我輩は黒猫魔王なVtuber配信者である
最近はウマ娘の身体能力を活かして様々なチャレンジをするワクワクアスリート系ウマチューバーに押され気味だが、身体能力で劣る我輩が全力体当たりな企画という相手の土俵で勝負することはない
人間界の娯楽(主にゲーム)を使うことで
「よく来たな!愚民ども!今日は
「魔王の従者の自分も居るッス!今回は『Godo』さんに加えて特別ゲストもお呼びしてるッス!」
「こんにちは、みなさん、『Godo』です。そして…」
「…こんにちは…『Cafe』と、申します…」
「『Cafe』さんはトレセン学園のOBで、日常のトレセン学園の日常や、『怪異』…怪奇現象にもお詳しいので今回のゲーム作りのアドバイザーになって貰いました♪」
今日はゲストと共に撮影をしているが…黒髪超ロングで金色の眼のアバターの『Cafe』は、あの『カフェ』だよなと心底思う
「ご協力ありがとうッス!…っえ、怪奇現象、スか…?」
「はい♪最近有名になった『8番出口』という『異変』を探して進んだり戻ったりするゲームがあり、今そのゲーム性を基に様々な派生ゲームが作られています。なのでトレセン学園を舞台にして『8番玄関口』を作ってみました♪」
「実際のトレセン学園には…このような場所は、存在しませんので…ご了承下さい」
「NPCも全てフィクションだからな!モデルとなった人物には許可を貰っているらしいが」
「さて早速始めていきたいんだが…なんだぁ?『
「べべべ別にビビ(⤴︎)ってナンかないッスよ⁈」
「まぁ良い…我輩に続けぇ!」
少し青い顔をした小動物(アバターに自身の精神状況まで反映されている技術は謎)を引き連れ、これから何十回と比べるであろう『異常無し』の廊下の風景をじっくりと観察しに行く
学園内という設定からか、角を曲がって着いた廊下の左側の壁はガラス窓が並んでいる
外の風景は曇天で暗くて激しい雨でボンヤリとしか風景が見えず、窓ガラスも内外の気温差で気温差で曇っている(試しに曇った窓を指で触ってみたが曇りは取れなかった)
右側は空き教室に入る扉とロッカー、その先には掲示板
掲示板にはチーム勧誘のポスターやバイト募集の貼り紙、引退後の就職活動の相談窓口のポスター(お馴染み3着なウマ娘がチアガール衣装で写っている、スクショした)、『廊下は静かに走りましょう』のポスターにトレセン学園内案内図
床や天井にも気をつけなければならない
規則正しく配置されている細長の蛍光灯、その幅や蛍光灯の間隔もずれていても『異変』なのだ
床も模様もない綺麗な廊下だが、やたら滑るとか沈むとか、感触でしかわからない『異変』も考慮しておこう
原作同様にNPCにも注意する
『異変』が起きる
当然ゲームのキャラなので触っても無反応だが、間近で彼女を見るとこんな感じなのかと、『元の世界』から知っている身としては感慨深い
ここから何かしらの『異変』を探して(一度に登場するのは一つだけ)何もなければ進み、『異変』があれば引き返すという行動を続けて、『第8玄関口』に辿りたければゴールだ
「覚えたな?よし!(動画映えを気にしつつ)速攻でクリアするぞ!」
「やってやるッス!」(←特に何も聞かされていない)
「頑張ってね〜」
「…頑張って、下さい」
「廊下が芝に侵食されてるッス…」
「芝生えたわ」
「んー、特に何もない、か?」
「どこも変わってなンヒャア⁈」
「アッハッハ、ただの学園のチャイムだろう?」
「急に鳴らされたらビックリするッス‼︎」
「今回もわかり易かったッスね」
「えぇ、今回の『異変』は『理事長秘書からウマ耳と尻尾が出ている』でした♪」
「まぁ見逃さんな、あんなわかり易いのは(…その言い方だと普段隠しているように聞こえるんだが…?)」
「ん~…あ、あったッス!窓ガラスの曇りを使って可愛い猫の絵が描かれてるッス」
「これは『Cafe』の趣味だな」
「へぇ、初めて会うのに良く知ってるッスね」
「…勘だがな!(あっぶねぇ、一方的に知ってる理由なんざ答えられるか)」
「なんでスターティングゲートの中に入ったんスか?」
「いや、つい興味本位で…」
「その後強制的にゲート内に飛ばされてビックリしたんスからね⁈しかも後ろに戻れずに前にしか行けないし‼︎」
「初めて間近で見たから好奇心が抑えきれませんでした、マジで」
「…ウマ娘に向けた、『異変』だったのですが…」
「作った側としては引っ掛かってくれて嬉しいわ♪」
「うぉっ⁈後ろからも来るのか…ってサンタがバック走⁈」
「…‼︎待つッス‼︎『背走サンタ』、その正体暴かせて貰うッス‼︎」
「ってオイ置いてくな!」
「何スかね?カーペットの向こうの赤に金の蹄鉄の装飾の豪華な扉は…って魔王様⁈」
「激‼︎熱‼︎‼︎」
躊躇いもなく開く
星3確定演出ならば開かざるを得ない
「ふふふ、そろそろ本気を出そうか…!」
「今まで本気じゃなかったんスか…?」
何度かやり直しをして取れ高も確保出来ただろう
そろそろクリアしても良い頃合いだ
少しお冠な駄犬を引き連れ角を曲がる
今まであった『異変』の経験から見るべきポイントは押さえてある
窓ガラスに手形、絵、無し
空き教室の扉に変化無し、ロッカーも急に開かない
理事長秘書も普段通り…
正面の曲がり角の壁、そこには
「 こ っ ち に
お い で」
と、書かれていた
「今回はわかりやすいな、ありがたい」
「そうッスね」
まるで血で書いたかのようなホラー演出だが、慎ましい『異変』には駄犬の反応も少し落ち着いたものになっていた
来た道を戻り、『Godo』と『Cafe』がいるエリアに戻る
当然、正解扱いで数字が一つカウントされている
「まぁ一つ目だからな、ここからよ」
「ちゃちゃっとクリアするッス」
「よくすぐ分かりましたね?
ポスターが少しづつ大きくなる『異変』
だった筈だけど」
「「えっ?」」
「…え?」
我輩達が確認した『異変』と違うことを言われてお互いに顔を見合わせる
数秒見つめあっていると『Cafe』が『Godo』を呼び、離れて会話をし始めた
「…(眉を下げた表情)」
「…(驚き、両手を口に当てるポーズ)」
「…(首を振る)」
「…(何かを思案してる表情)」
小声で話し合っているので我輩には聞こえない、が
…猛烈に嫌な予感しかしない
「…さて、二人とも」
話し合いが終わったのか、『Godo』が普段と変わらぬ笑みを浮かべながら戻ってきた
「今から『失敗出来ない8番玄関口』をやってもらいます」
「それはメニュー画面のログアウトボタンが反応しない事に関係あるのか⁈」
「製作者権限でクリアしなければ帰れません」
「眼を!こっちに眼を向けてホントの事を言って欲しいッス‼︎」
「…大丈夫です、相手はこのゲームのルールに則らなければ、現れませんから…」
「どこら辺が大丈夫なんだよ⁈」
我輩達は、突然のデスゲームに巻き込まれた
「教室のドアからいっぱい腕が伸びて来てるッスゥゥゥッ‼︎」
「退避!退避ぃ‼︎」
「…反転!逃げるぞ!」
「?……たづなさんが早足で顔面がバグりながらこっちに走って来たッスゥ‼︎」
「追いつかれるなぁ!駄犬ん⁉︎」
「…何か見落としてないか…何か…!」
「五回ほど往復しても、何も『異変』が見つからないッス…まさか本当に何も変わってないんすか…?」
結局何も変わっていなかった
「…⁉︎玄関口ッスうぎゅぽっ¿」
「罠だ!原作を踏襲しているなら8番目をクリアしてないからあれは偽物なんだ!」
「わがったがら襟から手を離じて欲じいッス」
「天井が落ちてきたッスゥ‼︎」
「戻れ!戻れ!」
「一番奥まで進ませといて壁を壊して追いかけてくるとか鬼畜じゃねーか‼︎」
「しっかり掴まってるッス‼︎逃げスプリンターを舐めるなぁっ‼︎」
「お疲れ様二人とも♪」
「クリア、おめでとうございます」
最後の逃走劇を終え(お姫様抱っこされたまま)、ようやくゴールまで辿り着いた
途中からは無我夢中で挑んでいたので精神力の消耗が半端ない
「…元凶は懲らしめましたので、もう現れる事はないでしょう…」
「ありがとうございます、『Cafe』さん」
「我輩たちがクリアする意味は…?」
「クリアしないと、こちらから干渉出来なかったので…」
とんだハプニングに巻き込まれたものだ
しかし、この動画はお蔵入りにせざるを得ないか…?
「今回起こった現象も新しく『異変』として採用しましょう♪」
「それでいいのか⁈」
その後、『異変』を追加した安心安全なバージョンがリリースされ、大変な人気が出たそうだ
尚、我輩たち二人にホラーゲーム実況の案件が増えたことをここに記す
強く生きろよ『スピッツチアー』よ…