ーーーとある絵本作家の新作ーーー
『しあわせ の しおり』
あるところに
としょかん で はたらく おんなのこ が いました
おんなのこ は しおり を つくる のが とくい でした
つくった しおり を
ほん を かり に きた おきゃくさん に
ぷれぜんと しています
おきゃくさん は しあわせ に なりました
おんなのこ も しあわせ に なりました
あるひ
おんなのこ は よつば の くろーばー を みつけました
おんなのこ は よろこび
しおり に したて
おきにいり の ほん に はさみました
その しおり を みた ある おきゃくさん が いいました
『わたし も よつば の くろーばー の しおり が ほしい』
おんなのこ は よつば の くろーばー を さがしました
けれど よつば の くろーばー は めずらしい ので
なかなか みつかりません
しかたなく おんなのこ は
ぬの で よつば の くろーばー を つくり
しおり を かんせい させました
ですが おきゃくさん は
『ほんもの の よつば じゃないと いやだ』
と いって うけとりません
おんなのこ は かなしみました
しおりは としょかん の かうんたー に
おいた ままに なりました
それから すうじつ たちました
ほん を かり に きた おにいさん が
ぬの で つくられた
よつば の くろーばー の しおり を みて いいました
『この しおり ゆずって もらえませんか』
おんなのこ が いいました
『でも ほんもの の よつば じゃ ないよ?』
おにいさん は
『この しおり が いいんだ
なぜなら しあわせな きもち に なれたから』
しおり を おんなのこ が つくった こと を しると
『きみ は しあわせ を つくる こと が できるんだね』
と ほめて くれました
おんなのこ は うれしく なりました
ここは としょかん
ほん を かりる ばしょ
ここに くる おきゃくさん は みんな
よつば の くろーばー の しおり を もっています
きょう も かりた ほん の なか に
ちいさな しあわせ が はさまって います
「ロイちゃーん、お弁当一緒に食べ…お、なにその絵本」
「これはですね、トレセン学園で同室だった先輩から贈られてきた最新作です!」
「仲がいいね〜。作る度に送ってくれるんでしょ」
「はいっ!素敵な絵もご自身で描いているのですが毎回毎回内容に合わせて絵のタッチを変えていて、また、文も−−−」
「ストップストーップ!好きなのはわかるんだけど全部聞いてたらお昼休憩無くなっちゃうよ」
「−−−ッハ、すみません!また暴走するところでした」
「まぁ本が好きでもないと図書館司書なんかにならないけどねぇ」
「次回作にも着手始めていて今から楽しみなんですよね。この前のハロウィンをモチーフにしたお話は−−−」
「ストップストーップ!!」
ーーー置かれた絵本の制作者欄は青い薔薇の絵で囲まれているーーー