ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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〈外伝〉思い出の味

 今日は夏合宿を終えて帰ってきたヒメちゃんと、ヒメちゃんのルームメイトとそのトレーナーといっしょにごはんを食べることになった

 

 「わ〜!初めまして、ヒメちゃんのルームメイトの『セレーネグリマー』だよ、よろしくね!」

「え、と。よろしく、おねがいします」

「ふむふむ…ねぇトレーナー、この子、貴方の親戚とかだったりしない?…違う?ホントに?」

「グリちゃんグリちゃん、ナギトくん困ってるから」

「っと、ごめんね、ナギト君」

 

 出会った瞬間にキレイな顔が近づいて、少しドキドキした

黒の野球帽から溢れる金色の髪はサラサラで、グラス部分が大きいサングラスをかけた立ち姿は海外のモデルさんの様にも見えた

 もう一人のグリちゃん(そう呼んでほしいとお願いされた)のトレーナーさんは、何というか…『普通』の人だった

 細くて背が高くて、スーツのズボンに白い半袖シャツのお兄さんは、サラリーマンとしか見えなかった

 

 「あ、その…『おまねきいただき、ありがとうございます』」

「いいのいいの、私が無理言ってヒメちゃんとの時間貰った様な物だし」

「今、トレーナーさんに言ったと思うんだけど…」

 お母さんより絶対言うようにクギをさされたお礼の言葉を言った

もう一つ、食べ終わった後に『ごちそうさまでした』を言うミッションを忘れないようにしないと怒られる

 

 「それより…本当に奢って貰っていいの?高い所じゃ無いとはいえ、ウマ娘一人分はそこそこお金掛かるかと…」

「問題無いよー。それにヒメちゃんの初勝利の前祝いだし」

「前祝いって…勝てるか分からないのに…」

「んー、もっと自信持って良いと思うけどなぁ」

「…ヒメちゃんは次は勝つもん」

「そうだよ、もっと言うが良い、ナギト少年」

「うぇぇ…」

 

 今年の六月にあったヒメちゃんのメイクデビュー戦のレースは怖かった

途中いつもより速いスピードで前のウマ娘を追い抜いたけど、途中でスピードを落として、最後には止まった

 お父さんが言うには、ウマ娘の思いが強すぎて身体が耐え切れないほどの力を出してしまうって

 あのレースの後、アプリからすぐに走れるようになるって聞いて、とても安心した

ちょっと、いや、かなりヒメちゃんは落ち込んでいたけど、お母さんがいつもより豪華なごはんを作り、力強い言葉で元気づけていた

 僕も何か言えたら良かったけど、お母さんみたく上手く言葉にできなかった

 

 

 

 「トレーナー、運転お疲れ様」

「ありがとうございます、トレーナーさん」

「あ、アリガトウゴザイマス」

トレーナーのお兄さんが運転する車に乗ってヒメちゃんとグリちゃんとお話しして、有料駐車場で車を置いて少し歩いて着いたお店は、和食屋さんの様な見た目をしていた

 お店の看板はタッピツすぎて読めなかった

 

 「いらっしゃいませー!」

扉をスライドさせてお店の中に入ると、机も壁も床もピカピカにされて、何となく高そうなお店だった

 カウンターの向こう側からは湯気が立ち上り、お腹をより空かせるこのニオイは…

 「…ラーメン屋さん?」

「うん、トレセン学園のあるトレーナーさんが立ち上げた、ウマ娘とそれに関わる人達を応援するお店の一つなの」

「アルバイトの求人も学園に出してて、そこで働いてた子が賄いも美味しいし、店長がいれば練習のアドバイスもしてくれるんだ、って言ってて、ネットでの評判もいいから楽しみなんだよね♪」

 よくわからないけど、トレセン学園と仲がいいという事は分かった

 

 「ご予約の『●●』様ですね、ただいま個室にご案内致します」

「お忍びで来れるように個室完備なラーメン屋なんて…ここだけじゃ無いかな…」

「しかも接客している人の動きが洗練されてるんだけど。今の芦毛のウマ娘もバイトとは思えないくらい。ここ一流レストランか何かかな?」

 

 芦毛のウマ娘店員さんにお店の奥へと案内されて、ボウチョウ?もバッチリだという畳の部屋に着いた

 「ご注文はタブレットよりお願い致します。ではごゆっくり」

 そう言って戸を音も立てずに閉めていった

「タブレットでの注文方法も増えたよね」

「そうなの?タブレットじゃないとこ見たこと無い」

「ここ数年で急激に変わり始めたから…知らなくてもしょうがないね」

 

 

 「ヒメちゃんヒメちゃん、そっちの塩ラーメンちょっとちょうだい」

「いいよ…そっちの醤油ラーメンも貰っていい?」

 真向かいで座り合うヒメちゃんとグリちゃんがお互いのラーメン(ウマ娘盛り)を分け合っている

トレーナーさんがお店の人に頼んで用意したどんぶり(トレーナーさんのどんぶりと同じサイズ)に取り分けてもまだ自分のラーメンより多い量が残っている

 

 「トレーナーさん、味噌もどんなものか食べたい!」

二人で分け合っているのをみて、塩ラーメンにしなきゃよかったかも、なんて思いながら三枚もあるチャーシューの一つにかじりついた

 

 

 「店内のショーケースに当然の如くG1のレイが飾られていると、ここがラーメン屋だということを忘れそうだね」

「その横に親友のサイン色紙まで置いてて…、これを見るために通うお客さんも居そうだね…」

食べ終わって部屋を出ると先ほどの芦毛の店員が出迎えてくれた

 「ありがとう御座いました。またのご来店をお待ちしております」

「はい!また来ますね!」

「…また、よろしくお願いします」

 

 出口まで見送られ、お店を後にする…前に、店員さんに話しかける

「…もしかして、ゴル(ねぇ)、さん?」

「…フ、流石だなナギトボーイ。アタシのカンペキな変装を見破るとは」

「…顔も隠してないのに、変装?」

「今のアタシは極秘任務中でな、あまり長く話せねぇんだ。だから…」

そう言って何かを僕に握らせた

「ラッキーカードだ、お前の所に行きたがってたからよ」

「ゴル姉さん…」

「アタシの娘をよろしく頼むぜ…」

そう言ってお店の奥へと消えて行った

 

 

 「…?何か貰ったの?」

「え、と…ポイントカードと割引券、人数分」

「私たちの分も貰ってくれてたの?ありがとう!トレーナー、ゲストに気を使わせちゃ駄目だよ?」

 紙のカードには店名が書いてあって、『愛』の字は読めたが隣の漢字は読めなかった

 


 

 「ヒメちゃん、この前行ったって言っていたラーメン屋に行ってきたよ!とても美味しかった!」

「そう、よかった、クレちゃん」

「なんかオーナーさん?にお会いしてさ、わたしの名前を

 『素敵なお名前ね!』

 って褒めてくれた上に『ロイヤル ラーメン』を奢って貰ったの!」

「凄いね、高級トッピング全乗せのラーメンを店長に…え、オーナーさんに?」

「その後、ツーショットもお願いされてビックリしたけど、綺麗でフレンドリーで素敵な人だった!」

「へ、へぇ(これ…オーナーがどんなウマ娘か、知らない?)」

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