ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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その名前は私の宝物

 【ウマ娘トレーニングサポーター】のアプリとともにお出かけすることによって、担当のウマ娘のやる気がアップしたり、体力の小規模回復、本家アプリにもあるスキルのヒントが貰えたりする。

 

 例によってお出かけしすぎると上司(設定)のトレーナーに怒られるし

バットコンディション〈怠け癖〉も付きかねない

 

 また、訪れる場所によって貰えるスキルのヒントに傾向があったり、担当の好みによって劇的な効果を発揮する(逆効果もある)のでスマホ片手に遠出する人が増え、観光産業に僅かながらも貢献したのである

 

 そして、現地に着いたら絶対にするべき、と攻略情報に載せられるのが

『写真を撮る』事だ

 

 アプリ内のLane(担当ウマ娘とやり取りをするSNSという設定)にはカメラ機能がついており、これで風景や現地の食事をカメラで撮るとウマ娘側に記録され、Laneでのやり取りで話題に出してくる

 

 更には風景写真の中で条件が合えば、担当ウマ娘が『写り込んだ』風景写真となって再upされるのである

(様々な検証がされたがわかったのは『危険な場所』には立ってくれない、位である)

 

 これには我々ユーザーは大喜び

写真を撮るのは無料であるためひたすら担当の写真を求める者が後を絶たず(一種のガチャ状態)

撮れた写真をネットに上げ『うちの(たんとう)自慢』が加速した

 

 

 写真を元にAIが合成したのか運営スタッフの手作業なのか

あまりにも『自然』な写真の出来栄えに疑問を抱くものが居たが

終ぞ問題に上がることは無かった

 


 

 トレセン学園近くにある神社のひとつ(周りにたくさんあった)

私の担当こと『クローバーレース』と並んで境内へと向かう階段を登っていた

 

 これが根性トレーニングにも使われた(可能性がある)階段かー、とか、運命を待ち望んていた(待ち構えていた?)ウマ娘の出会いの場所かー、等、取り留めもない事を考えながら登っていた

 

 彼女の方は…いつもとは考えられない位黙々と登っていた

前日のやり取りではかなり上機嫌な文章だったはずだが

 

「…ヒメちゃんがさ、『本格化』に入るかもしれないって。昨日聞いたんだ」

 

彼女がそう呟く

 

「それでね?私達の中で『月の女神』とか、『かぐや姫』とか言われている子も『本格化』になりそうなんだって」

 

そう繋げる彼女の表情は暗い

 

「…そんなに飛び抜けて強い子なのか?」

「うん…クラシック路線かティアラ路線かわからないけど」

 

 

ーーー私の『本格化』がまだだってトレーナーが言って少しホッとしちゃったの

ーーーあの子と競い合わずにすんだから

ーーー私、ずるい子かな?

 

 ウマ娘は中等部、高等部、更には飛び級したまだ幼い子ですら同じレースで(しのぎ)を削りあう

 

 レース参加の判断基準は『本格化』しているかどうか

 

 ウマ娘が漠然とした感覚でしか把握できないそれをトレーナーが見極め、ウマ娘のアスリートとしての絶頂期への登り始めをトゥインクルシリーズ(本家ウマ娘の育成モードの開始)に合わせる必要がある

 

 ウマ娘によって『本格化』の始まる年齢はバラバラなので、レースで一緒に走るのは年齢が違っても『本格化』が同じ時期に始まった子達が同期と扱われる

 

 

 そうこうしているうちに賽銭箱の前に辿り着いた

とある流行のウィルスによって鈴を鳴らせないことに寂しさを覚えながらも小銭を取りだし彼女の手に握らせた

 

「今日は自分のレースの必勝祈願に来たのだろう?」

「…」

「何、ヒメちゃんは心配あるまい。なんせ村中さん達が居るのだ」

「…でも」

「その『月の女神』とやらに貴方が勝負することがあるかどうかは分からない、しかしまず大事なことがある」

 

「クローバーレース、次のレースは余裕で勝てると?」

 


 

 【ウマ娘トレーニングサポーター】のアプリで、『クローバーレース』が選ばれたとき、調べたことがある

 

 それは、元となった競走馬が居たかどうかだ

 

 そして、彼女の名前は無かった

検索が悪かったか、実際にまだ登録されていないかは分からなかったが

馬名は勝手に使えないことを考えるに、アプリとしては『被らせてはいけない』物でなければならないと推測される

 

 ではここで疑問が一つ

 

優駿達の名を受け継いだメインキャラとは違う目の前の彼女は

これから先、輝かしい足跡を残せるのか?

 


 

 「サブトレーナーとしては、あまり力になれてないかもしれないが

それでもクローバーレースが一着を取る姿を見たい」

 

「でも、レースは簡単には勝てないってことは私でも分かる

才能、努力、時には運すら必要だと聞く」

 

「なら、推定頂点(トップ)の『月の女神』にもいつか勝つつもりでなくて、どうして競争の激しいレースに勝てるのか」

 

「だから、まず、次のレースに勝つと宣言しなければならない」

 

 そう言い切って自分の分のお賽銭を入れて、二拍

手を合わせたのをそのままに彼女の無事を願う

 

勝利を願うのは彼女の役目だ

 

「…そうですね。少しネガティブになってました。私は…レースで勝ちたい…よし!」

彼女もお賽銭を入れ力強く手を叩く

「私は…〇〇サブトレーナーに勝利をプレゼントします!!」

「そこは三橋(みはし)トレーナーも入れてあげよう」

「よし、一礼!あ、〇〇さん!神社をバックに写真を撮ってもらってもいいですか!?」

「ハイハイ、了解」

両手を腰に当て、仁王立ちするクローバーレース

やる気に満ちた彼女を見てやはり笑顔が似合うと思うのであった

 

余談だが、神社では写真不可な場所もあるので注意されたし

 


 

___本当は不安なのである

 

レースの勝者は一位のみ

 

クローバーレースが一勝もできない想像を

自分の中から消し去りたかっただけの言葉かもしれない

 




ある程度自分の中で最低限書きたいことは書ききった
ペースは落ちますがお付き合いいただけたら幸いです
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