のチームメンバーも夏のレースに出るウマ娘が居ない(ダートを走る『ゲートスラッシュ』はほぼトレセン学園のサポート科として動いていてレースに出ない)のでゆっくり休ませる予定だ

 

 

 「…さぁさぁさぁ‼︎今すぐ申し込みに行くわよ『ニューキャンバス(スーちゃん)』!『ムラクモヒメ(ヒメちゃん)』!」

「待って待って『サマーフライト(フライト)』ォ!引っ張んなくても走るからぁ!」

「…待っ、わた、し!行くとは、決めて、な…!」

「あの透き通る夏の青い空!高くそびえ立つ白い入道雲!照りつける暑い陽射しにさざめく波!香る潮風!夏が!私を‼︎待っているんだから‼︎‼︎」

「わかったから落ち着いてぇ⁈」

「…おね、がい、聞い、て…?」

 

 学園の規則として決められた速度ギリギリで駆けていく今年のティアラ路線の顔達が走り抜けていった

 

 静かになった部屋に梅雨の終わりを告げるように1匹だけの蝉が鳴き始め、夏の訪れを実感しつつ、今年のチーム合宿の準備を再開した

 

 


 

 

 「今年の夏の休暇はワタクシも参加致しますわ‼︎」

 

放課後、トレーナーがパソコンで仕事をしているチーム《モサラー》の部屋に集まると、開口一番先輩である『スノウエンゼル(スノウ先輩)』が興奮気味に宣言した

 

 「去年は体調が余り良くありませんでしたが本格化を迎えたからか、今年の夏は今までよりも体調バッチリですの!三橋(みはし)トレーナーにも相談して今年はひと夏の思い出を手に入れるのですわ!」

「おぉう、ハイテンションッスねぇ、スノウ先輩」

 

 普段元気な『スピッツチアー(アーちゃん)』も押され気味である

先輩は暑さに弱く、去年の夏は体調を鑑みて泣く泣く見送ったので今年こそはと張り切っている

 

 「先輩からお譲り頂いたカメラで思い出作りもバッチリですわ!」

「ウッキウキですね先輩」

「よっぽど寂しかったんスねぇ」

「えぇ!えぇ!!皆さんとも強敵(ライバル)とも過ごす夏…今から楽しみですわ!!」

「…はしゃぎ過ぎて怪我しないでよあんた達」

「当然ですわ」

「分かってますよ!」

「心配無いッス!」

 

三橋トレーナーに釘を刺されましたが、様々なレジャーがある場所での休暇にわたし達の気持ちは浮ついていました

 

 


 

 

 「お疲れー、新人君ー」

 

 自分の担当である『セレーネグリマー』のトレーニングメニューを調整していると、先輩が手をひらひらさせて此方に近づいてきた

 

 お疲れ様です、と挨拶をするとそんな固くしなくてもいいよーと返された

 

 用件を伺うと、先程私が話していたウマ娘の件だった

 

 

 「あの子を担当になったからー、そのご報告ー」

 

 

 その言葉を聞いて首を傾げた

何故なら話していたウマ娘とは今日初めて面識ができた上にその後の進展も無かったので、その子に担当が出来たとしてもあまり関係がないのである

 

 何故、との問いに先輩は変わらぬ調子で淡々と告げた

 

 

 「もしかしたらこの秋転校するかもー、だから一応報告、ね?」

 

 

私達トレーナーはウマ娘を指導し、彼女達の夢を手助けする者、と私は思っている

しかし、AIが発達し我々の仕事の助けになったとはいえトレセン学園のウマ娘に対してトレーナーの数が足りなすぎる

 

 必然的に、目をかけてあげられなくなるウマ娘が居て、結果を出せなくて学園から去るものも居る

 

 

 「割としつこくトレーナーになって欲しいてーお願いされてたけどー、君はちゃんと分かっているようだね?」

 

 

 一人で出来ることには限りがある

手を広げすぎて自身の許容範囲を超えてトレーニングに支障が出たら、トレーナーとウマ娘の双方に悪影響となる

 新人であることを言い訳にはしたくはなかったが、セレーネのトリプルティアラに向けて集中したい所にもう一人見るには力不足と判断したので丁重にお断りしたのだ

 

 それが誰かの夢を切り捨てることになっても、だ

 

 

 「………」

「気にしなくても良いよー慣れてるしー。それに、挑戦もさせずに諦めさせられるのも辛いだろうし、ね」

 

 

 辛くは、ないんですか

 

 ウマ娘の引退、それも結果を残せずレースから離れるウマ娘の数は数え切れず

そして数多の涙するウマ娘を見送るトレーナーも居る

 

 先輩は、どうなのだろうか

 

 その問いに、先輩は事も無げにこう言った

 

 「大人である僕がー、辛い顔を見せらんないからねー?君は担当ウマ娘を不幸にしちゃだめだよ?」

 

 お気遣いありがとう御座います、とお礼を言う

やっぱり固いねー、と、先輩は明るく笑うのであった

 

 手をひらひらさせて歩いていく先輩に

 

 

 

 「トレーナー?」

 

 先輩と別れた後、自分の担当であるセレーネが声をかけてきた

 

「…なんか嫌なことがあった?」

 

 自分の顔をみて心配そうな声で聞かれて何でもないよと返す

その答えに不服なのか、彼女は少し不機嫌になった

 




繁忙期が終わっても何故か減らない仕事に追われて
全然更新できてませんでした

まだ忙しいですが
Switchのウマ娘のハチャメチャ大感謝祭をゲットできたので
プレイしてきます
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