ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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次世代のあなた達へ

 

 「今日のゴルッとゴル(しん)占い!はっじまっるぞ〜‼︎」

 

 

 私『ムラクモヒメ』は、学園内の生きる七不思議と噂される、芦毛でスタイルも顔もトップクラスな破天荒ウマ娘に道を塞がれました

 合宿場へと行く為のバスの時間までは余裕があるのですが、時間ギリギリになるよりはと思い寮を出た結果、運悪くエンカウントしたこのウマ娘をどう切り抜けるかと悩み始めました

 

 

 「心配すんなって!この黄金船子先生によるゴールデンな占いだ!お前の人生黄金に輝くこと間違い無しだぜ!」

「…手短にお願いしますね?」

 

 無駄な言い争いをするよりも彼女にある程度好きにさせた方が実害が少ないと学んできたので先を促します

 

 

 「ッスゥ-…行くぜぇ!未来レーダーON‼︎」

 

 

 そう叫び出すと、両腕を水平にし、肘を上方向に90度曲げ、掌を空へと向けて回り始めました

 

 

 「ミライ、ジュシンチュウ、ミライ、ジュシンチュウ。シバラクオマチクダサイ」

 

 

 機械音声のような抑揚がない言葉を口から流しながらクルクルと回り、(推定)未来からの電波を拾おうとする先輩

 その間に寮から合宿のための大荷物を持って出てきた寮生等が目を合わせないようにそそくさと駆け抜けていきました

私も彼女達の立場ならそうしていたでしょう、羨ましい

 

 

 「シャアッ!!出たぜぇ!未来からの電波が…

 

  『メカウマ娘』の到来!新たなライバルの誕生!だぜ!

 

  オイオイ遂に未来から刺客が来るほど人気になっちまったなアタシ!でもそう簡単に負けてやるつもりはねぇぞ!アタシのロボットダンスとどっちが審査員を盛り上げられるかダンスバトルだ!劇場版『ゴルシVSメカゴルシ』でゴルシちゃんの活躍を見てくれよな!じゃあな!!」

 

 

 言いたいことを言って満足したのか綺麗な芦毛の長い髪をたなびかせて颯爽と去っていき…戻ってきました

 

 

「忘れるとこだったぜ、んん、『ムラクモヒメさんにお届け物なのだ』」

「え?あ、どうも」

「…ヨシ!これでポストマンは卒業だ!明日の予定は自分で決める!今度こそじゃあな!」

 

 先輩から手紙と帽子?(赤に黒いつば、ウサギのマークが着いている)を渡され駆けていきました

 

 (推定)帽子の処遇に困りつつ手紙を確認すると、手紙の差出人は私の『ウマ娘トレーニングサポーター』にてお世話になっている村中さんの息子さん、『ナギト』君からでした

 

 


 

 

 「ほらあんた達、そろそろ起きなさい。そろそろ着くわよ」

 

 小さな貸し切りバスに乗ってみんなと寝ていた所に三橋トレーナーに起こされる

最初は見慣れない景色にはしゃいでいたけれど途中で疲れはじめて一人二人と眠り始めた

 

 

 「さ、スがに…ふぁ…移動だけで長時間ッスね…北海道は…」

「トランプ…楽しかったですわね…でももう大富豪でお菓子を賭けたりしませんわ…」

「いや、相手が悪すぎだろ、出禁でもいいだろ『クローバーレース(コレ)』」

「『コレ』扱いは酷くないですか!」

「ハイハイ、着いたらお世話になるあんた達の大先輩に挨拶をしてから部屋に荷物を移動よ」

「「「はーい」」」「おう」

 

 

 バスから降りるとトレセン学園の練習場の比ではない広さの牧場地に東京とは違う独特な匂い

 様々な音が飛び交う都会と違って風と風によってさざめく木々と草原、遠くから聞こえる動物の鳴き声

 普段とは違う環境に来て改めて夏合宿に来たのだと実感した

 

 

 チーム〈モサラー〉のみんなと一緒に荷物を持って綺麗な宿泊地に入りトレーナーが手続きをしている間、内装を見渡すとガラスケースの中に飾られた衣装が目についた

 

 

 それは『勝負服』

白と紫基調のアイドルを連想させるような勝負服は、勉強のために見た過去の『日本ダービー』の映像でも登場した勝負服の一つ

 

 この衣装の名前は、『スペシャルドリーマー』

 

夢を叶えた、とあるウマ娘の勝負服

 

 

 「チーム〈モサラー〉の皆さん、お待たせしました!私の牧場へようこそ!」

 

 ウマ娘の声が響く

 

 「夏合宿の間、何か分からない事があったらバンバン聞いてくださいね!」

 

ここ北海道の地で牧場とウマ娘の合宿地を経営する大先輩の名前は---

 

 


 

 

 合宿所へ車で移動中、ナギト君から貰った手紙を読む

夏の間は『ウマ娘トレーニングサポーター』で知り合った方たちに誘われて家族と一緒にフランスに旅行に行く事、旅行中でも定期的に連絡をする約束、そして夏合宿頑張ってほしいと村中さん家族からの激励が綴られていました

 

 「移動中、文書を読んでいましたが、体調は問題なさそうですか?」

「いえ…大丈夫です、ブルボンコーチ」

 

 大型バスに揺られてトレーナーと共に合宿所へ

このバスには私のルームメイトの『セレーネグリマー(グリちゃん)』は乗っておらず、合宿が終わるまで顔を合わせることは無いでしょう

 

 「今更遅いが…『こっち』で良かったのか?」

「…はい、トレーナー」

 

 ウマ娘の夏合宿は海が定番、そして私が選んだのは海ではなく山が近い合宿所

足を取られる砂浜ではなく、山の傾斜を利用したキツイ坂路が主体のこの合宿所は選ぶウマ娘が少なく、私も含めて十数名しか居ません

 

 手紙に目を落として子供らしさが残る文字で書かれたナギト君の言葉をもう一度読み返します

 

 『一番強いウマ娘になってください』

 

 その言葉に、絶対に、応えてみせます

 

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