ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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本が好きで、英雄に憧れ、年度代表馬になったウマ娘の初育成終了記念
その育成中、聞いていた曲がピッタリかと思って作成

異論は認める


〈外伝〉英雄に(ささ)ぐ物語

ーーー『為すべきことを為す』

 

 自身を律し、粛々と鍛錬を続け、襲いかかる魔物を打ち倒し、遂には竜が巣くう地で悪しき竜を打ち倒した『英雄』

 

 成し遂げるまでただの一つも弱音など吐かなかったその後ろ姿と、『蒼き眼』に宿った意志の力強さに憧れを抱き、いつか自分も『英雄』と為らんと決意した

 

初めは模倣から入った

 

 かの『英雄』が歩んだ道をなぞり、かの『英雄』と同じ大きな剣を持ち、かの『英雄』の戦いの地を訪れ、自分を喰らいつくさんとする魔物に立ち向かい…

 

 

そして『英雄』の背中は遥か遠くにあることを思い知らされた

 

 

ーーーありふれた話だろう

 

 英雄に憧れて剣を持ち、旅に出るものなんて至るところで聞く話

 

気が弱くて隣の街に出向くことすら、いっぱいいっぱいな自分もその一人

 

たかだか『英雄』と出身地が同じというだけでは何一つ成し遂げることが出来ない

 

 あれだけ語っていた英雄になるという夢物語を、口に出すことが出来なくなっていった

 

 

 

 それでも『英雄』の軌跡を追い続けたが、身も心も疲れ果て、とある街で立ち止まっていた

 

これ以上続けても、得るものなどないとし、故郷へと帰るための準備でもあった

 

そこで一人の青年が現れた

 

「『英雄』を目指す者よ、故郷へと戻るのかい?」

 

「えぇ、『英雄』の道へ、踏み込めば踏み込むほど、苦しくなる」

「心も痛くなってきた」

「知れば知るほど、手を伸ばせば伸ばすほどに、その背中が遠く感じた」

「…弱い自分が出来ることなど、しれていた」

 

 

そんなもんさ、これでいい

 

 

「だから帰るのかい?本当に?」

「それが望んでいることかい?」

 

 

本当の声を響かせてよ

 

 

 そう言われて心に浮かんできたのは

憧れた『英雄』となった自分の姿だった

 

かの『英雄』のように魔物へと毅然と立ち向かい

かの『英雄』のように世界の強敵と死闘を繰り広げ

そしてかの『英雄』に悪しき竜を打ち倒すーーー

 

「あの『英雄』の様になりたい!でも…憧れだけではどうにもならない」

 

「それでもまだ、もがいている」

「貴方は今でもずっと鍛錬を続けている」

「失敗しても何度でも立ち上がってきた」

「積み上げてきたものは、貴方の武器になっている。かの『英雄』もそうだった」

「私は貴方なら為し遂げられると信じている」

 

そう言って青年ーーー鍛治師の背負う荷物から剣と盾を取り出した

 

「私に貴方の『英雄』への道を手伝わせてほしい」

 

「今でも、自分は弱いままだ。『英雄』になれる自信なんかない」

 

「それでも」

「私は貴方に夢を見た。貴方の力になりたいのだ」

 

 

ーーー不思議と手に馴染んだ剣と、小さいながらも強固な盾を携え、『英雄』が歩んだ道を走る

 

 今までは自分の自己満足の為だった

しかし、自分に向けられた想いを初めて知った時、不思議と剣を振るう力に、大地を踏み込む脚に力が入った

 

自信が無くて言えずにいた『英雄になる』という言葉が自然と言えた

 

 

 とある国の王を狙う魔物と対峙し、斬り伏せた

ーーーかの『英雄』と同じように国の危機を救った

 

 世界の強者が集うコロッセオにて頂点に立った

ーーー何度も振り続けた剣技は洗練され、強者の風格を纏っていた

 

 そして、竜巣くう地

 戦いの後、毎回鍛冶師によって細かな微調整がされた防具、幾度となく自分の身を守ってくれた盾、そして想いを込めて打たれた剣と共に

国を滅ぼさんとする悪竜と向かい合い、剣と爪で切り裂き合い、盾と鱗をぶつけ合い、遂に、悪竜を打ち倒した

 

 竜を討伐した証を持ち帰り、祝福の声が降り注ぐ街の中、『蒼き眼』の新たな英雄は、盾を構え、剣を天に掲げ、民衆に応えてみせた

 


 

「ロイちゃん、お昼ーーーって、うわ絵本を抱きしめたままトリップしてる。おーい、戻ってこーい。お昼休み終わっちゃうよー」

 

 放心した彼女が持つその絵本の表紙には直筆で

『親友にして偉大な英雄へ  青薔薇の紡ぎ手より』

と、書かれていた




歌詞引用元
『群青』 アーティスト名 YOASOBI
      著者名    Ayase
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