ウマ娘の新アプリがリリースされました   作:たかなしゆういち

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〈外伝〉猫の日

 

 「『クローバーレース』!お前にデュエルを申し込む‼︎」

 

 私、『ムラクモヒメ』はお昼休みにカフェテリアで昼食を取るために教室から移動していると、親友のクローバーレース(クレちゃん)がトレセン学園生は極力接触を避ける人物、ゴルシ先輩と対峙している状況に出くわしました

 

 「え、いえ、お昼ご飯をとりたいんですけど…」

 

 臆する事なく拒否の意思をみせるクレちゃん

先輩相手に堂々と主張できる点は見習う所かもしれません

 

 「私に勝ったらこの〈すんごいブランド〉の蜜柑をやるぜ」

「いいでしょう!受けて立ちます!」

 

 彼女の好物のオレンジ(蜜柑も含む)に簡単に釣られる所は他山の石とするべき点です

 

 

 

 「いくぜぇ!アタシの先攻!アタシはアイテムカード『魚ビスケット』を使って餌コストを支払わずに手札の『猫』カードを場に出す事が出来る!来い!『ブルーアイズ ホワイト キャット』ォ‼︎」

 

 腕につけた謎の機械にカードを置き、立体映像(ソリッドビジョン)で魚型のビスケットが出ると、空中に浮かんだ魔法陣のようなものから白い子猫が現れて口に咥えました

 

 「更にイベントカード、『仲間を呼ぶ声』!場に出ている猫と同名カードを場に出せる!ただし、攻撃(カワイイ)力は0になる!」

 

 白猫が空に向かって鳴き出すと、両サイドから再び魔法陣が現れ、同じ容姿の白猫があらわれると同時に、丸くなりました

 

 「そしてぇ!アイテムカード『大きなお鍋』!場の三匹の『ブルーアイズ ホワイト キャット』を控室に送り、来い!『ブルーアイズ ホワイト キャット 三体集結』!」

「カ、攻撃(カワイイ)力4500⁈」

 

 私はこのカードゲームをよく知らないので基準がわからないのですが、強大な(?)数字に慄くクレちゃん

ソリッドビジョンからは鍋に入った白猫×3が鍋から顔を出し、クレちゃんの方を向いてニャーニャー鳴いてます

 …私がいるのと反対側の方では移動中だった美浦(みほ)寮の寮長が立体映像(ソリッドビジョン)に釘付けになっています

 

 「『大きなお鍋』で出した猫は相手のカードの効果を受けない!更にアタシは最後のカード、永続アイテム『毛糸玉』を発動!このカードは1ターンに一度、猫同士の戦闘(じゃれつき)を無効化出来るぜ!これでアタシはターンエンド」

「くっ…この状況、どうすれば…⁉︎」

 

 自分の手札を見つめて顔を歪めるクレちゃん

正直、猫(の立体映像(ソリッドビジョン))の前で苦悶していてもギャグにしか見えませんが

 

「バカヤローッ!何絶望した顔をしてんだ!お前のデッキを信じろ‼︎デッキは…猫は…お前に応えてくれる!」

「ご、ゴルシ先輩…!」

 

そんなクレちゃんに喝を入れるゴルシ先輩

…でもそのクレちゃんのデッキは先輩が先程手渡してたものですよね?

 

 「絶対に諦めんな!カードを信じて…ドローしろ!」

「わかりました…わたしのターン、ドロー!」

「スタンバイフェイズ、お互いに餌のストックが2、貯まるぜ!」

 

 デッキから勢いよくカードを引くクレちゃん

…気のせいかもしれませんが、引く時の右手が光ったような気がします

 

 「このカードは…!」

「へっ…引けたみたいだな…!」

「はい…!わたしはアイテムカード『魔女の呼び鈴』を発動!ライフを半分にしてデッキから『魔女の黒猫(ウィッチズ ブラック キャット)』を場に出す事が出来ます!」

LP4000→2000

 

 クレちゃんが左腕の謎の機械にカードを出すと、立体映像(ソリッドビジョン)でハンドベルのような形の黒塗りの呼び鈴が震え、突如現れた魔法陣から目が金色の眼の黒猫が現れました

 

 「攻撃(カワイイ)力2500か…これで終わりなんて言わねーよな?」

「もちろんです!更にイベントカード『孤猫奮闘(こびょうふんとう)』!自分の場の猫が一匹で、相手の場の方が猫が多い場合、エンドフェイズまで相手の場の猫の数だけ攻撃(カワイイ)力が500アップする!」

 

 「?…それだと500しかアップしないッスけど…」

「いえ、『ブルーアイズ ホワイト キャット 三体集結』は一枚で3匹扱い。よって1500上昇して攻撃(カワイイ)力4000よ」

「それでも4500には届いてないッス!」

 

 いつのまにか私の隣には、クレちゃんのチームメイトの『スピッツチアー』と私のルームメイトのグリちゃんこと『セレーネグリマー』までこの謎の戦いを観戦しに来ていました

…このカードゲームは有名なのでしょうか…?

 

 「そしてサポーターカード、『空飛ぶ魔女 ミミ』を場に出します!1ターンに一度、[黒猫]カードを指定して、直接攻撃出来るようにします!」

 

 黒基調のローブに黒い三角帽子を被り、金色のカールした髪の可愛らしい女の子が場に現れ、横乗りで箒に乗って宙に浮きます。そして先ほどの黒猫が高く飛び上がり、肩に乗りました

 

 「これなら『毛糸玉』も効かないし、直接ライフを減らせるわね!」

「だが、この効果では攻撃(カワイイ)力が半分になっちまうし、餌コストが二個必要で一回しかアタックできねぇ、まだ手があるか?」

 

 クレちゃんのチームメイトで先輩の、『ポムフルール』先輩と『ゲートスラッシュ』先輩も近くに来ていました

どうして皆さんそんなに詳しいんですか…?

 

 「アタックフェイズ!『魔女の黒猫(ウィッチズ ブラック キャット)』で、ゴルシ先輩にダイレクトアタック!そして、手札からイベントカード『主従の結束』!『空飛ぶ魔女 ミミ』と『魔女の黒猫(ウィッチズ ブラック キャット)』が場にある時、[黒猫]の相手に与えるダメージを…倍にする!」

 

 鍋に入った白猫達の遥か上空を箒に乗った魔女と黒猫が通り過ぎ、そしてゴルシ先輩へと向かって急降下していきました

 それはさながら爆撃機

物凄いスピードで地面へと向かう魔女は、肩から黒猫が飛び出すと同時にUの字を描いて上空へと戻り、黒猫はゴルシ先輩の顔面へ

 

 「行っけぇ!『黒猫の誘惑(ブラック キャット マジック)』‼︎」

「ぐわぁぁぁあ⁉︎カワイイィィィイ‼︎」LP4000→0

 

顔面に黒猫の肉球を受け、後方に吹き飛ばされた(…何故?)先輩は背中からスライディングして着地しました

 

 湧き上がる歓声

 この勝負の行方を見守っていたギャラリーの歓声に応えるように、ゆっくりと降下してきた魔女が手を小さく横に振り笑顔を見せ、そして黒猫が再び肩に飛び移り、誇らしげに一鳴きをしてみせました

 

 観客が素晴らしい戦いを讃える中、ふと私は気づきました

 

 「…お昼休み終わっちゃう…!」

 

 急ぎ購買でご飯を確保して事なきを得ましたが、しっかりと食べれず午後のトレーニングは少し身が入りませんでした

 

 [ムラクモヒメ の やる気 が 下がった]

 

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