「『
夏合宿からトレセン学園寮へと戻り、いつもの日常が戻ってきたある日の事、私『ムラクモヒメ』は今年の春のレースで競い合ったウマ娘の『ニューキャンバス』に問いかけられました
「一緒に『秋華賞』で『
「…うん、私は、『菊花賞』を目指すよ」
「でもでもでも!3,000Mだよ?!長距離だよ?!」
「大丈夫、私は…走れる」
「うぅ〜っ!!でも走れるのと勝負出来るのは別じゃない?!」
「どうどう、『
「『
耳を絞って腕をバタバタ動かして講義をするスーちゃんを『
クラシック期に入りティアラ路線と呼ばれるレースを共にした二人とは最近話すようになった仲だ(一方的に話しかけられる事が多いが)
「ゴメンねヒメちゃん、スーちゃんったら『また皆と見たことのないレースを描くんだ!』なんて言って夏合宿に打ち込んでたのよ」
「『秋華賞』でリベンジする為に作戦とか秘策とか色々準備したのに〜!」
「…意外とレースジャンキーな所、あるよねスーちゃんは」
「じゃあ『エリザベス女王杯』で決着を…「ほら帰るよスーちゃん」ぅあぁ〜引っ張らないでよぉ〜」
その後、Lane(この世界のトークアプリ、緑のアイコン)でフラちゃんからは「菊花賞頑張ってね」という応援の言葉と、スーちゃんから「大阪杯で勝負ね!」という言葉と歴代菊花賞のレース映像データが届いた
「よっ!緊張してねーか?」
「…えぇ、まぁ、今霧散しました。ところで
レース直前にに学園でも手を焼く芦毛の破天荒ウマ娘に会うなんて思いませんでした
「なぁに言ってんだ?地下バ道にウマ娘が居るのは当たり前だろ?」
「レースに出るウマ娘はそうでしょうけども…!!」
「まぁまぁ、これでもゴルシちゃんは先輩としてアドバイスにきたんだぜ?ほらトレーナーバッチもこの通り」
「いつの間に資格を…って折り紙製ですかよく騙せ通せましたね」
白いスーツを着て長い髪を後頭部に綺麗に編んで纏められ佇まれると普段の奇行をしているウマ娘と同一人物なのか疑わしくなるほどカッコ良さが際立ちます
…だからこそ襟元のお手製(無駄にクオリティが高い)トレーナーバッチが浮きますが
「はぁ…アドバイスオネガイシマス」
何度も振り回されてきた経験から、こういう時は変に逆らわずに流された方がいいので彼女のフリに乗っかります
「おう、耳んの中かっぽじって聴けよ…
菊花賞の3コーナーの坂はゆっくり登って
ゆっくり坂を
「貴女がそれを言うんですか?」
言いたいことを言って颯爽と消えていったウマ娘に乱された精神状態を、地下バ道の出口手前で雨音を聴きながら落ち着けます
今日の京都競馬場の天気は生憎の雨、バ場状態は【重】、距離は3,000M
本日の1番人気、『セレーネグリーマー』
私が、
あまり好きではない雨の中へと覚悟を決めて踏み出す
目元付近に流れ始めた水滴に若干の煩わしさを感じながらも突き進む
スターティングゲートに近づくにつれ、先に外に出ていたウマ娘に追いつきます
『ハヤテイチモンジ』、『トルククロール』『スノウエンゼル』…
皆、思い思いに行動していましたが…視線は今来た私を少し見た後直ぐに1番人気のウマ娘へ移りました
「やっほ、ヒメちゃん、寮部屋で別れたとき以来だね」
『
夜空を思わせるようなドレスも、この雨で濡れて暗さがましていました
「そう、だね。寮部屋以来、だね」
「いつかはね、ヒメちゃんとレースで勝負するって、確信があったんだ」
こんなに早く来るとは思ってなかったけどね、と
少し茶化すように続けるグリちゃん
「…私も、昔はこんな日が来るとは思ってなかったかも」
相手は全国各地から集まるウマ娘が通うトレセン学園の中でも最上級の才能持ち
私は、その他大勢に埋もれるウマ娘
「いいレースにしようね」
そう彼女が言って握手を求めて差し出された右手
「………」
「…?」
「わた、しは…」
スポーツマンシップに則って試合前に握手をする
私達ウマ娘は学生でありアスリート
選手としての立ち振舞というものが求められる
それを−−−
「私は、
そう言って何もせずスターティングゲートへ向かう
「んー、本気のヒメちゃんってあんな感じなんだね」
差し出した手を下ろす
久々に向けられる敵意の籠もった眼
それがとても、嬉しい
それほど勝ちたいって思ってくれているから
「こっちも
そう言えば、聞きたかった事があったけれど、終わった後で大丈夫か
ヒメちゃんの勝負服って、雨で濡れる前提で作られたのかなって
スターティングゲートに向かうヒメちゃんの白い着物風な勝負服は白い生地が雨で透け、和柄な模様が浮き上がっていた
雲の魔女は魔力を空へ打ち上げ
月を雲でかくしてしましました
すると、月の女神のかがやく金色の
月の女神はおどろいて、町の人々から逃げていきました