不意に降りたこの物語を急ぎ届けなくてはならない
場合によっては削除します
長生きしてください
〈外伝〉それが不可能だとしても永遠を望む
大きな交差点に着いた時、行きたい方向の横断歩道は赤だった
そこでふと思いついた
スターティングゲートから飛び出すヒメちゃんの姿を
丁度信号の変わり目なので、自分がゲート内に入っているのを想像し
歩行信号を見つめる
集中力を高め、脚に力を込めて−−−
「は〜い、ストップ〜」
誰かに襟首を捕まえられ、情けない声を出したのだ
そしてそのぼくの目の前を自動車が通っていった
「−−−−−−よし、少年よ、復唱しなさい」
「はい、『信号が青でも右見て左見て、もう一度右を見て安全確認する』!」
「はい、よろしい」
あの後、スーツ姿のウマ娘のお姉ちゃんに問答無用で公園に連れられてベンチに座らされてお説教を受けています
「例えルールを守っていても、周りが守ってくれない時があるからねぇ…」
「ごめんなさい、え、と…ぉねいちゃん?」
「お、アタシの名を知っている…って違うか。流石に現役引退後に産まれてきた子がアタシの名前を知っているはずがないよねぇ」
流石に自意識過剰だったわ〜
と両手を横にし『やれやれ』っといった表情をするスーツのおねいちゃん
「レースに出たことがあるの?」
「そうですよ〜こんなんでも、G1レースに出走したことがありますよ」
勝てなかったけどねぇ
と、笑いながら頭を掻くおねいちゃん
「野球で言う、甲子園…」
「…まぁ間違っちゃいない…かな?」
「じゃあスゴイよ!カッコいい!」
「…久々にキラッキラの視線を貰いましたよ」
「そういえばどうして飛び出すって分かったの?」
「いや、あれだけ信号見つめて構えてたら警戒しますよ、車もタイミング悪く突っ込んできたし。幼いウマ娘や男の子がよくやる行動のひとつなんだよね」
近くの自販機から飲み物をおごってくれて一緒にベンチに座りながらお話しています
「ウマ娘の走りが羨ましい?」
「ううんうん、ヒメちゃん…家に遊びに来てくれてるウマ娘のお姉ちゃんがカッコよくてね、ちょっとマネしたかったの」
「あ〜なら一緒に『スタートの練習』を広いところでやろうか、横断歩道じゃなくてね」
「ゴメンナサイ」
「おっと蒸返してゴメンね」
「…『スタートの練習』を一緒にやったらヒメちゃん喜ぶ?」
「ん〜。そのヒメちゃんって子のこと、もうちょっと聞いてもいい?」
「あのね……」
「ふむふむ、【ウマ娘トレーニングサポーター】で家に来てトレーニングの補助、と。流石はトレセン学園、最新技術の更新に余念がないですねぇ。大丈夫ですよ~。作戦が『差し』か『追込』みたいだけど、スタートの練習は全員するからね。出遅れすぎると巻き返せなくなるし」
流石にあのレースはねぇ…とおねいちゃんは遠い目をした
「そっか…役に立てるんだ…」
「そこまで思いいれるとは…さてや『ホ』の字ってやつですか?」
「『ホ』?」
「あ、いや、気にしないで。からかおうとして申し訳ありませんでした」
「どうしたの急に?」
手を伸ばし、静止のポーズを取るおねいちゃん
「ん〜。ヒメちゃんのこと、好き?」
「うん、スキ」
「あぁこりゃ家族としてだわ…と、な、る、と…」
そう言っておねいちゃんはバックに手を入れると、折り紙用紙を出した
「折り紙?」
「そ、折り紙。これで…まぁ、クラウンが良いかな?」
そう言ってぼくにも折り紙を渡し、ベンチを机代わりに折り始めた
おねいちゃんの指示に従ってキレイに折る
…とても複雑な折り方で、途中何度も何度もやり直した
おねいちゃんにも手伝って貰いながら作った折り紙のクラウン?は
おねいちゃんのと比べて少し不格好になった
「まぁ〜初めてならこんなもんでしょう。これを、ヒメちゃんにプレゼントするのだ、少年よ」
「でも…形が変だよ?」
「いいんだよ、だって…大切な人からのプレゼントだからね」
−−−−−−伝えられるうちにちゃんと伝えなきゃね
そう言ってカバンを持ったおねいちゃん
「少しサボりすぎたかねぇ。アタシはこれにて退散っと」
「あ…」
「少年よ、大志を抱け!なーんてね」
おねいちゃんが歩き出す
「おねいちゃんっ!!」
思わず大声を出す
「ぼく!
「フフ、アタシの名前はね、ーーーーーーー」
この日、ぼくはスーツのウマ娘の素敵なおねいちゃんに出会った
後日、手作りのクラウンをヒメちゃんに手渡したらとても喜んでくれた
折り紙を教えてくれたおねいちゃんの名前を伝えたらとてもビックリしていた
何故か自分で書いてて泣いた
【追記 5/30】
お疲れ様でした
ウマ娘から入り、引退馬の支援について、彼/彼女から知りました
大切な人と、会えますように