明日からはちびっこレース教室の子達が来ますからねー
と、
わたし達チーム〈モサラー〉は子供達の練習の手伝いとして練習場に来ているのですが…
「『スノウエンゼル』だ!あくしゅして下さい!」
「えぇ、勿論ですわ!」
「ねぇねぇ!次のレースもバク逃げする⁈」
「そ、そそれは…れ、レースが始まるまでお楽しみですわ!」
「ねーねー?どこの学校からきたのー?」
「ふっふっふ、この『スピッツチアー』、なんと、中央のトレセン学園ッスよ‼︎」
「すごーい!とび級したのー⁈」
「自分は同い年じゃないッスよ⁈」
「えぇー⁈うっそだぁー!」
「おいコラあんま服引っ張んなって」
「中央ジャージ!トレセン中央ジャージだよおねぇちゃん!」
「すごく、すごい…肌ざわり…‼︎」
「身動き取れねぇ…ってオイ誰だ尻尾にリボンつけたのぉ⁈」
「きゃー♪『
「誰から聞いたその呼び方ぁ⁈」
チームのみんな、バイタリティ溢れる子ども達に振り回されています
「『せんせー』はね!日本とアメリカの『オークス』二つ持ってんだよ!そしてとっても教えるのが上手くてわたしこの前よりも早くなったんだよ!」
「そうなんだー、凄い先生だね」
今日の朝に顔合わせをしましたが、スペさんと並ぶと親戚かと思ったほど顔立ちが似ているふんわりとした話し方をするウマ娘でした
生徒たちの事をよく考えていることが会話の中でも見受けられ、生徒からも慕われている良い先生なんだと思います
「『では集合。皆さん、トレーニングを開始します』」
「せんせー『オン』モードだー」
「オンザリオだー」
「みんなしゅーごぉー!」
…今朝会ったウマ娘のジャージ姿をし、背筋をピンと伸ばしてハキハキと話す生真面目な性格が滲み出る先生が現れて、子供達を呼び寄せました
「『本日は貴女達の練習を手伝って下さるトレセン学園所属のチーム〈モサラー〉の方々です。改めて
「「「よろしくおねがいしまーす‼︎」」」
「チーム〈モサラー〉のトレーナーの
「よ、よろしくお願いします…」
「よろしくお願い致しますわ…」
「よ、よろしくッス…」
「よろしくぅ…」
((((…誰?))))
最初の印象とのかけ離れた雰囲気に思考が追いつかず、チームのみんなで思ったことは一致していました
「それじゃあ、ちゃぁんと水分補給しようねー♪」
「「「はーい!」」」
準備運動から始まり、ハシゴを使ったラダードリル、笛に合わせたスパートの練習などをこなし、陽が高くなってきた段階で午前の練習最後の水分補給となりました
「ありがとうございます。お陰様でじっくりあの子達の練習を見ることが出来ました♪」
「風紀委員で笛吹くのは慣れてるッスから!」
「ここじゃあボトルの補充も運搬も広すぎるからなぁ」
「並走もお疲れ様でした♪普段私だけだと客観的に見ることが難しくって」
「いえ、こちらも楽しかったですわ」
「思ったよりもこの時期の子たちって早くて驚きました」
休憩時間中は最初に会ったときのような優しい雰囲気に戻り、練習中はまた騎士の様な厳格さに変わる先生にも慣れてきました
「最後はレース形式ですが、その前にお伝えした通りお手本として一緒に走って貰います」
「よろしくお願いしますわ!」「よろしくお願いしまーす!」
「予定通り子供達の側に居るッス!」
「ゴール地点に立ってるぞ、ゴールは2000m用の地点だな?」
「私はスターティングゲートの準備するからアップして待ってなさい」
「お願いします♪後は…」
「みなさーん!お待たせしましたー!」
遠くからランニングウェアの上にトレセンジャージを羽織ったスペさんが手を大きく振りながらやってきました
「普段は一人で走ったりしていたんですけど、レースが出来る良い機会ということで急遽お願いしたんです、モサラーの皆さんよろしくお願いします!」
「私、スペさん、スノウさん、クローバーさんの四人で行います…『では、各々準備をお願いします』」
「ふふっ♪久しぶりに見ますねそのモード。もう昔程には走れないけど負けませんよー」
初めて会った時と変わらない素敵な笑顔なのですが…その眼には力強さが備わり、G1ウマ娘としてのオーラが出ているように感じました
「わわワたクしも負けマセンから」
「おオお落ち着イテ、スノウ先輩」
「どっちも落ち着きなさい、ほらゲートインよ」
模擬レースでは、偉大な大先輩二人のプレッシャーを受けたスノウ先輩がハイペースで逃げて大先輩方がペースキープしながら追い、わたしがその背中をずっと追いましたが抜かすことが出来ずにレースが終わりました
「今日も疲れたッスねぇ〜」
「子供は元気有り余ってっからな、この前甥に会った時も振り回されまくったわ」
「ライブ練習の様子は微笑ましかったですわ!ワタクシいっぱいコールしましたもの!」
「でもトレーナーの指導が(わたし達基準で)甘かったのは納得できない」
畑仕事に朝練、練習のお手伝いに、午後は子供達と一緒にライブ練習と、ハードなスケジュールをこなしてようやく夕食となりました
少し離れた席では子供達がワイワイ騒ぎながら食べているのが見えます
少しだけその元気を分けて欲しいと思いました
「オレンジジュースおかわりしてきまーす、ついでに何か入ります?」
「大丈夫ですわ」「大丈夫ッス!」「特に無い」
空いたコップを持って席を立ち、水や牛乳などが並んでいるスペースへと向かいます
丁度コップ一杯分ほどが入ったピッチャーを手に取り注ごうとしましたが、ちびっこ教室のウマ娘もオレンジジュースが入っていたであろうコップを持って近くに立っていました
「………はい、注いであげるよ?」
「あ…ありがとうございます!クローバーお姉さん!」
「いいのいいの……おばちゃーん、オレンジジュースは…」
「ごめんねぇ、今日はもうお終い。明日のお昼に届く予定なのよ」
「あはは…ですよねぇ…まだまだ、品薄、ですもんねぇ…」
苦渋の決断でオレンジジュースを笑顔で譲った事には後悔は無いのですが、精神的ダメージまでは回避出来ず、仕方なく水を注いで席に戻りました
「ただ…いま」
「レースさん、貴女は素晴らしい決断をしましたわ…!」
「オレンジジュースを譲ってあげれて偉いッスよ!」
「(オレンジ譲っただけで褒められるオレンジ狂いって改めてヤバいな…)」
「あんた達、差し入れが…ってどうしたのよ」
スノウ先輩と『
「差し入れ…ですか、どなた様からなのでしょうか?」
「ほら『クローバーレース』、あんたのサブトレーナーからよ」
「…えっ?」
「ん…URA公認のギフトか、中身は…まぁ、だろうな」
送り主蘭に『〇〇』と書かれたダンボールわを開けると、そこにはダンボールに綺麗に敷き詰められたフルーツ、そしてオレンジが
「…‼︎…‼︎」
「オレンジを持ったまま感激に震えてるッス…!」
「チーム全員にって書いているけど…まぁオレンジは全部あんたで良いわね」
その日の夜、感謝の言葉を〇〇さんに伝え、明日の練習も頑張る事を改めて決心するのでした